12 面積分

神戸大学海事科学部 2014 年度後期 応用数学 4 講義ノート
12 面積分
12.1 スカラー場の面積分
連続なスカラー場 φ = φ(x, y, z) および,C 1 級の曲面 S : r = r(u, v) = (x(u, v), y(u, v), z(u, v)) (u, v ∈
D) を考える.S の面積の定義のときと同様に,領域 D を u 軸と v 軸に平行な直線で分割し,その分割に対
応する曲面の分割を考える.
P2
P
△S
u
P3
v + △v
P1
D
u + △u
v
そして右図のように,曲面の分割の各部分の面積 △S を P1 , P2 , P4 を頂点とする平行四辺形の面積で近似
する.
−−→
. ∂r △u,
P P1 = r(u + △u, v) − r(u, v) =
.
∂u
−−→
∂r
.
P P2 = r(u, v + △v) − r(u, v) =.
△v
∂v
より,
−→ −−→ ∂r ∂r .
. −
△u△v.
△S =
×
. P P1 × P P3 =. ∂u ∂v また各分割から適当に点 (u, v) を選んでおき,|△| を,すべての分割にわたる分割幅 △u, △v の最大値とす
る.そして次の和を考える.
∑
∑
∂r
∂r .
×
φ(r(u, v))△S =.
φ(r(u, v)) △u△v.
∂u ∂v この式で分割を増やし,|△| → 0 としたときの極限を考えると,上式の右辺は2重積分
∫∫
∂r ∂r dudv
×
φ(r(u, v)) ∂u ∂v D
に収束する.そこでこの量を
∫
∫∫
φ(x, y, z)dS =
S
∂r ∂r dudv
φ(r(u, v)) ×
∂u ∂v D
1
と書き,スカラー場 φ の曲面 S 上の面積分という.
曲面 S が z = z(x, y) ((x, y) ∈ D) という方程式で与えられる場合は,u = x, v = y とおいて,S は
r(x, y) = (x, y, z(x, y)) ((x, y) ∈ D) と表され,さらに
√
( )2 ( )2
∂r ∂r ∂z
= 1 + ∂z
×
+
∂x ∂y ∂x
∂y
が成立するから,φ の S 上の面積分は,
√
∫∫
∫
φ(x, y, z)dS =
(
φ(x, y, z(x, y)) 1 +
S
D
∂z
∂x
(
)2
+
∂z
∂y
)2
dxdy
と表される.
12.2 ベクトル場の面積分
連続なベクトル場 A = A(x, y, z) および,C 1 級の曲面 S : r = r(u, v) = (x(u, v), y(u, v), z(u, v)) (u, v ∈
D) を考える.
ベクトル場の面積分においては,曲面 S の向きを合わせて考える必要がある.ここで,S が向き付けられて
いるとは,S の単位法線ベクトル n が連続的に動くように定められているときをいう.別の言い方をすれば,
S の表面と裏面が定められているときをいう.
n
向き付け可能な曲面
向き付け可能でない曲面
(メビウスの帯)
以下,S は向き付けられているとし,S の単位法線ベクトル n は
∂r ∂r
×
n = ∂u ∂v ∂r × ∂r ∂u ∂v で与えられるとする(上式右辺の −1 倍を法線ベクトルとするときは S の向きは逆向きになる).このとき,
A と n の内積 A · n を S 上で積分したものを考え,これを
∫
∫
A · dS =
A · ndS
S
S
∫∫
∂r ∂r dudv
×
=
A(r(u, v)) · n(r(u, v)) ∂u ∂v D
)
(
∫∫
∂r
∂r
×
dudv
=
A(r(u, v)) ·
∂u ∂v
D
∫
と書き,A の S 上の(法線)面積分という.A · n は A の流量密度を表していたので,
時間あたりに S を通って(n 方向に)流れ出る流量を表す.
2
S
A · ndS は,単位
曲面 S が z = z(x, y) ((x, y) ∈ D) で与えられるときは,
∂r ∂r
×
=
∂x ∂y
だったから,
∫
∫∫
A · ndS =
S
(
)
∂z
∂z
− ,− ,1
∂x ∂y
(
)
∂z
∂z
A(x, y, z(x, y)) · − , − , 1 dxdy
∂x ∂y
D
となる.
3