O8-1 透析患者に「笑いヨガ」を取り入れて ~笑いのある人生・ない人生 あなたはどちらを選びます?~ 医療法人如水会 鈴鹿腎クリニック1)、医療法人如水会 四日市腎クリニック2) ○藤川兼一1)、伊藤真貴1)、中村奈美1)、山本和昇1)、中田敦博1)、伊藤英明子1) 岩島重二郎1)、伊藤 豊2)、河出恭雅1)、河出芳助1) 笑いはストレスを軽減し、免疫バランスを整える。 【目的】 【まとめ】笑いヨガは、透析患者にとって心身ともに有用 そこで、当院では笑いヨガを導入し、笑いの効能を多く な方法であると思われる為、今後も継続して笑う環境を の透析患者に提供する事で、透析患者の生きる力を支援 作る事が重要であると考えられる。 する 1 つになるのではないかと検討した。 当院にて血液透析を受けている患者とその家族。 【対象】 各シフト週 1 回 3 0 分程度実施。 【方法】 評価項目として、アンケート調査・血液検査を実施。 【結果】アンケート結果・採血結果から、開始時から比較 すると笑いヨガの効果が認められた。又、笑いヨガを実 施していく中で、人生に前向きになった症例を経験した。 【考察】透析患者に笑いヨガを取り入れる事は、患者とそ の家族のストレスの軽減に繋がり、精神状態を向上させ、 透析患者の生きる力を支援する方法のひとつになるので はないかと考えられた。 O8-2 透析患者のバリクレニンによる禁煙治療と精神的支援 医療法人聡生会 阪クリニック1)、小児腎疾患総合管理研究所 2) ○野村幸範1)、沖崎絵衣1)、遠山 明1)、加藤 悟1)、三浦敦子1)、木下香織1)、 内田満美子1)、阪 聡1)、酒井 糾2) 【目的】禁煙補助薬バレニクリン(VN)で禁煙治療した血 液透析患者の禁煙達成度を検討する。禁煙治療における 透析患者の精神的支援の在り方を検討する。 あった。 【考察・結語】維持透析を継続することの精神的負担や 【方法】対象は 2 0 11 年から 2 0 1 3 年に VN により禁煙治 VN アドヒアランスの低下が喫煙再開となった。禁煙治 療をした患者 7 例である。VN 投与量は 0 . 5 mg/ 日を 1 療の目的は身体疾患の予防ではなく、治療者 ‐ 患者関係 週間、その後 1 . 0 mg/ 日を 11 週間投与した。導入量、 の強化でもある。治療者と患者双方の自己効力感を高揚 維持量は健常者の半量以下とし、患者の忍容度により適 が目標である。再喫煙に対しては挫折や喪失を救済する 時減量した。 傾聴と共感などの透析スタッフからの心理的介入も必要 全例が男性、VN 内服希望が禁煙治療の動機付け 【結果】 であった。禁煙開始時の年齢は 3 6 歳〜 7 0 歳、HD 歴は 5 か月〜 2 2 年、喫煙歴は 1 8 〜 5 0 年であった。VN の主 な副作用を嘔気・便秘 5 例、抑うつ 1 例に認めた。全例 が VN 内服完了時に禁煙していたが、2 0 1 4 年 1 月時点 で禁煙を継続していたのは 2 例のみだった。VN 内服 1 2 64 週を含めた禁煙継続期間は 1 7 . 3±1 2 . 1 月(3 〜 3 6 月)で である。 【参考文献】1 中井久夫・山口直彦 :看護のための精神医学; 医学書院 2 0 0 4 2 . 神田橋條治 医学部講義:神田橋條治(著) , 黒木俊秀(編 集) , かしまえりこ(編集)創元社 2 0 1 3 3 . 森岡正博・寺田にゃんこふ:マンガ哲学入入門―生きるっ て何だろう ? ;講談社 2 0 1 3 O8-3 通院透析を拒否する患者と私 -看護場面を振り返って- 医療法人 おおしまクリニック こくさいじクリニック1)、医療法人 くぼじまクリニック2) ○栁澤千里1)、飯島日和1)、池田順一1)、小林美菜子1)、塚田真由美 2)、福島悦子2) 相澤純子1)、山下純男1)、大島譲二 2) 【目的】通院透析の自己中断を繰り返す患者との関わりに おける私の感情の変化を知る。 【方法】患者との出会いから転院に至るまでの関わりを振 り返り、その時の場面を文章化し再現する。文章は可能 な限り、私自身がその時に感じた事や考えたことを記述 する。また記憶が曖昧な場面は除外した。 定的な感情が生まれ全人的な視点で患者と関わる事がで きた。患者との関わりあいを文章化し客観視する事で、 自身の気持ちが整理され、私の看護態度のあり方や方向 性に気づきが得られた。 【まとめ】看護場面の振り返りは看護意欲の向上に有用で ある。 【考察】ヘンダーソンは「看護の相互作用は患者の行動に 対する看護婦の情緒的な、あるいはきわめて主観的な反 応とまったく切り離すことはできない。臨床判断はその 看護婦の過去の経験や価値体系に方向づけられる」 「看 護婦といえども先入観をもたないわけにはいかない」と 述べている。私は患者と出会った時、自己中心的な患者 と思い込み患者に対して否定的感情を抱いていた。患者 の体や感情(心)に触れることで否定的感情が緩和し、肯 O8-4 近々の透析医療の現場で思うこと−第7報 「ギリシャ神話−プロメテウスの火と物理学者朝永振一郎に学ぶ」 みやぎ清耀会 緑の里クリニック ○宍戸 洋 【緒言】日本の透析医療もその発展の中で多くの課題を宿 いうことであり、透析患者には生きたいという欲求と生 している。私はこれまでの本研究会で透析患者と医療者 かされていることへの畏怖の念の双方が必要である。一 との関係性を検討し、その一端を指摘してきた。今回は 方、それに関わり生業をなせる私達にも同じ謙虚さ、倫 大地震以後を踏まえ、透析医療が内包する今日的課題の 理観が求められる。 検討を行った。 【まとめ】大震災後、日本人は無常観を感じ自然への畏怖 朝 【 「プロメテウスの火」から科学 ‐ 透析医療を考える】 の念を持ち、人生観の変更を余儀なくされた。透析医療 永振一郎は“文明”について論じた講演の中で、天の火を の現場では、透析が「社会や文化に何をもたらしたのか 盗んで人間に与えたことでゼウスの怒りをかい、コーカ …この技術が存在するいま、どんな社会を築いていきた サスの山に鎖でつながれ、ワシに肝臓をつつかれるとい いのか」 (柘植あづみ) を論議する必要があろう。 う永遠の罰を受けたプロメテウスの神話をひきあいにし て、 “この神話は、人間は科学の力に対する恐れ、罰の意 識 ‐ 原罪を心の中に持つことが大切であることを教えて いる”と述べている。朝永のいう科学は現代の医療に直 結する。透析患者の生は、自然の摂理に抗って生きると 65 O8-5 血液透析患者の妊娠・出産・子育て 〜過去を振り返って頂いての心理的評価〜 東京女子医科大学 腎臓病総合医療センター 血液浄化療法科1)、東京女子医科大学 看護部2) 東京女子医科大学 腎臓病総合医療センター 第四内科3) ○木全直樹1)、広川牧子2)、松浦優衣2)、佐藤智美2)、星野慈恵3)、浅宮有香理3) 塚田三佐緒1)、三和奈穂子1)、土谷 健1)、大橋信子2)、秋葉 隆1) 【目的】今回、子供が 1 0 歳と 2 0 歳になられた透析妊娠経 逆に不安尺度に関する回答は、両親の援助の有無など生 験者2名に、過去を振り返って頂き、アンケート回答よ 活環境の違いに伴い、回答結果が異なっていた。透析関 り心理的評価を試みた。 連の回答は、医師・スタッフの透析妊婦の周産期管理経 」および 【方法・背景】方法は「母性理念質問紙(花沢) 験者の有無により、不安面で影響を与えていた。しかし、 「初妊婦の不安尺度(北海道大学) 」の項目を過去形に読 透析治療中の看護面に関しては、不満は無く、通常対応 み替えて頂き、透析関連の項目を加えたアンケート方式 で満足頂けていた。 を採用した。患者背景であるが、両症例の周産期から出 【考察】透析妊娠はリスク妊娠であり、安易に継続を勧め 産までの経過は大きく異なり、出生時体重も極小未熟児 るべきではない。しかし、回答や周産期経過が大きくこ (1 , 2 0 2 g、合併症有) と、低出生体重児 (2 , 3 8 0 g、合併 となる両者であったが、両名とも「子供を産んでよかっ 症無)であったが、共に 1 歳以降は標準発育曲線の平均 た」 、 「妊娠経過は楽しかった」と回答頂いており、妊娠・ 身長・体重付近で成長している。 子育てを行う事で、透析者であっても十分な満足が得ら 【結果】症例数が少ないことから、統計処理は行えていな れていると考えられた。 いが、母性理念質問紙の回答は両者とも類似していた。 O8-6 肝腫瘍患者の術前不安の軽減を試みて ~プロセスレコードで場面を振り返る~ 医療法人社団明生会 東葉クリニックグループ ○佐藤静枝、鷲見照美、宮本みづ江、小宮博一、田畑陽一郎 【目的】肝腫瘍を発症し不安を訴える患者に術前不安の にたくない・転移していたらどうしよう」 等の発言が聴か 程度と内容をプロセスレコード・STAI(状態- 特性不安 れ、睡眠導入剤の投与・受容・傾聴・タッチングといっ 尺度) ・ペプロウの不安レベルを使用し分析・検討した たそれぞれの不安レベルに応じた看護介入を行い不安の 【方法】1 研究デザイン 事例研究 2 研究対象 肝腫瘍を発症した 6 0 代女性 【結果】1)PET 前後で行った STAI では特性不安の点数 3 データー収集方法 に差はなかったが状態不安の点数に差を認めた 1) 個人を対象とした質問紙による調査法 2) ペプロウの不安レベルは中等度が多かった 2) プロセスレコードを使用した記述法 3)プロセスレコードを使用して場面の振り返りをした事 3) ペプロウの不安レベルを使い分類し野嶋の 「患者への働 で良い関わりを持てた きかけ-情緒的サポート」 に沿って介入を行い分析した H 2 5 年7月、 CT 検査で肝腫瘍がみつかる。悪性・ 【経過】 66 軽減を行った 【考察】1)プロセスレコードを使用して看護場面を振り 返る事は対象の理解だけでなく看護介入の振り返りにも 手術適応と診断、入院待ちの間過去に受けた手術侵襲が 繋がると思われた 大きかった事から不眠・感情失禁・意欲低下が生じ抑う 2)患者の症状を軽減するために不安レベルに応じた看護 つ状態となる。 「手術の事を考えたら眠れない・まだ死 介入が有効であった
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