§13. 線形変換とJordan可測集合の体積

応用解析学2・第 13 回 (2016 年 12 月 24 日)
§13. 線形変換と Jordan 可測集合の体積
ここでは、線形変換 T により Jordan 可測集合は、体積が T の行列式の絶対値倍された
Jordan 可測集合に写されることを証明する。
● 13 - 1 : 体積の平行移動不変性
平行移動の下で Jordan 可測集合の体積は変わらない。すなわち、次が成り立つ。
補題 13 - 1
a ∈ Rn だけの平行移動
Ta : Rn −→ Rn ,
Ta (x) = x + a
(x ∈ Rn )
(
)
について、E ⊂ Rn が Jordan 可測ならば Ta (E) も Jordan 可測であり、µ Ta (E) = µ(E).
(証明)
(
)
例 12 - 5 より E ⊂ Rn が Jordan 可測ならば、Ta (E) も Jordan 可測である。µ Ta (E) = µ(E)
を示すには、E ⊂ R となる閉直方体 R をとり、命題 6 - 5 を f = χE に対して適用すればよい
(E は Jordan 可測であるから χE は R 上積分可能であることに注意)。χE ◦ T−a = χTa (E) で
あり、Ta (R) は Ta (E) を含む閉直方体であることがわかるから
∫
∫
(
) ∫
µ Ta (E) =
χTa (E) =
χE ◦ T−a = χE = µ(E).
Ta (R)
Ta (R)
□
R
● 13 - 2 : 線形変換による Jordan 可測集合の像の体積と行列式
次の定理を証明することがこの節における主目標である。
定理 13 - 2
E ⊂ Rn を Jordan 可測集合、T : Rn −→ Rn を線形変換とする。このとき、T (E) も Jordan
可測となり、次式が成り立つ:
(
)
µ T (E) = |detT | µ(E).
(13 - 2 a)
この定理をいくつかの段階に分けて示す。最初に、超平面は容量 0 であることを示しておく。
ここで、Rn の超平面とは、同時には 0 でない n 個の実数 a1 , . . . , an と実数 b を用いて
{ (x1 , . . . , xn ) ∈ Rn | a1 x1 + · · · + an xn = b }
により与えられる Rn の部分集合のことをいう。超平面は、n = 1 のときは 1 点集合であり、
n = 2 のときは直線、n = 3 のときは平面である。
補題 13 - 3
A ⊂ Rn がある超平面に含まれる有界集合のとき、A の n 次元容量は 0 である。
(証明)
A を含む超平面を P = { (x1 , . . . , xn ) ∈ Rn | a1 x1 + · · · + an xn = b } とする。a1 , . . . , an の
中に 0 でないものが存在する。n 次元容量が 0 であるという性質は成分の入れ替えで変わらな
いから、必要ならば成分の入れ替えを行い、an ̸= 0 としておく。(成分の入れ替えにより、A は
別の集合になるが、その集合もまた有界であり、ある超平面に含まれる。変換後の A の容量が
0 であることを示せば、A の容量も 0 であることがわかる。) すると、連続写像
f : Rn−1 −→ R,
f (x1 , . . . , xn−1 ) =
– 98 –
b − (a1 x1 + · · · + an−1 xn−1 )
an
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が定義され、P = G(f ) と表わされる。A は有界であるから、A ⊂ R × [c, d] となる Rn−1 の
閉直方体 R と閉区間 [c, d] が存在する。A ⊂ P = G(f ) でもあるから、
A ⊂ G(f ) ∩ (R × [c, d]) ⊂ G(f ) ∩ (R × R) = G(f |R )
となることがわかる。f は連続なので f |R も連続で、R はコンパクトなので f |R は有界であ
る。したがって、補題 11 - 1 より G(f |R ) およびその部分集合 A は n 次元容量 0 である。 □
定理 13- 2 において E が閉直方体で、T が線形同型写像の場合を考えよう。まず、次を示す。
補題 13 - 4
I ⊂ Rn を閉直方体、T : Rn −→ Rn を線形同型写像とすると、T (I) は Jordan 可測となり、
(
)
µ T (I) = c µ(I)
が成り立つ。但し、c は、I0 := [0, 1] × · · · × [0, 1] として c := µ(T (I0 )) によって定まる正
の定数である。
(証明)
例 12 - 5(2) より T (I) は Jordan 可測集合である。
(
)
c > 0 を示す。a = (1/2, . . . , 1/2) ∈ I0 をとると、T (a) ∈ T (IntI0 ) = Int T (I0 ) であるか
(
)
ら、T (a) を内点に含む閉直方体 J で、Int T (I0 ) に含まれるものが存在する。補題 10 - 4(2)
より、µ(T (I0 )) ≥ µ(J) であることがわかるから、c = µ(T (I0 )) ≥ µ(J) > 0 である。
さて、m ∈ N を任意にとり、I0 の各辺を m 等分することにより、I0 の分割 ∆m を作る。
c
任意の S ∈ ∆m に対して µ(T (S)) = n である。
m
∵)
∆m の任意の 2 つの小閉立方体は平行移動によりぴったり重ねることができるから、
それらの T による像もまた平行移動によりぴったり重ねることができる。したがって、補
題 13 - 1 により、それらの体積はすべて等しい。すなわち、任意の S1 , S2 ∈ ∆m に対して
µ(T (S1 )) = µ(T (S2 )) である。一方、T は線形同型写像より、T (S1 )∩T (S2 ) = T (S1 ∩S2 )
である。ここで、S1 , S2 は Jordan 可測なので、S1 ∩S2 も Jordan 可測であり (補題 10 - 4)、
S1 ̸= S2 ならば S1 ∩ S2 は座標軸に平行なある超平面に含まれる。したがって、S1 ̸= S2
ならば µ(S1 ∩ S2 ) = 0 である (補題 13- 2)。S1 ∩ S2 はコンパクトゆえ、系 12 - 3 と補題
(
)
(
)
10 - 7 より、µ T (S1 ∩ S2 ) = 0 が従う。故に、µ T (S1 ) ∩ T (S2 ) = 0 である。
以上のことに注意して、補題 10 - 4(1) を繰り返し用いることにより、
∑
c = µ(T (I0 )) =
µ(T (S)) = mn µ(T (S0 ))
S∈∆m
が得られる。但し、S0 は ∆m に属する任意の小閉立方体である。
□
I における各辺の長さがすべて有理数であるとき、補題が成り立つことを示す。I の各辺の
mn
m1
, . . . , rn =
(m, m1 , . . . , mn ∈ N) のように分
長さを r1 , . . . , rn とおく。これらを r1 =
m
m
母が共通の分数で表示しておく。すると、I は一辺の長さが 1/m であるような m1 · · · mn 個の
c
閉立方体に分割される。したがって、µ(S) = n を示したときと同じ考え方により、
m
1
µ(T (I)) = m1 · · · mn · µ(T (J)) (J は一辺の長さが
であるような閉立方体)
m
– 99 –
応用解析学2・第 13 回 (2016 年 12 月 24 日)
c
であるから、次の等式を得る:
mn
c
m1
mn
µ(T (I)) = m1 · · · mn n = c ·
···
= cr1 · · · rn = cµ(I).
m
m
m
次に、I を勝手な閉直方体とする。R における Q の稠密性により、I1 ⊂ I ⊂ I2 を満たす、す
となることがわかる。µ(T (J)) =
べての辺の長さが有理数であるような閉直方体 I1 , I2 が存在する。T (I1 ) ⊂ T (I) ⊂ T (I2 ) ゆえ
cµ(I1 ) = µ(T (I1 )) ≤ µ(T (I)) ≤ µ(T (I2 )) = cµ(I2 )
となる。任意の ε > 0 に対して、このような I1 , I2 をさらに µ(I2 ) − µ(I) <
を満たすようにとることができるから (補題 12 - 1 の証明を参照)、
ε
ε
, µ(I)− µ(I1 ) <
c
c
−ε < c(µ(I1 ) − µ(I)) ≤ µ(T (I)) − cµ(I) ≤ c(µ(I2 ) − µ(I)) < ε
となる。これが任意の ε > 0 に対して成り立つのは、µ(T (I)) = cµ(I) のときに限る。
□
補題 13 - 5
E ⊂ Rn を Jordan 可測集合、T : Rn −→ Rn を線形同型写像とすると、T (E) も Jordan 可
(
)
(
)
測集合となり、µ T (E) = c µ(E) が成り立つ。但し、c = µ T (I0 ) , I0 = [0, 1] × · · · × [0, 1]
である。
(証明)
例 12 - 5 より T (E) は Jordan 可測である。
E ⊂ R を満たす閉直方体 R を考える。E は Jordan 可測なので、χE は R 上で積分可能で
ある。よって、任意に ε > 0 を与えると、
(13 - 2 b)
V (χE , ∆) <
を満たす R の分割 ∆ が存在する。E1 , E2 を
∪
E1 :=
I,
ε
c
E2 :=
I∈∆
I⊂E
∪
I
I∈∆
I∩E̸=∅
と定めると、E1 ⊂ E ⊂ E2 が成り立つ。よって、T (E1 ) ⊂ T (E) ⊂ T (E2 ) であり、
(
)
(
)
(
)
(13 - 2 c)
µ T (E1 ) ≤ µ T (E) ≤ µ T (E2 )
(
)
)
∑ (
c
µ T (I)
が成り立つ。補題 13 -4 の証明における µ(I) = n の導出過程と同様に µ T (E1 ) =
m
I∈∆
I⊂E
(
)
(
)
がわかるが、各 I について µ T (I) = cµ(I) が成立する (補題 13-4) ので、µ T (E1 ) = cµ(E1 )
(
)
を得る。同様にして、µ T (E2 ) = cµ(E2 ) が示される。この 2 式を (13 - 2 c) に代入して、
(
)
cµ(E1 ) ≤ µ T (E) ≤ cµ(E2 )
が導かれる。この不等式と cµ(E1 ) ≤ cµ(E) ≤ cµ(E2 ) から、
(
)
(
)
(13 - 2 d)
|µ T (E) − cµ(E)| ≤ c µ(E2 ) − µ(E1 )
が得られる。ここで、µ(E1 ) = L(χE , ∆), µ(E2 ) = U (χE , ∆) であることに注意し、(13 - 2 b)
を使うと、
(
)
(
)
|µ T (E) − cµ(E)| ≤ c µ(E2 ) − µ(E1 ) = cV (χE , ∆) < ε
(
)
がわかる。これは µ T (E) = cµ(E) を意味する。
– 100 –
□
応用解析学2・第 13 回 (2016 年 12 月 24 日)
定理 13 - 2 の証明のために次を用いる (証明は一松信『代数学入門第二課』p.67–73 を参照)。
定理 13 - 6
n 次実正方行列全体を Mn (R) と表わす。関数 σ : Mn (R) −→ R が次の 2 条件を満たすと
き、σ は行列式 det に一致する。
(Det1) 任意の A, B ∈ Mn (R) に対して σ(AB) = σ(A)σ(B).
(Det2) 任意の対角行列 A = diag(λ1 , . . . , λn ) ∈ Mn (R) に対して σ(A) = λ1 · · · λn .
これで定理 13 - 2 を証明する準備が整った。
(定理 13 - 2 の証明)
最初に、det T = 0 の場合にも、T (E) が Jordan 可測で、µ(T (E)) = 0 であることを示す。
T (E) が有界であることは、定理 12 - 4 の証明の冒頭部分と同様にしてわかる。T (E) が Jordan
可測で、µ(T (E)) = 0 であることを示すには、補題 10 - 7 より、T (E) の容量が 0 であることを
示せばよい。今、det T = 0 であるから、T (E) は Rn の中のある超平面 P に含まれる。T (E)
が有界であることと合わせて補題 13- 3 を適用すると T (E) は容量 0 であることがわかる。
ここまでの議論と補題 13- 5 により、線形変換 T に対して
c(T ) := µ(T (I0 ))
(但し、I0 = [0, 1] × · · · × [0, 1]) と定めれば、どんな Jordan 可測集合 E に対しても
(13 - 2 e)
µ(T (E)) = c(T )µ(E)
が成り立つことがわかる。
⃝
1 (13 - 2 e) より、Rn 上の任意の線形変換 S, T と任意の Jordan 可測集合 E に対して
(
)
(
)
c(S ◦ T )µ(E) = µ (S ◦ T )(E) = c(S)µ T (E) = c(S)c(T )µ(E).
よって、c(S ◦ T ) = c(S)c(T ) である。
⃝
2 λ1 , . . . , λn ∈ R とし、T を T (x1 , . . . , xn ) = (λ1 x1 , . . . , λn xn ) により定義される線形変換
とする。すべての i について λi ̸= 0 ならば T は正則であり、T (I0 ) は各辺の長さが |λi | で
あるような閉直方体である。したがって、c(T ) = µ(T (I0 )) = |λ1 · · · λn | である。この等式は
λ1 , . . . , λn の中に 0 が含まれているときも正しい。つまり、任意の λ1 , . . . , λn ∈ R に対して
(13 - 2 f)
c(T ) = |λ1 · · · λn |.
任意の線形変換 T に対して c(T ) = |detT | となることを示す。そのために、
{
1 (det T ≥ 0),
ε(T ) :=
−1 (det T < 0)
とおく。すると、
c(T ) = |detT | ⇐⇒ detT = c(T )ε(T )
となる。ここで、
(13 - 2 g)
σ(T ) := c(T )ε(T )
は⃝
1, ⃝
2 より定理 13- 4 における 2 条件 (Det1),(Det2) を満たすことが確かめられる。したがっ
て、σ = det、すなわち、detT = c(T )ε(T ) である。こうして、定理 13-2 の証明が終わった。 □
演習 13 - 1 (13 - 2 g) の σ が実際に定理 13 - 4 の条件 (Det1),(Det2) を満たすことを確認せよ。
– 101 –
No.13
応用解析学2演習問題
線形変換と Jordan 可測集合の体積
2016 年 12 月 24 日
体積、平行移動、線形変換、行列式、超平面
Jordan 可測集合
演習問題 13.
a, b, c を相異なる定数とし、R3 において a = (1, a, a3 ), b = (1, b, b3 ), c = (1, c, c3 ) によっ
て張られる平行体
P = { sa + tb + uc | 0 ≤ s ≤ 1, 0 ≤ t ≤ 1, 0 ≤ u ≤ 1 }
を考える。P は Jordan 可測であることを示し、その体積 µ(P ) を求めよ。
演習問題 12(2) の訂正版:
f を D = { (x, y, z) ∈ R3 | 0 ≤ x ≤ 1, 0 ≤ y ≤ 1 − x, 0 ≤ z ≤ x + y } 上で定義された連続
関数とする。反復積分
∫ 1 (∫
0
0
の順序を x, y, z の順に変更せよ。
1−x (∫ x+y
0
) )
f (x, y, z) dz dy dx
応用解析学2 [第 13 回]・関連図作成シート
の関連図
2016 年 12 月 24 日
学籍番号
氏 名
応用解析学2通信
[No.13]
2016 年 12 月 24 日発行
■ 訂正
第 11 回学習内容チェックシートと第 12 回の演習問題 (2) に誤りがあります。後者の誤りの
訂正版を今回の演習問題の下に掲載しましたので、そちらをご覧ください。前者の誤りは Q1 の
1 行目から 2 行目にかけてと、12 行目にあります。上の行から順番に以下のように訂正します
(グレーの部分が訂正・追加箇所です):(i) A を A ⊂ Rn に、(ii)「定義された 2 つの連続関数」
を「定義された 、ψ(x) ≤ φ(x) (x ∈ A) を満たす 2 つの連続関数」に、(iii) ψ, φ : A −→ Rn
を ψ, φ : A −→ R に、(iv)「みなすことができため」を「みなすことができ る ため」に。
■ 第 11 回学習内容チェックシートについて
Q1 の最後の 3 つの枠と Q2 の積分順序の変更が正しく書けていないシートが多かったです。
まず、Q1 の最後の 3 つの枠について説明します。D2 は単位円の内部および周からなる R2 の
√
√
部分集合ですが、これは 2 つの曲線 y = − 1 − x2 (−1 ≤ x ≤ 1) と y = 1 − x2 (−1 ≤ x ≤ 1)
によって囲まれた部分とみることができます。これらの曲線を関数として書いたものが ψ, φ に
√
なります。関数なので、ψ : [−1, 1] −→ R, ψ(x) = −√ 1 − x2 のように定義域を明記する必要が
∫ 1 (∫ 1−x2
)
あります。Q1 の最後の枠は少し狭いですが、
f
(x,
y)dy
dx と書き入れてください。
√
Q2 の積分順序の変更を行うには、(x, y) ∈
−1
R2
−
1−x2
が D 内を動くとき、x, y が取り得る範囲を調
√
べる必要があります。D の範囲を図示すると、x は 0 から a まで、y は 0 から a までの値
を取ることが簡単にわかります (この段階で最後の等式の左辺と右辺の括弧の外側の積分範囲
がわかります)。しかし、x と y の間には y ≥ x2 という関係があるので、x と y は独立に動く
√
ことは出来ません。括弧の内側の積分範囲を求めるには、x ∈ [0, a] を固定したときの y の範
囲、y ∈ [0, a] を固定したとき x の範囲を調べる必要があります。
■ 第 11 回学習内容のまとめを書くためのヒント
第 11 回のまとめを書くためのヒントを提供しますので、これを参考に修正してください。
• 第 8 節で学んだことの延長であることを意識して、「閉直方体上での重積分に関するフビ
ニの定理は Jordan 可測集合上の重積分に対して拡張される。」のように書き出す。
• 一般の場合から始めると大変なので、縦線集合上での連続関数に絞ってフビニの定理の拡
張版を説明する。例えば、「特にその Jordan 可測集合が、Jordan 可測なコンパクト集合
A ⊂ Rn 上で ψ ≤ φ を満たす、2 つの連続関数 ψ, φ から定まる縦線集合 D = { (x, y) ∈
Rn+1 | x ∈ A, ψ(x) ≤ y ≤ φ(x) } で与えられる場合には、」のように続ける。
• 最後に「この拡張されたフビニの定理を用いて」とつないで、例えば、縦線集合 D =
{ (x, y) ∈ R2 | x ≥ 0, 0 ≤ y ≤ 1, y ≥ x2 } 上の連続関数 f に対して、D 上での重積分の
値がどのような反復積分として計算できるのかを説明する。
■ 本日の課題と要再提出のチェックシートの提出日
本日の課題と要再提出のチェックシートは 1 月 13 日 (金) に私の研究室に提出してください。
応用解析学2・第 13 回学習内容チェックとまとめシート
学籍番号
2016 年 12 月 24 日
氏 名
[テーマ]
[学習内容のチェック]
Q1. C 1 -級写像 g による Jordan 可測集合 E の像の体積は、適当な条件を満たしていることを
前提に、
T :
Rn
−→
の絶対値を E 上で重積分することにより求められる。g が線形変換
Rn
のときには、Jordan 可測集合 E ⊂ Rn の像の体積は
· · · · · · · · · (∗)
µ(T (E)) =
により与えられることがわかる。この公式 (∗) を特別な線形変換に適用して次のことがわかる。
(1) T が “相似”変換、すなわち、ある定数 λ1 , . . . , λn ∈ R を用いて T (x1 , . . . , xn ) = (λ1 x1 , . . . ,
(
)
λn xn ) のように与えられるとき、µ T (E) =
となる。
(2) T が直交変換、すなわち、ある直交行列 P から定まる線形変換 TP : Rn −→ Rn として
(
)
与えられるとき、µ T (E) =
となる。なぜならば、P P T = In (但し、P T は P の転
置行列、In は単位行列) の両辺の行列式をとることで det T =
がわかるからである。
Q2. (∗) は次の 3 つのことから導かれる。
⃝
1 任意の線形変換 T の下で Jordan 可測集合 E に対して µ(T (E)) = c(T )µ(E) が成り立
つ。但し、c(T ) = µ(T (I0 )) であり、I0 =
行移動の下で
である。その証明の際に、平
の体積が不変であることが使われる。
⃝
2 行列式は次の 2 条件を満たす関数 σ : Mn (R) −→ R として特徴づけられる。
(Det1)
(Det2)

 c(T )
⃝
3 線形変換 T に対して σ(T ) =
−c(T )
(
)
(
)
,
と定めると、σ は⃝
2 を満たす。
[学習内容のまとめ] 次の事項を守り、第 13 回の学習内容を下の破線より下に文章で書きなさい。
線形変換による Jordan 可測集合の体積の変化について述べる。
上の項目における結果を導く際に鍵となる事柄 (平行移動の下で Jordan 可測集合の体積不変性、行列式の
特徴づけの応用の仕方など) を説明する。
論理記号 ∀, ∃, ⇒, ⇔, ∨, ∧ を使用しない (集合の記号 { , }, ∈, ⊂ や写像の記法は使用可)。
「(記号):(その説明)」のような略式的表現法を避ける。
「したがって」
「一方」
「例えば」など、適宜適切なつなぎの言葉を入れる (但し、
「また」を濫用しない)。
定義や定理などの列挙に終始したり、事実の箇条書きにならないようにする。
応用解析学2 [第 13 回]・関連図作成シートに含めるべき項目
⃝
1
Ta :R 上の a ∈ R だけの平行移動
E ⊂ Rn :Jordan 可測
(
)
=⇒ Ta (E):Jordan 可測、µ Ta (E) = µ(E)
n
n
⃝
2
T : R −→ R :線形変換
E ⊂ Rn :Jordan 可測集合
(
)
=⇒ T (E):Jordan 可測で、µ T (E) = |det T | µ(E)
n
n
⃝
3
P ⊂ R が超平面
def
⇐⇒ ∃ a1 , . . . , an , b ∈ R s.t. (a1 , . . . , an ) ̸= 0,
P = { (x1 , . . . , xn ) ∈ Rn | a1 x1 + · · · + an xn = b }
n
⃝
4
∃ P :Rn の超平面 s.t. A ⊂ Rn :有界
=⇒ A:n 次元容量 0
5
⃝
T : Rn −→ Rn :線形変換
E ⊂ Rn :Jordan 可測
(
)
=⇒ T (E):Jordan 可測で、µ T (E) = c µ(E)
(
)
但し、c = µ T (I0 ) , I0 = [0, 1] × · · · × [0, 1]
⃝
6
関数 σ : Mn (R) −→ R について、
{
(Det1) ∀ A, B ∈ Mn (R), σ(AB) = σ(A)σ(B).
σ = det ⇐⇒
(Det2) ∀ A = diag(λ1 , . . . , λn ) ∈ Mn (R), σ(A) = λ1 · · · λn .