レポート4のヒント 4 (1)円運動のときは離心率 e = 0 となる。半径 h の円運動では、遠心力と万有引力がつ りあっている。両者を=として v0h を求める。 (別解)円運動は資料 2(i)に相当し、r0 = L = h となる。ここで L は資料 2 の⑤の分子であ り、⑥で与えられている。⑥の J は角運動量(5.15 式)でr=h、vφ=v0h より J=mhv0h となる。 以上の関係式を組み合わせて v0h を求めてもよい。 (2)近日点 B と遠日点 A では半径方向速度 vr=0となって、周方向速度 vφのみを持つこと に注意。万有引力はr//F の中心力なので力のモーメントは N = 0、よって J を角運動 量とすると(4.26)式より dJ/dt = 0。よって、衛星の地球の中心の回りの運動における角運 動量 J は保存される(一定となる) 。ここで角運動量 J=mrvφ(5.15 式で vφ = rφ& (1.19 式))である。M>>m のときμ≒m としてよい。μは換算質量 4.9 式。重力のポテンシャ ルエネルギーは 5.1 式で与えられている。 エネルギーの保存則 Mm 1 2 mvφ − G = ET (一定) ① r 2 角運動量の保存則 mrvφ = J T (一定) ② をトランスファ軌道上の地点 B、r=hのv=vh と地点 A、r=H のv=vH の 2 ヶ所に 適用して連立させ、vh と vH を求める。 (3)資料 2 の⑥の e (5.29 式でμ=mとしてよい(M>>m なので))に、上で求めた vh ま たは vH を使って全エネルギーET と角運動量 JT を求め、これらを代入すれば得られる。 楕円なので 0<e<1 を確認する。 (別解)資料 2(ii)の楕円の図において地球 M は原点にある。楕円上を人工衛星が運動して いる。遠日点 A は a(1+e)、近日点 B は a(1-e)より離心率 e を求める。 (4)静止トランスファ軌道に乗せるためには、地点 B で速度を v0h から vh まで一気に加速す る必要がある。地点Bで一気に加速が行われるとするとその瞬間は半径は変化しないので、 ポテンシャルエネルギーは加速の前後で同じとすることができる。違いは運動エネルギー だけに現れることを考えて必要なエネルギーE1 を考える。 (別解)各軌道の最終的な全エネルギーの差を考えても良い。 (5)地点 A で一気に加速が行われ、静止トランスファ軌道から静止軌道に乗せたとするとそ の瞬間は半径は変化しないので、ポテンシャルエネルギーは加速の前後で同じとすること ができる。違いは運動エネルギーだけに現れることを考えて必要なエネルギーE2 を考え る。 (別解)各軌道の最終的な全エネルギーの差を考えても良い。 (6)無限遠(r→∞)でポテンシャルエネルギーは U =-GMm/r → 0 となる。円軌道r =H のポテンシャルエネルギーU は-GMm/H なので、エネルギーは低い(負となる)。 このポテンシャルエネルギー差より大きな運動エネルギーを与えないとポテンシャルか ら抜け出せない。この脱出速度 v∞になるまで一気に加速する必要がある。v∞は噴射前に 持っている速度 v0H の何倍になるか考える。 (7) 地点 C で、一気に加速が行われ、静止軌道速度から脱出速度 v∞まで加速したとすると、 その瞬間は半径は変化しないので、ポテンシャルエネルギーは加速の前後で同じとするこ とができる。違いは運動エネルギーだけに現れることを考えて必要なエネルギーE3 を考 える。 (別解)各軌道の最終的な全エネルギーの差を考えても良い。 (8) パーキング軌道上の衛星のもつ全エネルギーE0h は前ページの①式より求める。静止衛 星の地球中心からの高度は H≒35,786km(赤道上高度)+6,378km (地球半径)=42,164km、 パーキング軌道の高度は地球の中心からせいぜい h≒200km(地表高度)+6,378km(地 球半径)=6,578km なので h/H≒0.156<1 となる。 E0 h 、E1、E2、E3 のそれぞれど うしの比をとるなどして大小関係を比較して、どの軌道変換に要するエネルギーが最も大 きくなるかなどについても考えてみよ。 E0 h 、E1、E2、E3 を大きい順に並べて軌道変 換に要するエネルギーについて考察してみよ。E1+E2+E3 の和と E0h との比較なども行 ってみよ。 地球のつくる重力のポテンシャル U の中を運動する衛星の様子を次図に示す。 深いポテンシャルの底にある地球から衛星を発射して、パーキング軌道に一旦衛星を乗せ る。この軌道の全エネルギーは(<0)である。次に、エネルギーE1 を与えて、静止トラ ンスファ軌道(楕円軌道)に乗せる。この楕円軌道はポテンシャルの斜面で傾いている(黒)。 hでの駆け落ちる速度が H での駆け上る速度より速いことが想像できる。ここから静止 (円)軌道(青)に乗せるにはポテンシャルの斜面を下がらないように水平方向に一気に 加速しなければならず、エネルギーE2 が必要である。また、人工衛星を無限遠へ廃棄する にもポテンシャルの上端まで達するようにエネルギーE3 を注ぎ込む必要がある(赤)。 U 0 廃棄 E3 H 静止軌道(円) m 静止トランスファ軌道(楕円) h 地球表面のエネルギー (R:地球半径) Mm ER = −G R 重力のポテンシャルエネルギー Mm U (r ) = −G r r→∞で U→0 となる。 E2 打ち上げ E1 パーキング軌道(円) M この図を真上から見ると、問題 用紙記載の軌道の図となる。
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