「三点法」 「四点法」 に依る Richards 王星論曲線の計算要領

現代体育研究所紀要
2000
第 9号
1∼ 6
「三点法」「四点法」 に依 る Richards理 論曲線の計算要領
井
上
猛
A METHOD TO EVALUATE THE VALUES OF PARAMETERS FOR THE RICHARDS
GROヽ VTH CURVE THROUGH THE THREE‐ POINT OR FOUR‐ POINT FACILITIES
TAKESHI INOUE
Summary
vill be proposed to calculate values for the parameters in the
A sirnple but powerful method 、
/e atteinpt to make this curve exactly pass three or four
theoretical growth curve given by Richards.ヽ ヽ
measured points.The suitability of obtained values rnay be judged by the coefficient of deterrnination
R2
I。
は
じ
め
に
び「計 測 時刻 」 の双 方 が 含 まれ て居 るな らば 『そ
れで 良 じ』 とす る立場 が 有 って も良 い事 を意 味 し
彗星 や小 惑星 等 の新 天体 が 発 見 され る と,そ の
て 居 る。「帯 」 の「重 心」 に相 当す る もの と して
運 動 を把 捉 す る 目的 で 「軌 道 決定 」 と云 う事 が 為
され る。 三 晩 に渡 る三 回 の観 涸1デ ー タ を基 に ,太
の「一 本 の 曲線 」 を決定 すれ ば ,成 長 解析 に取 っ
て意 味 の あ る もの が 導 き出 せ る事 にな るで あ ろ う。
これ が ,我 々 に 「軌 道 決 定 」 か らの 連 想 と して
陽 の 回 りを二 次 曲線 を描 い て運行 して居 る との仮
定 の下 に ,先 ず は「 暫 定軌 道 」 な る もの が 計算 さ
「三 点法 」 の アイ デ ィア を着 想 させ る事 にな った。
れ る。 その後 に他 の観 測 デー タ を も考慮 に入 れ て
この様 に ,「 誤 差 あ り」 の立 場 に立 つ な らば ,生
「軌 道 改 良」 な る もの が 為 され る。 これ に依 つて
物 の場 合 と雖 も Richardsの 理 論 曲線 の様 な ,決
定論 的 な表式 に依拠 して成 長 現 象 を見 てみ む とす
素計 算 に用 い た三 回 の観 測 デ ー タに含 まれ て居 た
誤 差 を除去 す る事 が 出来 る と同時 に三 回 だ けで は
る立場 も意 味 あ る もの にな って来 る。 三 個 の 測定
困難 で あ つた真 の軌 道 の把捉 が 可能 とな り,任 意
の 時刻 に対 す る 「予 報 」 が ,高 い精 度 で以 て可能
点 に基 づ い て 決 定 され た parameter(パ ラ メ タ)
とな って 来 る。長期 間 に亘 る運 動 把捉 お よび観 測
む事 で あ ろう。
の適合性 の高低 は ,決 定係 数 で以 て判 定 すれ ば済
デ ー タ の整 理 に は ,当 然 な が ら惑 星 に 依 る影 響
「 曲線 の 当 て嵌 め」 と言 えば ,直 ち に想起 され
「 摂動 」 を考 慮 に入 れ ,最 小 自乗 法 に依 る処理計
るのが 「 最小 自乗 法」 で あ る。 しか し この場 合 に
算 が 為 され る事 にな って 居 る。
は ,「 予 測 」 とか「推 定 」 とか と云 っ た事 は大 し
「厳 密 な 方程 式 の支配 」 の下 に ,成 長 が 為 され て
て重 要 な事 で も無 い 。 これ に対 し ,「 三 点 法 」 の
場 合 に は多数 の デ ー タの 中 の三 個 しか使 用 しな い
居 る と云 うの は期待 出来 な い処 で あ る。 測定 に際
ので ,残 るデ ー タが ,決 定 され た パ ラメタ に依 っ
して は「 成 長 量 」 に は勿論 の事 「計 測時 刻 」 に も
て正 し く表 わ され る事 にな って居 るか否 か は ,直
誤 差 を伴 う もので あ る。 測 定 点 を厳 密 に通 る様 に
曲線 を決 定 した として も ,そ れが望 ま しい成長把
ち に検証 され な けれ ばな らな い事 にな って居 る。
捉 を与 えて呉 れ る とは限 らな い事 にな る。 此 の事
云 った視 点 に立 つ事 を容 易 に し ,生 物 の成 長 解析
は ,或 る幅 を持 った「帯 」 の 中 に ,「 成 長 量 」及
の場 合 は勿 論 の事 ,「 成 長 曲線 」 の 当 て 嵌 め を通
生 物 の 場 合 に は ,天 体 の 運 行 に於 け るが 如 く
京都産業大学理学部
zり
乃ε
qF Sε ルη
θSα フ
z3り
θ
ι
,κ″′
これが ,「 三 点法」 の場 合 に は「予測 」「 予報 」 と
υがυ
θ
ハら
,
井上
猛
じて ,種 々 の分野 へ の応 用 を も着想 させ る事 にな
定 し よ う とす る もの で あ る。「shape parame―
った と考 えて居 る。
ter」
mの 値 が ,数 値 「 1」
に漸 近 的 な Gomper‐
Richardsの 理 論 曲線 は ,四 個 の パ ラ メ タ を含
tz型 の 場 合 は ,こ こで は取 り扱 わ な い 事 にす る
む。「三 点 法 」 で は ,一 つ の パ ラ メ タ に予 め数 値
を設 定 ,残 る三個 の パ ラメ タ を決 定 す る と云 う形
が ,何 ら困難 な事 で は無 く,同 様 に考 える事 の 出
来 る もので あ る。
を採 って 居 る。 三 個 の測 定 点 に関連 させ て 三 元連
立 方程 式 を立 て ,こ れ を解 くと云 う事 を考 えて居
の「測 定点 」 を ,次 の様 な文 字 で 表 記 す る事 に し
一 般性 を持 た せ る 目的 か ら ,選 び出 され た三 組
る。 これ は ,三 個 しか デー タが無 い場 合 に最小 自
乗 法 を適 用 した もの に ,完 全 に一 致 す る もので あ
よ う。
(2)
る。
(Tl, Yl),(T2, Y2),(T3, Y3)・
,具 体 的 に は ,こ れ ら が (t2,y2),(t7,
四個 の パ ラメタ を同時 に決定 す る「四点法」 の
場 合 に は ,四 個 の測定 点 に関連 させ て四元連立 方
例 えば
程 式 を立 て て解 けば良 い ので あ るが ,我 々 は ,そ
の様 な方 式 は採 らなか っ た。「三 点 法」 の 場 合 に
らに対 して ,次 の 関係 が 成 り立 つ とす るので あ る。
y7),(t15,y15)で あ る と云 う事 もあ り得 る。 これ
(3) y(Tl)=Yl, y(T2)=Y2, y(T3)=Y3・
予 め 数値 を設 定 した パ ラメ タ は ,方 程 式 の 中 に複
雑 な形 で入 って居 り,三 個 の時 とは状 況 が 異 な っ
て 居 るか らで あ る。我 々 は ,「 三 点 法」 の 有効 利
斯 くして ,次 の 関係 式 が 得 られ る事 にな る。 パ ラ
メ タ mの 値 は予 め与 えて置 くもの と し ,略 記 と
用 を図 る事 に依 って ,此 の 困難 を首 尾 よ く克服 す
して α ≡
る事 が 出来 た。
H。
Yl=A{1-α βe kll)1ノ α
Y2=A{1-α βe kT2}1/α
Y3=A{1-α βe kT3)1/α
(4)
「三 点法」 に依 る Richards曲 線 の計算
,
G)
,
総
要領
.
)
此 の三元連 立方程式 を ,パ ラメタ A,β ,kに 付
いて解 けば良 い訳 である。
生物 の成 長 に伴 つて増 加 して行 く量 に着 目 して
n個 の測 定 が 行 なわれ た としよ う。 時亥J tl<t2<
・〈yn
・… くtnに 対 す る測 定 値 が ,夫 々 yl<y2〈 …
先ず Aを 消去 す る :そ れ に は ,(5)式 の辺 々
を(4)式 で割 り,同 じく(6)式 の辺々 を(4)式 で割 れば
良 い。後 の為 に ,両 辺 を α乗 した もの を書 い て
◎
で あ った とす る。 これ を ,次 の Richardsの 理 論
式 で 捉 え る事 を考 え る (Richards,1959)。
置 く。
(1)y(t)=A(1-(1-m)β e kt}1バ 1 m),(m≠ 1).
kl l),
(7)(Y2/Yl)α =(1-α βe k´「2)/(1_α βe―
1).
(8)(Y3/Yl)α =(1-α βe kT3)/(1_α βe―
与 え られ た 時 刻 ち,(j=1,2,一
値 y(t)を 計 算 す るに は ,此 の式 の 中 に含 まれ て
,n)に 対 す る
kl`
居 るパ ラメ タ A,β ,k:mの 値 を知 る必 要 が あ る。
これ らの パ ラメ タが 首 尾 良 く見 つか つた として も
計 算 値 y(tj)が 上 記 の 測 定 値 乃 ,(j=1,2,…
n)を 厳 密 に再 現 し得 る とは 限 らな い。種 々 の 誤
差 が 含 まれ て 居 る上 に ,着 目 した生 物 の成 長 が理
論 式通 りに行 なわ れ て居 る と云 う保証 が 無 い か ら
で あ る。 此 の様 な事情 に鑑 みて ,此 処 に言 う「三
1-mを 導入 す る。
,
◎
次 に β を消去 す る :予 備 的 な計 算 として 次
を考 える。
(9) (Y2/Yl)α
-1
=αβ(e
(10 (Y3/Yl)α
kTl―
e―
kT2)/(1_α
βe―
kl`
1),
-1
=αβ(e
kTl― e kT3)/(1_α
1).
βe― 「
k´
点法 」 な る もの の着 想 を抱 くに至 った。 適宜 に選
び 出 した ,三 個 の測 定 点 を ,厳 密 に通 る様 に Ri―
これ らの比 を取れ ば ,β が消去 され ,未 知量 とし
ての ,パ ラメタ kを 残 す のみの表 式 が 得 られ る
chardsの 理 論式 の パ ラメタ A,β ,k;mの 値 を決
事 になる。従 って ,解 く事 の出来 る方程式 が得 ら
「三 点法」「四点法」 に依 る Richards理 論 曲線 の計算要領
れ るが ,単 純 で は無 い。 此処 の処 を ,繰 り返 し算
=F(4)十
で ,逐 次 的 に解 い て行 く事 を考 え る。
比 は ,(9)式 の辺 々 を00式 で割 る と云 う形 に導 い た。
(lD {(Y2/Yl)α -1}/{(Y3/Yl)α
-1}
1-e― kT2)/(e kTl― e kT3).
=(e kl`
ここで ,量 σ及 び ηを ,次 の様 に導入す る。何
れ もが 既 知 量 で あ る。
これか ら ,補 正量 △ら の近 似値 が ,次 式 で与 え
られる とす る。《Newtonの 逐次近似法》
(10 △ふ =(F(ξ )一 F(ら )}÷
=― F(ら )÷
σ η
一
〓
一
一
一
OD
此 の時 に ,(T3
Tl)=σ (T2 Tl)な
る関係式 の
利用 を図 る。
η
=1-(e―
k「
1
_e― 「2)/(e kTl―
k´
e―
kT3)
=[e kT2{1_ek(T3T2)}]
/[e―
=e―
kl l{1-ek(T3´「1))]
k(12-Tl){1-ek(T31`
1+1`
=ek(1` 2 Tl){1-ek{(「
2 Tl)σ
(1`
2-Tl))}
}.
未知量 ξを,未 知量 kの 代 りとして ,以 下 の様
に設定すれば所望 の方程式が得 られるのが知れる。
ξ η
ξ
〓
一
一
一
〓
(141
e―
,
(22)
}
÷{1-σ (1-η )ら σl};
σ
易 ≡ ら十△ら =(η 十 (1-σ )(1-η )ら
÷{1-σ (1-η )ふ σl}.
}
一 回の補正計算 で ,高 い精度 の近似 値 ら が 得 ら
れるとは考 えられない。 そ こで ,上 記 の手順 を繰
り返 して行 くのである。添字 sは ,繰 り返 しの 回
数 を表わす。
4+1=嗅
(2Э
十△桑={η 十 (1-σ )(1-η )4σ
÷{1-σ (1-η )条 σl);
)
1))
k(T2Tl)σ
/{1-e―
(4)
σl:
112))
/{1-ek(T3-1`
Fヤ
):
σ
(4)=1-σ (1-η )ら
△ら =一 (ら 一η一 (1-η )aσ
1-{(Y2/Yl)α -1}/{(Y3/Yl)α -1}.
量 ηの表式 に ,llD式 の右辺 を代入 して式変形 を
行 な い ,未 知量 kに 関す る方程式 を導 いて行 く。
F十 (ら
(19)F(4)=ら 一η一 (1-η )ら
(20F†
(T3 Tl)/(T2 Tl),
△ら × F† (4)+… …・=0.
出発 の近 似値 の あ として は ,こ れ を 0に 選 ぶ の
も一つ の方法 である。 上式 に依 る時 は必ずや ,繰
り返 し計算 の値 は収束 して所望 の解 を与 えて呉れ
る筈 で あ る。近 似 の 度 合 い は 集+1と 集 との 差
1桑
+1-引 を見 る事 に依 って ,こ れ を判 定 す る事
が 出来 る。
k(T2-Tl),
σ
l)}÷
(1-ξ );
ξ×{1-ξ
σ
η十(1-η )ξ
(σ
.
差 が充分 に小 さ くなったな らば ,求 め る ξの
値 が 桑+1で 与 え られ る として パ ラメ タの計 算 に
入 る。
解 くべ き方程 式 は ,定 数 σが一 般 に は任意 の
有 理数 とな り得 るので ,容 易 で は無 い。 そ こで次
先ず最初 に「三 点」 を通 る Richards曲 線 を
与 える もの として ,只 今 の ξ に依 って パ ラメ タ
の様 な繰 り返 し法 に依 って ,逐 次的 に解 く事 を考
kの 値 が ,次 の様 に与 えられ るのが知れ る。
える。
OO
(10
F(ξ )三 ξ一η― (1-η )ξ σ=0.
求 める根 ξの近 似値 を う で ある として ,こ れ に
補 正 値 △ら を加 える時 に ,真 の値 が 得 られ る と
(4)は ,函 数 F
考 えるので あ る。此 処 で ,量
(ξ )の ,点 ぅ に於 ける微分係数 を表わす。
F†
(17)F(ξ )=F(4+△ ら)
◎
k=―
(logeξ )÷
(T2 Tl)・
ここで ,logeξ は,量 ξの 自然対数 を表わす。
量 kの 値 が 知 れ たので ,こ れ を基 にパ ラメ
◎
タ β の値 を算 出す る事 が 出来 る。 それ に は ,(7)
式 に着 目す るのが 良 い で あ ろう。 この式 を β に
付 いて解 く訳 である。此 の時右辺 の量 は,全 て知
られて居 るものばか りである。
井上
4
る。但 し ,こ れ を此 の儘 で 解 くの は容 易 な事 で は
25)β =((Y2/Yl)α -1}
÷[((Y2/Yl)α e
猛
r2}×
kTl― e―
k´
無 い。我 々 は ,こ れ を以下 に示 す様 に「三 点 法 」
の有効利 用 を図 って ,逐 次近似 的 に解 い て行 く。
α].
残 るパ ラ メ タ Aの 値 は ,「 三 点 」 の 中 の ,何
上 式 に は ,忽 然 と ,新 し い 量 τが 現 わ れ て 居
れ の点 を用 い て も求 め る事 が 出来 る。 ここで は第
る。 これ は ,先 の ,量 σに類 似 の もの で あ っ て
二 点 に対 す る式 を書 き出 して置 く事 にす る。
次式 で 定義 され る量 で あ る。
20
03)
◎
A=Y2÷
(1 α βe
kT2)1/α
.
斯 くして ,目 的 は ,余 す処無 く達成 され た事 にな
さて ,愈 々 「 四点 法」 の計 算 に移 行 す べ き段 階
に差 し掛 つて来 た。
る。
「四点法」 に依 る Richards曲 線 の計算
Ⅲ。
要領
先 の ,(2)式 で「三 点」 を考 えた様 に ,次 の様 に
今度 は「四点」 を考 える。
(2つ
τ≡ (T4 Tl)÷ (T2 Tl)・
(Tl,Yl),(T2,Y2),(T3,Y3),(T4,Y4)・
これ らの「四点」 を通 る様 にパ ラメタが決定 され
た もの として ,先 と同様 の計算 を試 みて行 く。(7)
式(8)式 で考 えたの と同様 の計算過程 を辿 るな らば
次 の等式 の導出 は困難 な事 で も無 いであろう。先
に導入 した量 ξ も,引 き続 き用 い る。
1),
OD (Y4/Yl)α =(1-α βe kT4)/(1_α βe k´「
09) (Y2/Yl)α =(1-α βe kT2)/(1_α βe kTl).
(30 (Y4/Yl)α
-1
=α β(e
kT4)/(1_α
kTl)
βe―
4+kTl}/(1-“
1{1-e―
「
=αβe k´
βe―
=αβe k´「1(1-ξ τ
)/(1-α βe― kTl),
kTl―
e―
kl`
(3D (Y2/Yl)α
kl`
1)
-1
=α β(e kTl― e― 2)/(1_αβe― kTl)
=αβe kTl(1-e― 「21` 1)}/(1-α βe kTl)
=αβe kl` 1(1-ξ )/(1-α βe kl・ 1).
kl`
k(′
先 の ,量 η に類似 の量 と して ,次 の SAを 導 入 す
る。
00 SA≡
{(Y4/Yl)α -1}■ {(Y2/Yl)α -1}.
更 に ,00式 の成 立 を図 る目的 で ,右 辺 の量 を次 の
様 に SBと 略記す る事 にしよう。
05)SB≡ (1-ξ r)÷ (1-ξ ).
先 ず ,初 め の 「三 点」:(Tl,Yl),(T2,Y2),
(T3,Y3)に 対 して「三 点法」 を適 用 し,四 個 の
パ ラメタ中の三個 :A,β ,kの 値 を求 めて置 く。
従 って ,α も ξ も既 知量 とな る。 しか し ,こ れ
らに依 って ,次 の等式 が成 立する保証 は無 い。
(30
SA=SB・
そ こで ,此 の等式が成立す る様 に ,00式 に含 まれ
て居 る αの値 を変 えて行 くので あ る。此 の時 関
τ
係式 の中 に含 まれて居 る量 :Y4,Yl,Y2:ξ ,ξ
は,総 て既知量 で ある と考 える。
斯 か る αの値 を求 め るの に ,先 に00式 以下 で
考 えた 《Newtonの 逐次近似法》 を適用 して行 く。
関連す る式群 を ,以 下 に列挙 して行 く事 にす る。
(37)G(α )≡ (Y4/Yl)α
辺々の比 を取 る。
一SB(Y2/Yl)α
(30G(α l+△ αl)=G(α l)+△ αlG†
(32){(Y4/Yl)α -1}÷ {(Y2/Yl)α -1}
=(1-ξ τ
)÷
(1-ξ ).
此 の関係式 は,選 び出した「四点」 を厳密 に通 る
様 に,四 個 のパ ラメタが定められて居 る場合 に限
り成立 し得 るものである。此 の段階では,二 個 の
未知量 α,ξ に関す る方程式 となって居 る事 にな
(39
△αl=― G(α l)÷
-1+SB=0,
・=0:
(α l)+…
G† (α l):
l-1+S3,
O G(α l)=(Y4/Yl)α
llog(Y4/Yl)
(α l)=(Y4/Yl)α
11)G†
“
l―
SB(Y2/Yl)α
一SB(Y2/Yl)α 1log(Y2/Yl).
此処 で ,表 記 log(Y4/Yl)は ,量 Y4/Ylの 自然対
数 を表わす。上の09式 に ,00式 1411式 を代 入 して近
5
「三点法」「四点法」 に依 る Richards理 論曲線 の計算要領
似 値 △αlを 計 算 して 行 け ば 良 い 訳 で あ る。 代 入
して ,式 の 計 算 を行 な え ば ,次 の 様 な表 式 も得 ら
1994b, 1994c, 1994d, 1994e i 1995a, 1995b,
1995c, 1995d: 1996a, 1996b: 1997a, 1997b;
τる。
オ
1998a)。
02)△ αl={(1-S3)(Y1/Y4)α
共 著論 文 で はあ るが ,同 じ研 究 者 に依 る ,「 四
点法 」 に基 づ い た研 究 も ,既 に ,公 に され て 来 て
l
+SB(Y2/Y4)α l
1)
居 る (秋 元 ら ,1998b;亀 田 ら ,2000)。
競 技 記 録 の 更 新 に於 け る年 次 推 移 を ,Richar―
÷{log(Y4/Yl)
S3(Y2/Y4)α 110g(Y2/Yl)).
dsの 成 長 曲線 で 解 析 す る と云 う試 み も為 され 好
結 果 を得 て 居 る (村 上 ら ,2000)。 今 後 ,斯 う し
た分野 に於 け る応 用 に は ,大 きな期待 を寄 せ て 居
此 の様 に して ,等 式 0カ を満 た す α の 値 を求 め て
行 く。 これ が 達成 され た としよ う。
斯 くし て 求 め られ た α の 数 値 は ,出 発 の「三
る処 で あ る。
生物 の成長 以 外 の現 象 に ,斯 か る曲線 の 当 て嵌
め を試 み る事 を ,計 る向 きが あ るか も知 れ な い 。
点 法 」 で用 い られ た もの とは異 な って居 る筈 で あ
☆
る。 そ こで ,こ れ を α と表 記 して ,区 別 す る事
に し よ う。 従 っ て ,mの 値 も当然 の 事 なが ら異
これ に関連 して は ,流 行 現 象 を初 め ,広 い意 味 で
の 「成長 現 象」 に付 いて考 察 した もの が あ る (井
な って来 る。
13)
m☆
上 ,1997)。
=1-α ☆・
「三 点法 」及 び「四点 法 」 な る解析 方法 は ,秋
元博 一 氏 の研 究 に資 す るべ く,未 公 開 の形 で ,利
只 今 の m☆ 値 を用 いて ,再 び「 三 点 法」 に依 る
計 算 を試 み ,パ ラメ タ :A,β ,kの 値 を定 めて行
用 が 図 られ た もの で あ る。 その後 ,本 法 の位 置付
けの必 要性 を感 ず るに至 り,口 頭 で はあ るが研 究
くの で あ る。 以 下 ,こ れ の 繰 り返 しで ,「 四点 」
を通 る Richardsの 曲 線 を決 定 して 行 く。「四 点
会 で 発 表 を行 な っ た (井 上 ,1992)。 更 に ,具 体
的 な計 算 要領 を公 開 す べ く,研 究会 で ,配 布 資料
法 」 の適 用 は ,「 三 点 法 」 の 場 合 よ りも ,少 しば
か り工 夫 を要 す るか も知 れ な い。
「三 点 法 」 の 場 合 ,算 出 され た パ ラ メ タ :A,
に基 づ いて の解説 を試 み た (井 上 ,1999)。
「四点法」 の計 算要領 を公開す るのは,今 回が
か
β,kに 対 す る数 値 群 が 適 切 な もの で あ るか否
を判 定 す るに は ,そ れ の “適 合度 "を 問 えば良 い。
種 々 の もの が 考 え られ るで あ ろ うが ,秋 元 は ,決
初 めててある。
謝
辞
1990)。
最小 自乗 法 と云 った ,既 に ,充 分 に確立 され た
方法 に基 づ いて の ,デ ー タ解析 な らば何 の疑 い も
「 四点 法 」 の場 合 に は ,更 に ,第 四番 目 のパ ラ
メ タ mが 加 わ る事 に な るが ,そ の 時 に も秋 元 ら
抱 くに及 ば な い処 で あ るが ,「 三 点 法 」 と云 う正
体 不 明 の未確 立 の 方法 に も拘 らず ,そ の有 用性 を
定 係 数 R2で 以 て ,こ れ を 行 な っ た (秋 元
,
は ,決 定 係 数 R2で 以 て ,こ れ を行 な っ て 居 る
(秋 元 ら ,1998b)。
「三点法」「四点法」に基づ く研究業績
Ⅳ。
両 方 法 の 中 で ,「 三 点 法 」 に基 づ い た 最 初 の論
文 は ,既 に十 年 も前 に発 表 され て 居 る の で あ る
,二 十 篇 以 上 もの 論 文 が
一部
種々の専門誌 に掲載 されて来て居 る (秋 元 〔
に 共 著 あ り〕,1991a,1991b,1991c:1992a,
1992b, 1992c, 1992d; 1993a, 1993b: 1994a,
(秋 元 ,1990)。 そ の 後
当初 か ら見抜 いて下 さ り,実 際 に御研 究 に も供 し
て下 さ る と云 う謂 わ ば大 冒険 を も辞 さぬ形 で本 法
を引 き立 てて下 さつた ,元 大 阪府 農林 技術 セ ン タ
ー の秋 元博 一 氏 に対 し深甚 な る感 謝 の意 を表 しま
す。
生物 の成長現 象 以外 に は ,我 々 に は具体 的 な適
用経験 が 皆無 で あ つた に も拘 らず ,競 技 記録 等 ヘ
の応用 の着想 を持 たれ ,内 包 す る種 々 の 問 題 を克
服 され て ,研 究 の成 果 を公 に され るに至 られ た現
代体育 研 究所 所長 の田 中信雄 教授 に対 し ,心 か ら
井上
6
秋 元 博 一 ,平 岡英 一 ,山 田 博 之 :3点 法 を用 い た
Richards growth model当 て はめに よ る土佐 地 鶏 の
の敬 意 と謝 意 を表 します 。
(平 成 11年 10月 20日
猛
)
体 重 成 長 の 解 析 .獣 医 畜 産 新 報 ,4818),625630,
1995b.
参
考
文
献
1)秋 元博 一 :ネ コにお ける体重 および内臓諸器官 の成長
の解析 .成 長 ,29(1・ 2),151158,1990.
2)秋 元博 一 :ロ ー ド・ アイラ ン ド・ レ ッ ド鶏の体重 の成
長解析 .畜 産 の研 究 ,4ヨ 9),949952,1991a.
3)秋 元博 一 ,飯 野雅夫 :ニ ワ トリの体重 の成長解析 にお
ける Richards growth modelと 3点 法 の機能 に つい
て .獣 医畜産新報 ,44a幼 ,3742,1991b.
4)秋 元博 一 :比 内鶏 の体重成長 と成長 曲線 モ デル推定 に
お ける 3点 法 と最小 自乗法 の比 較 .成 長 ,3∝ 2),119
125, 1991c.
5)秋 元博 一 :成 長 曲線 モデルの当て はめによる比 内鶏 の
成長解析 .畜 産 の研究 ,4α 8),885888,1992a.
6)秋 元博 一 ,田 中 実 :3点 法 および最小 自乗法 による
ア ヒル
(中
国系ペ キ ン種 )の 体重 の成長解析
獣医畜
産新報 ,450D,879885,1992b.
7)秋 元博 一 :非 線形発育 モ デル あて はめによる比 内鶏 の
体 重成長 の解 析 .成 長 ,31(2),6979,1992c.
8)秋 元博 一 :3点 法 に よる測 定点数 の少 な い薩摩鶏 の体
重 の成長 解析 .獣 医情 報 科 学雑誌 ,29,511,1992d.
9)秋 元博 一 :非 線形発育 モ デル あて はめによる薩摩鶏 の
体 重 成 長 の 解 析 .獣 医 情 報 科 学 雑 誌
,30,2130,
1993a.
10)秋 元博 一 :肉 用型薩摩鶏 の体 重成長 の解析 畜産 の研
究 ,4π 5),567570,1993b.
H)秋 元博 一 :Richards growth model当 て はめに よる
秋元博 一 :ア ヒルの体重成長 の解析 における理 論 曲線
の適 合度判 定法 に関す る一 考察 .成 長 ,34(1),2125,
1995c.
秋元博 一 :飼 育下 にお ける日本産 ハ ツカネズ ミの体 重
成長 の解析 .森 林野性動物研究 会誌 ,21,410,1995
d
秋 元博 一 ,鶉 野 保 :Richards growth model当 て
はめによる大和肉鶏 の体重成長 の解析 と理論 曲線 の適
合度判定 法 に関す る一 考 察 .獣 医情 報 科 学 雑 誌 ,36,
7-12, 1996a.
秋元博 一 :非 線形発育 モ デル 当 て はめによる家兎 の体
重成長 の解析 .成 長 ,3駅 1),2735,1996b
秋元博 一 ,荒 井敢 太 :Richards growth modelに よ
る飼育下 におけるカル ガ モ の体重成長 の解析 .森 林野
性動物研究 会誌 ,23,612,1997a
秋元博 一 :Richardsの 成 長 関数 に よる豚 (ラ ン ドレ
ー ス 種 )の 体 重 成 長 の 解 析 成 長 ,3α 2),3337,
1997b.
秋 元博 一 :3点 法 を用 い た Richards growth model
当て はめによる岐阜地鶏 の体成長 の解 析 .成 長 ,37(2),
53-60, 1998a.
秋 元 博 一 ,松 崎 正 治 :4点 法 を 用 い た Richards
growth model当 て はめによるニ ワ トリ (熊 本種 )の
体重成長 の解析 .獣 医畜産 新 報 ,51(2),97102,1998b.
井上 猛 :「 3点 法」,「 4点 法 Jな る ものの成長解析
へ の応 用 .第 24回 成 長 談 話 会 大 会 講 演 抄 録 集 ,15,
名古屋種 の増体選抜 に伴 う体重成長 の解析 .獣 医畜 産
1992.
新報 ,4ズ 5),361366,1994a.
12)秋 元博 一 :3点 法 お よび最小 自乗法 に よるア ヒルの体
重成長 の解析 .畜 産 の研究 ,4&7),794798,1994b.
13)秋 元博 一 :子 馬 (サ ラブ レ ッ ド種 )の 体重 に基づ く成
長 パ タ ー ン の 3点 法 を 用 い た Richards growth
井上
猛 :ア ロメ トリー と成長 曲線 .現 代体育研 究所
紀要 ,5158,1997.
井上 猛 :「 三 点 法」 に依 る Richards曲 線 の計 算 要
領 .第 31回 成長談話会大 会講演抄録集 ,21,1999.
亀田佳代子 ,秋 元博 一 :キ ジバ トの雛 にお ける体重 お
modelに よ る推 定 .獣 医 情 報 科 学 雑 誌 ,32,2328,
よび附 瞭 骨 長 の 成 長 解 析
1994c.
25・
14)秋 元博 一 :非 線形発育 モ デル あて はめによるカニ クイ
ザ ル の体重成長 の解析 .成 長 ,3al),1319,1994d.
15)秋 元博 一 :比 内鶏 における特定 の 3測 定値 に対 す る 3
森林 野 生 動 物 研 究会 誌
村 上博 巳 ,田 中信雄 ,足 利 善 男 ,蔭 山靖 夫 ,堀 清
記 :Richards growth modelに よる世 界 記録 の 解 析
― 陸上競技男子 100m走 における最高記録 の解析 ―
点法 に よる Richards growth modelの 当 て はめ .獣
現代体育研究所紀 要 ,
医情報科学雑誌 ,33,16,1994e.
Richards, F J.: A flexible growth function for
empirical use.J.Exp Bot.,10,290-300,1959
16)秋 元博 一 :家 兎大型 肉用種 の体重成長 の解析 .畜 産 の
研究 ,4∝ 4),468472,1995a.
,
26, 85-94, 2000.
9,715,2000.
,