メディア制作の基礎[6] 担当:小坂直敏[email protected] 応用処理の一例: ー モーフィングの実際 ー • • • • • コンピュータグラフィクスにおける例 – モデリングによる方法 – サンプルデータによる方法 モーフィング:二つの対象物の知覚的な補間 デジタルメディアによってのみ達成可能 対象:画像(静止画、動画)、音(音色、声質) 定義 (Osaka 1998) – 連続的な制御(continuity) – 中間性(intermediateness) – 均質性(heterogeniusness) :両要素が持つ共通属性をモーフィング後も保持 モーフィングの効果に関する考察 中間性と均質性について プリミティブの補間がそれらのネットワーク、あるいは有機的に組み合 わさった複合物間の補間となるかどうか、モーフィングの特性について 考察する。 A B 補間 モーフィングのコンセプトと対応物 コンセプト1: すべてのパーツを同一比率で補間 A B コンセプト2: パーツの混合比率 動画像のモーフィング: 時点の対応 A 0 α B 1 補間 メディア制作の基礎[6] 担当 小坂直敏 1. モーフィング 与えられた二つ画像から合成されるそれらの中間的な画像.エフェクトの一種.静止画同士から, 動画同士から,あるいは近年では楽音あるいは音声の間でも合成される. 2. 点と点のモーフィング 最もシンプルな例で点と点のモーフィングについて考える.これは単に補間するだけである. 点Aと点Bがある。これらの1次元のx軸上での点をそれぞれ, xA, xB とおく.このとき,補間率を α (0≦α≦1) とするとモーフィングされた点xαは, xα = xA(1-α)+xBα ただし,α= 0 とは, xα = xA, ,α= 1 とは,xα = xB である. また,2次元座標上で,点A (xA, yA) と点B (xB, yB)に ついて考えると,補間率αでモーフィングされた点(xα, yα)は 同様に, xα = xA(1-α)+xBα yα = yA(1-α)+yBα 0 5 10 α= 0.2 図1 点のモーフィング(1) 10 3. 直線と直線のモーフィング 直線Aと直線Bがある。それぞれの線分の終端座標 は A[(xA1 , yA1), (xA1 , yA1)], B[(xB1 , yB1), (xB2 , yB2)]. 5 とする.このときモーフィングする線分を描くには,次の手順で 行う. 手順: 0 • 対応点の定義 A上の端点, B上の端点をそれぞれ 5 10 図2 点のモーフィング(2) 2次元座標上 A1,A2, B1,B2 とし,例えば A1とB1 , A5とB5とを • • • A2 対応させる。 補間率(α; 0≦α≦1)の指定 10 内分点の計算 内分点(xα,yα)は xα = xA(1-α)+xBα yα = yA(1-α)+yBα A1 B2 5 内分点を結ぶ. B1 0 5 10 図3 直線のモーフィング -1- 4. モデリングによるモーフィング 直線Aと直線Bがある。それぞれの線分の式 は xA1 ≦ x ≦ xA2 A: y= aA x + bA B: y= aB x + bB xB1 ≦ x ≦ xB2 [1] [2]. とする.このときモーフィング線分は以下の手順で求める。 手順: • 補間率(α; 0≦α≦1)の指定 • • モデルパラメータの補間計算 内分点aα,bαは aα = aA(1-α)+aB*α bα = bA(1-α)+bB*α 10 bA A bα 5 B 補間線分の始端と終端の計算 • Aの始端、終端を(xA1, yA1),(xA2, yA2) • Bの始端、終端を(xB1, yB1),(xB2, yB2) • 上のデータをもとに補間線分の始端、終端 bB 0 (xα1, yα1),(xα2, yα2)を以下により算出。 5 10 図4 モデリングによる 直線のモーフィング モーフィングされた直線の始端、終端は、それぞれA1とB1とを結ぶ直線、およびA2 とB2とを結ぶ直線である。円弧で結ぶ可能性もあるが、ここでは中間性を考慮して 直線とする。求めるモーフィング線分の始端および終端は、上記の算出された直線 とモーフィング線分との交点。交点の算出は、二つの直線の式を連立方程式として 解けばよい。また、図形だけが必要な場合は作図だけでよい。 5. 直線モーフィングの特性 直線をモデリングにより補間するとき共通する一点を必ず通る. 2つの直線A,Bがある.それぞれ y = aAx + bA y = aBx + bB とする.モデリングによるモーフィングは補間率αを用いて y = {aA(1-α)+aBα}x + bA(1-α)+bBα とかける. [3]をαについて整理すると, y = aAx + bA +α{(aB -aA)x + (bB -bA)} 右辺の{ }内を0とおくと, (aB -aA)x + (bB -bA) = 0 x = -(bB -bA)/(aB -aA) xがこの値をとるときyは[4]式に代入して, y = aA ・{-(bB -bA)/(aB -aA)}+ bA = (aA bB - aB bA )/(aA - aB) したがって,モーフィングされた直線は点 [-(bB -bA)/(aB -aA) ,(aA bB - aB bA )/(aA - aB)] を通る. -2- [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] 6. 一般的な線と線のモーフィング 直線でない線の場合は、一つの線をできるだけ細かく分割し、 ほぼ直線とみなせるようにする。 個々の線に対応関係を持たせ、あとは直線のモーフィングと 同様に行う。 7. 10 A 形状モーフィング 直線あるいは曲線からなる2つの異なる図形AとBがある。 このときのモーフィングの手順は以下で行う。 手順: 1. AとBそれぞれともできるだけ分解し、直線、あるいは 単純な曲線の和として分解する。 2. 3. 5 B 0 対応する線分は、これまでの線と線のモーフィングを 利用して、モーフィング合成を行う。 対応しないものはその処理について考え、方針を決める。 1. 2. 3. 一方の物を保持する 対応しないものは合成側には組み入れない。 仮想的な対応物を作る 4. 1-3を全ての分解された組み合わせについて繰り返す。 8. 形状モーフィングの特性 平行移動したもののモーフィングが しない場合と比して同一の形状になる。 10 5 10 図5 線のモーフィング (矢印は対応する線を表す) A 8.75 B 証明略。 5 1.25 0 1.25 5 8.75 10 図6 円と正方形のモーフィング -3-
© Copyright 2025 ExpyDoc