©田 中 ペ ッ ト ク リ ニ ッ ク アレルギー性皮膚炎について 1. アレルギー性皮膚炎の種類 ア ト ピー性皮膚炎(環境ア レルゲンに 反応)、 食物ア レルギ ー(食物ア レル ゲ ンに反応)、ノミアレルギー性皮膚炎(ノミの唾液に反応)、接触アレルギー (金属、ゴム、プラスティックなどの接触)があります。 2. 症状 かゆみが必ずあります。頭部(眼周囲、耳介、口唇)、四肢端(指の間、肉 球 )、 関節の屈曲部、 身体の内側(頚から内股に かけての腹側面)、 背中( 原 則としてノミアレルギー性皮膚炎と食物アレルギー)にかゆみ、脱毛、湿疹な どの皮膚症状が認められます。喘息などの呼吸器症状(原則としてアトピー性皮 膚炎)、下痢や嘔吐などの消化器症状(原則として食物アレルギー)も認めら れることがあります。 3. 診断 診断は原則として除外診断です。 A. 外部寄生虫症の除外 スクラッチや抜毛試験や治療に対する反応 B. 皮膚糸状菌症の除外 培養や抜毛試験や PCR 検査や治療に対する反応 C. 細菌および酵母菌の除外 テープ検査抜や治療に対する反応 D. 除去食および誘発試験による食物アレルギー検査 食物アレルギーは反応する食材を食べなければ起こりません。 食事を変更してもアトピー性皮膚炎は改善しません。 アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの両方になっていることがあります。 1. 除去食試験 過去に全く食べたことのない蛋白質(新奇蛋白質)と炭水化物の組み合わ せのフード(例えばロイヤルカナンのセレクトプロテイン)または加水分 解フード(ヒルズ z/d ウ ル ト ラ ア レ ル ゲ ン フ リ ー ) ま た は ア ミ ノ 酸 フ ー (例えばノ バルティスのア ミノ プ ロテクト ケア )を 使用し ま す。 a) ス タ ン ダ ー ド 上記フードの中の1つのみを2ヶ月間食べさせます。その間、おやつや 人間の食べ物を与えてはいけません。 ©田 中 ペ ッ ト ク リ ニ ッ ク b) 簡 易 方 法 上記フードと平行してステロイドを投与します。ステロイドを投与して かゆみがなくなった段階でステロイドの方を中止します。そのまま2週 間フードのみを続行して反応を見ます。 2. IgE 検 査 ( 血 液 も し く は 皮 内 反 応 ) : 参 考 に し か な り ま せ ん 3. リンパ球反応試験:参考にしかなりません E. アトピー性皮膚炎の診断 ハウ スダストマイ ト(寄生や吸血し ま せん)、花粉、環境真菌(カ ビ) 1. IgE 検査(血液検査)アレルゲンの候補を選び出す検査です。検出され たアレルゲンの全てがかゆみを引き起こす訳ではありません。また、特 異性の高い検査(検査機関が複数ありますが、そのなかで HESKA 社 と AACL 社を採用してます)ほど偽陰性(アレルゲンが検出できない状態 で、場合によっては本当はアレルギー性皮膚炎だけれどもアレルゲンが 検出できないことがあります) <IgE 検査の検査結果の解釈の例> 1 年を通してかゆみがある患者さんで考えてみます。 下記ではスギ花粉が陽性となっていますが、この患者さんは 1 年を通してかゆみが ありますから将来皮膚反応を起こす候補でしかありません。そうなるとコナヒョウ ヒダニとヤケヒョウヒダニとアスペルギルスが皮膚症状の原因になっている可能性 が あ り ま す 。 こ の 3 つの全てかも知れませんし、この中の 1 つだけかもしれません。 陰性 コナヒョウヒダニ(ハウスダストマイト) 弱陽性 強陽性 ○ ヤケヒョウヒダニ(ハウスダストマイト) ○ スギ(花粉) ○ ギョウギシバ(花粉) ○ アルテナリア(真菌) ○ アスペルギルス(真菌) ○ 2. 皮 内 反 応 ( ツ ベ ル ク リ ン 反 応 の よ う な 検 査 ) 皮膚で直接反応を見る方法ですが、調べたい項目数のアレルゲンを注射 ©田 中 ペ ッ ト ク リ ニ ッ ク する必要があります。直接皮膚の反応を見ますので、反応が起きたアレ ルゲンが皮膚症状を引き起こしていると考えます。 4.治療 食物アレルギーは反応する食材を食べなければ発症しませんので、アレルゲンを除 去食および誘発試験で見つけることが治療になります。ただし、数年に 1 回は食材 の変更を考えなくてはならなくなることがあります。 環境アレルゲン(アトピー性皮膚炎) 1. 減感作療法:検査で検出した反応アレルゲンを定期的に注射する治療方法です。 2. 対 症 療 法 : ス テ ロ イ ド 剤 、 シ ク ロ ス ポ リ ン ( 免 疫 抑 制 剤 、 商 品 名 ア ト ピ カ ) 、 抗 ヒ スタミン剤、不飽和脂肪酸、抗酸化剤などがあります。現在の症状を改善するだけ で、治癒したわけではありません。 3. シャンプー:適切なシャンプー剤を適切な頻度で使用します。 4. 環境の整備:一般的な環境中のカビやハウスダストマイト対策です。 5. 適 切 な ノ ミ 駆 除 剤 の 使 用 を 検 討 し て く だ さ い 。 以上です。難解だとは思いますが、不明な点はご来院の際に説明させていただきます。
© Copyright 2024 ExpyDoc