3 新たなアトピー性皮膚炎ラットモデルの開発 樋口裕城 1、横江繭子 1、由利 梓 1、田中大資 1、日合 弘 2、芹川忠夫 2,3、○庫本高志 1 (1 京大院・医・動物実験施設、2 京大・医、3 大阪薬科大学) アトピー性皮膚炎は、1)かゆみのある湿疹、2)アトピー素因(家族歴、IgE 抗体を産生し やすい体質など) 、3)皮膚バリアの機能障害、以上 3 点を主な特徴とする。厚生労働省の調 査(平成 12-14 年度)によると、小学生の有症率は約 11 %であり、成長に従って減少傾向に あるが 20、30 代でも 8 % を越える。 近年、我々は、愛玩ラット由来の近交系(KFRS4/Kyo) が、かゆみを伴う皮膚炎を自然発症す ることを見出した。 そこで、 アトピー性皮膚炎モデルとして確立することを目的に、 KFRS4/Kyo の皮膚炎症状、掻痒行動、および血中 IgE の経時的変化について調べた。 【材料と方法】 雄 8 頭、雌 8 頭の KFRS4/Kyo を準備し、8 週齢から毎週、体重測定、皮膚炎の観察を行った。 具体的には、身体の各部位について、発赤、丘疹、水疱、びらん、かさぶたなどの病変とそれ らの各部位に占める割合を記録し、スコア化した。また、4 週ごとに、血中 IgE の測定、身震 いと引っ掻き行動の記録を行った。 【結果と考察】 皮膚炎は、雌雄ともに約 4 ヵ月齢から発症した。皮膚炎の進展には、雌雄差があり、雌でより 早かった。雌では、6~8 か月齢にかけて急速に重篤化し、顕著な身震い・引っ掻き行動を伴 った。血中の IgE 濃度は、皮膚炎の発症に先駆けて上昇した。以上のことから、KFRS4/Kyo はアトピー性皮膚炎の新たなモデルとして利用できると期待された。
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