追記:ウェブサイト用に,ヒント・略解は削っています. 線形代数学続論(2013 年度前期) 演習問題(Part I: 複素正方行列に関する一般固有空間と Jordan 標準形) 1 (1) A ∈ Mn (C) とする.k を正の整数とし,v ∈ Cn は,Ak−1 v 6= 0, Ak v = 0 を満たすとする.この とき,k 個のベクトル v, Av, . . . , Ak−1 v は一次独立であることを示せ. (2) N ∈ Mn (C) に対して,N がべき零(nilpotent)とは,ある正の整数 ` が存在して,N ` = O とな ることである.N ∈ Mn (C) がべき零のとき,N n = O であることを示せ. 2 a, b, c を複素数とする.次の 3 次複素正方行列 A の Jordan 標準形がどうなるか調べよ.(P −1 AP が Jordan 標準形となる正則行列 P を求める必要はない.) 1 a b A = 0 1 c 0 0 2 3 次の 4 次複素正方行列 A の Jordan 標準形を求めよ.P −1 AP が Jordan 標準形となる正則行列 P も一 つ求めよ. −4 −1 −5 1 1 1 2 2 3 −2 −1 −2 3 0 A= −1 1 4 A ∈ Mn (C) は,ある正の整数 ` があって,A` = En になるとする.このとき,A は対角化可能な行列で あることを示せ. 5 A ∈ Mn (C) の Jordan 標準形は,Jordan 細胞の並び替えの違いを除いて,A から一意的に定まること を示せ. 6 V は C 上の有限ベクトル空間とし,f : V → V は線形写像とする.W は f (W ) ⊆ W をみたす V の部 分空間とし,g = f |W : W → W とおく.V の適当な基底が存在して,その基底に関する f の行列表示 が対角行列になるとする.このとき,W の適当な基底が存在して,その基底に関する g の行列表示が対 角行列になることを示せ. 7 A, B ∈ Mn (C) はいずれも対角化可能な行列とする.このとき,AB = BA ならば,ある正則行列 P が 存在して,P −1 AP, P −1 BP は同時に対角行列になることを示せ. 8 ある正則行列 P が存在して,Y = P −1 XP となるとき,X, Y ∈ Mn (C) は相似であるという.任意の A ∈ Mn (C) に対して,A と tA は相似か? 1 A ∈ Mn (C) とする.A の固有多項式を 9 FA (X) = (X − α1 )e1 (X − α2 )e2 · · · (X − αt )et (α1 , α2 , . . . , αt は相異なる複素数,e1 , e2 , . . . , et は 1 以上の整数)と表す. (1) V (αi ) = {x ∈ Cn | (A − αi E)ei x = 0} とおくとき,Cn = V (α1 ) ⊕ V (α2 ) ⊕ · · · ⊕ V (αt ) を示せ. (2) dim V (αi ) = ei を示せ. (3) A の最小多項式を,ϕA (X) = (X − α1 )m1 (X − α2 )m2 · · · (X − αt )mt と表すとき, mi = min{m ∈ N | (A − αi E)m x = 0 for any x ∈ V (αi )} であることを示せ. 10 ∗ A は n 次複素正方行列とする.次の条件をみたす n 次複素正方行列 S と N が A からただ一つ定まる ことを示せ. (i) A = S + N . (ii) S は対角化可能,N はべき零行列で,SN = N S をみたす. この分解 A = S + N を A の Jordan 分解という. 11 ∗ この問題では,実行列を考える. { } SO(n) := A ∈ Mn (R) | tAA = E, det(A) = 1 を,n 次特殊直交群という.また, o(n) := {X ∈ Mn (R) | 任意の t ∈ R に対して,exp(tX) ∈ SO(n)} とおく(o(n) は SO(n) の Lie 環とよばれる). (1) exp(t tX) exp(tX) = E が,任意の t ∈ R に対して成り立ったとすると,両辺を t について微分 して, (t ) X exp(t tX) exp(tX) + exp(t tX) (X exp(tX)) = O を示せ.さらに,t = 0 を代入することで,tX + X = O(つまり X は交代行列)となることを示せ. (2) o(n) = {X ∈ Mn (R) | tX + X = O} を示せ.((1) より ⊆ は示したので,⊇ を示す.すなわち,X を交代行列とするとき,任意の t ∈ R に対して exp(tX) ∈ SO(n) となることを示す.) (3) SO(n) について,指数写像 exp : o(n) → SO(n), X 7→ exp(X) は全射であることを示せ. 2
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