現代線形代数入門―分解定理を主軸に整理整頓 目次 このコンテンツで使われる記号 ●R m× n ⎡ a11 … a1n ⎤ ⎢ ⎥ 全体の集合(各成分 a は実数、 m 、 n は自然数)、 :実 m × n 行列 ij ⎢ ⎥ ⎢⎣ am1 ⎥ amn ⎦ 例: [1.5] ∈ R ●C m× n 1×1 ⎡1 ⎤ ⎡1 2 3 ⎤ , ⎢ ⎥ ∈ R 2×1 , [ 0 2] ∈ R1×2 , ⎢ ∈ R 2×3 ⎥ ⎣0 ⎦ ⎣4 5 6⎦ ⎡ a11 … a1n ⎤ ⎢ ⎥ 全体の集合(各成分 a は複素数、 m 、 n は自然数) :複素 m × n 行列 ij ⎢ ⎥ ⎢⎣ am1 ⎥ amn ⎦ ⎡1 i ⎤ 2×2 2 ⎥∈ C (i = −1) ⎣ −i 1⎦ 例: ⎢ ⎡ a1 ⎤ ⎢ ⎥ 全体の集合(各成分 a は実数、 m は m m×1 ● R = R : m×1 実行列( m 次実列ベクトル) i ⎢ ⎥ ⎢⎣ am ⎥⎦ 自然数) ⎡1 ⎤ ⎢ ⎥ 3×1 3 例: 2 ∈ R ≡ R ⎢ ⎥ ⎢⎣0 ⎥⎦ ●C = C m m×1 ⎡ a1 ⎤ ⎢ ⎥ 全体の集合(各成分 a は複素数、 :複素 m×1 行列(複素 m 次列ベクトル) i ⎢ ⎥ ⎢⎣ am ⎥⎦ m は自然数) ⎡1 ⎤ ⎢ ⎥ 3×1 3 2 例: 1 + i ∈ C ≡ C (i = −1) ⎢ ⎥ ⎢⎣1 − i ⎥⎦ ● R :実数全体の集合 ● C :複素数全体の集合 例: − 2, π ,1/ 2, −121 ∈ R 例: i (i = −1),1 + 3i, Copyright 再履修線形代数研究会 2 a + ib ∈C ( a, b は実数) 1 現代線形代数入門―分解定理を主軸に整理整頓 T 目次 T ● A :行列 A の転置行列( A の (i , j ) 成分は A の ( j , i ) 成分に等しい) T T ⎡1 ⎤ ⎡1 ⎤ ⎡ a b ⎤ ⎡ a c ⎤ T 例: ⎢ ⎥ = [1 2], [1 2] = ⎢ ⎥ , ⎢ ⎥ =⎢ ⎥ ⎣ 2⎦ ⎣ 2 ⎦ ⎣ c d ⎦ ⎣b d ⎦ ● A :行列 A の複素共役行列( A の (i , j ) 成分は A の (i , j ) 成分の共役複素数) i ⎤ ⎡1 ⎥ ⇒ ⎣1 − i 1 + i ⎦ 例: A = ⎢ 複素数 z − i⎤ ⎡1 A=⎢ ⎥ ⎣1 + i 1 − i ⎦ = a + ib ( a, b は実数)の共役複素数は z = a + ib = a + i ( −b) で定義される。 T ● A *:行列 A の共役転置行列 ( A) (= AT )( A * の (i, j ) 成分は A の ( j , i ) 成分の共役複素数) * ⎡1 − 2i ⎤ ⎡ z1 z2 ⎤ ⎡ z1 z3 ⎤ 例: [1 + 2i 1 − i ] = ⎢ ⎥ ⎥ =⎢ ⎥, ⎢ ⎣1 + i ⎦ ⎣ z3 z4 ⎦ ⎢⎣ z2 z4 ⎥⎦ * ● det A : A の行列式( A は正方行列) ⎡a b ⎤ det[a ] = a, det ⎢ ⎥ = ad − bc, ⎣c d ⎦ 一般に ⎛ a11 … a1n ⎞ ⎛1 2 ⎜ ⎟ = Σ det ⎜ sgn ⎜ ⎟ ⎝ j1 j2 ⎜a ⎟ a nn ⎠ ⎝ n1 例: n⎞ ⎟a a jn ⎠ 1 j1 2 j2 anjn ここに和はすべての 1,2,…,n の順列についてとるものとし、 sgn( ( j1 , j2 , ) = +1 または −1 (順列 , jn ) が偶順列のとき +1 、奇順列のとき −1 ) ● ⋅⋅⋅ : 「 」のノルム(「 」の位置にはベクトルや行列が入る)。 「絶対値」概念の拡張で、 一定の公理を満たさなければならない。 3 もっとも有用な R 上のノルム(norm)の例: ⎡a ⎤ ⎢ ⎥ ⎢b ⎥ = a + b + c (1 − norm), ⎢⎣c ⎥⎦ Copyright 再履修線形代数研究会 ⎡a ⎤ ⎢b ⎥ = ⎢ ⎥ ⎢⎣c ⎥⎦ a + b + c (2 − norm) 2 2 2 2 現代線形代数入門―分解定理を主軸に整理整頓 目次 ⎡a ⎤ ⎢ ⎥ ⎢b ⎥ = max{ a , b , c } (∞ − norm) (「無限大ノルム」といういい方で呼ぶ) ⎢⎣c ⎥⎦ R m× n ⎛ a11 … a1n ⎞ ⎜ ⎟ m×n 上のノルムの例:任意の A = ⎜ ⎟ ∈ R に対して ⎜a amn ⎟⎠ ⎝ m1 A = max Ax x =1 x は指定された R n 上のノルム、 Ax は指定された R m 上のノルム。定義式におけ る max 記号は x が x = 1 を満たす x 全体(単位球の表面と呼ばれる)を動くときにとる最大 ここに: 値を表し、この最大値が実際に実現することも陰に定義に含まれているのである。この式によ って R m× n 上に定義されるノルム A を演算子ノルムまたは作用素ノルムという。 Copyright 再履修線形代数研究会 3
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