平成 27 年 1 月 9 日(金) ナノ物性 B (秋学期) レポート課題 提出期限: 最終講義(平成 27 年 1 月 30 日)の開始時 ※ 考え方の筋道が分かるように解答すること。 【問1】 ナノ(デバイス)構造がリード領域を介して二つの熱浴と接続した系の絶対零度に おけるコンダクタンス G が、次の Landauer 公式で与えられることを示せ。 G= 2e2 T (µ) h ここで、e は素電荷、h はプランク定数、T (µ) はデバイス領域の透過確率、µ は導体に接し ている熱浴の化学ポテンシャルである。 Landauer 公式から明らかなように、透過係数が T (µ) = 1 であってもコンダクタンス G には上限がある。言い換えれば、反射(散乱)の無い弾道的な導体においても有限の抵抗 R = 12.9 kΩ が存在する。その理由を説明せよ。古典系では、反射(散乱)が無ければコン ダクタンスは無限大(抵抗はゼロ)になることをふまえて説明すること。 【問2】 (Lipmann-Schwinger 方程式に含まれる)1 次元自由粒子に対する遅延グリーン関 数 Gr (x, x′ )(実空間表示)が、以下のように与えられることを示せ。 Gr (x, x′ ) = ⟨x| ′⟩ 1 x = − m i eik|x−x′ | ˆ ℏ2 k ε − H0 + iδ ˆ 0 は自由粒子のハミルトニアン、δ は正の微小量、ℏ はプランク定数 h を 2π で割っ ここで、H た定数である。また、波数と質量を用いて入射粒子のエネルギー εk は εk = ℏ2 k 2 /(2m) で 与えられるとする。 1次元 Lipmann-Schwinger 方程式をつぎの散乱ポテンシャル V (x) = (v0 a) δ (x) のもとで厳密に解いて、入射粒子の波数 k に対する透過確率 T (k) および反射確率 R(k) を 求めよ。T (k) + R(k) = 1 となることを示せ。ここで、v0 はエネルギーの次元をもつ定数、 a は長さの次元をもつ正の定数であり、|v0 ma/(ℏk)| < 1 を仮定せよ。 さらに、Born 近似のもとで反射確率 R(k) を求め、厳密解と Born 近似のもとでの反射確 率を波数 k の関数として同一グラフにプロットすることで、Born 近似の破綻する領域を物 理的理由も含めて明らかにせよ。
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