[今月のドクター] 医療法人 MSC 健康カルテ 町のお医者さん ―アレルギーとは― 「アレルギー①」 アレルギーです。春は、 肺の 今月号からは、 病気を患っている患者さんたちにとって、 厳し 【アレルギー反応の起こり方】 反応を起こしてしまうのです。 アレルギー疾 患は増 えていま す 。たとえ ば、 小学生の気管支喘息は5〜 %で、 年 【増えているアレルギー疾患】 ると、 これをやっつけようとその抗 原に対 す 代表的なⅠ型アレルギーの起こり方は、 ま ず 花 粉やダニ等の「 抗 原 」が体 内に入ってく い冬のトンネルから抜け出し、待ちわびた季 節の到 来なのですが、花 粉 症や気 管 支 喘 息 等のアレルギー体質の人にとっては、 要注意の 季節でもあります。 前の3倍に増えています。 アトピー性皮膚炎 も、乳幼児で ~ %といわれており、 年 間で1~ 倍に増えています。 また、 最近の特徴として乳幼児の時にアト ピー性皮膚炎や食物アレルギーになり、 小学 と 、肥 満 細 胞 内 かかり 結合 する 抗体」 上の「 IgE のアンテ ナ に ひ 入 し 、肥 満 細 胞 やカビが増 える、食 品 流 通や食 生 活の変 化 いるといわれていま す 。住 宅 環 境によりダニ ルギー疾患の増加は、 環境の変化が影響して アレルギーの病 気は、もともとアレルギー 体質がある人に起こるのですが、 最近のアレ えています。 生 くらいで喘 息となり、 さらにアレルギー性 違いして、過 剰に攻 撃をしてしまうのが「ア の「ヒスタミン」や「ロイコトルエン」等の化学 に厳しい乾 燥 環 境が増 える、感 染 症の病 気 で洋 風の食 事や食 品 添 加 物が増 える、皮 膚 粘 膜に多 く ある レルギー」です。本来は体を守るはずの反応 物 質が一気に放 出されま す 。そのヒスタミン 鼻 炎 と様々なアレルギー疾 患にかかる人が が、自 分 自 身 を 傷つけてし ま うのがアレル が、 例えば皮膚血管の壁に結合すると、 血管 が減ってからだの免疫反応がアレルギーの起 増加しており、「アレルギーマーチ」と言われ ギー反応なのです。 が拡 張し皮 膚が赤 くなりま す 。また、血 管 す。 つまり、 いろんな環 境 因 子が作 用して病 こりやすい方 向に傾 く 等があ げられていま アンテ ナのよ う 【アレルギーの種類】 壁はタイルが連なった様な構 造なので、拡 張 気が発症する、 あるいは病状が悪化するので 「 肥 満 細 胞 」に 一口に「アレルギー」と云っても、大 き くⅠ ~Ⅳ型まで分 類されています 。アレルギーの すると隙間ができて水分が漏れ出し腫れ上 す。体質はなかなか変えられませんが、 何が 私たちの体には、 ウイルスや細菌などの異 物が入ってきた時に、「抗体」を作って対抗し 病 気としてま ず 思い浮かぶ、花 粉 症(アレル がります。これがじんま疹です。同様の反応 ようとする「 免 疫 」という 防 御システムがそ ギー性鼻炎)、 気 管 支 喘 息、 食物アレルギー、 が鼻の粘膜で起きると鼻水が多くなり鼻炎 悪化因子かを知って、 環境を整えることでア ています 。さらに、今 までは「スギ」に対して アトピー性 皮 膚 炎、 じんま 疹などは「Ⅰ型 」 症状に、肺の中の気管支の粘膜で起きると、 状を軽くすることができるのです。 レルギーの病 気は発 症 を 予 防できたり 、症 に張 りめ ぐ らさ に分類されます。 気 管 支が狭 くなり 痰が多 くなる気 管 支 喘 なわっています 。ところが、 この免疫のしくみ ダニ、 ハウスダスト等のアレル 食 物や花 粉、 ギーの原 因となる物 質 を「アレルゲン」また 息症状になります。全身で起きると、 血管内 の花 粉 症であった人が、「ヒノキ」や「イネ 科 は「 抗 原 」といいま す 。どの「 抗 原(アレルゲ の植物」にも反応するようになるケースも増 ン)」に反 応 するかは人 それぞれです 。その アレルギーの代表的な疾患と 次号からは、 その対策を考えていきます。 の水分が漏れ出て少なくなり血圧が下がり 呼ばれる状態です。 「抗原」に対抗するのが「抗体」です。体内で 再び「抗原」が侵 抗 IgE 20 10 れます(図)。 抗 体 」がつくられま す 。この「 IgE 体 」は 、皮 膚 や 10 ない物質に対しても「有害な物質だ!」と勘 る「 15 が、 食べ物や花粉など私たちの体に害を与え 【アレルギーとは】 10 ま す 。これが「アナフィラキシーショック」と 抗体」が過剰な IgE 155 理事長 齋藤 公正 × 1.5 つくられる抗 体には IgG,IgA,IgM,IgD,IgE の5つの種 類 が あ り ま す 。 「Ⅰ型 」のアレル ギーの場合は、 この中の 「 次号は「アレルギー②」―気管支喘息― です <経歴> 愛媛大学医学部卒 山田(現伊勢)赤十字病院 呼吸器科副部長 <現在> さいとう内科呼吸器科 三重スリープクリニック院長 三重ハートセンター非常勤医 File No.14 【伊勢市】 病気の基礎知識や予防法をアドバイス
© Copyright 2024 ExpyDoc