第 6８号 2014 年 5 月 30 日発行恵泉女学園中学･高等学校信和会図書部担当５年題字：書家二見紘子先生表紙：5C M.M. カット：5A M.O.,5C S.Y. 編集：5A M.S.,5D M.I.，5C M.M. 印刷：5A M.O.,5B A.S. 赤い蝋燭と人魚小川未明/酒井駒子偕成社 913.6/O24 これは、かぐや姫と人魚姫をからませそこに人間の醜悪というスパイスを加えたお話。登場するのは人魚と人間。優美な人魚と己の利害しか考えられない人間たち、このコントラストがあまりに激しいお話です。美しい人魚が怒り狂うとき、人間はいったい何を思い、どうなってしまうのか。小川駒子さんの絵がよりお話を悲壮美に仕立て上げます。人魚に魅入り『赤い蝋燭と人魚』の海に引きずり込まれてみては？ 5A M.S. 簡単和菓子レシピ山崎彩グラフ社 596.6/Y ポピュラーな豆大福、季節感あふれるきんとんや練りきり、もちもち感がたまらないういろうに羊羹などの夏の甘味まで。バリエーション豊かな和菓子が載っています。本格的なものから基本のあんこの作り方もあります。なんと、どら焼きならぬトラ焼きが登場。作るのは無理、という人も眺めるだけでも楽しめます。美しくかわいらしい和の世界をどうぞお楽しみください。 5D A.M. 世界の美しいきのこ保坂健太郎東京印書館 474.8/S この図鑑はたった191P で説明もありません。ページ一面にキノコの写真が広がっています。ここに乗っている約170 種のキノコはどれも美しく、怪しく、不思議さを感じさせてくれます。絵本にでてくるような可愛いキノコ、暗闇で緑に光る奇妙なキノコ…きっとあなたのお気に入りのキノコが見つかります！ 5E 嘆きの美女柚木麻子 Y.K. 朝日新聞出版 913.6/Y99 世の中には『美人』ともてはやされる人とそうでない人がいます。幼い頃から美人でなかったため、美人のことを妬んでいる主人公はある事件をきっかけに様々な悩みを持つ美人達と暮らすことになります。やさしい人々に囲 1 まれながら主人公は様々な大切なことを知っていきます。自分はどうせできないから、と諦めることは間違っていて、誰にでも可能性がある、と希望を持たせてくれる物語です。 5E 走れメロス・おしゃれ童子太宰治 Y.A. 集英社 913.6/D 太宰治と聞いて頭に浮かぶのは『ヴィヨンの妻』や『人間失格』など教科書に載っているものや堅苦しい名作などと考えていませんか？今回紹介する本は短編集の一つです。主人公の少年は幼い頃からお洒落でありました。はじめのころはいかにシャツの袖からボタンが綺麗にでるか、というようなものでしたが年齢を重ねるにつれどんどん転がり落ちていくというものです。短いながらも少年の人生が滑稽に描かれ手軽に読めるのでおすすめです。 5D M.I. 花火のデザイン安威勝弘東方出版 748/A この本は、安威勝弘さんという写真家の写真集です。しかし、冒頭にある青木はるみさんという方の「誘惑」という詩も一緒に楽しんで頂きたいです。夏の情緒が漂う一冊になっていて、「誘惑」の名の通り、どんどんいろんなデザインの花火に引き込まれていきます。普段は見ることのない位置からの花火の輝きもとても魅力的です。ぜひ、夏の前に花火の美しさに酔いしれてみては？ 5B R.M. 平安の配彩美かさねいろ長崎巌ピエ・ブックス 757/K 「重色目」という言葉を知っていますか？これは配色法の名前で、実際には裏地をつけて仕立てた着物の表地と裏地の配色のことです。この本ではその配色の組み合わせを四季に沿って百種類以上紹介しています。色だけでなく、その色にまつわる写真や俳句も載っていて、繊細で美しい、平安の“色の世界”にどっぷりと浸かれます。色を通して、雅びな平安貴族の暮らしをのぞいてみるのもなかなかおもしろいものですよ。 5A M.F. 2 MAGIC HOUR 古村和敏小学館 748/Y あなたには心に残る風景がありますか。タイトルのマジックアワーとは「夕日が沈んだ直後から空に一番星が現れるまでのわずかな時間」のことを言います。世界各地のマジックアワーを収めたこの本は、どのページを開いても心を奪われます。表紙のアメリカの写真はもちろん、東京の芝公園や月島もこんなに美しいのか、と改めて気づかされます。普段中々見ることのない時間、これを機にマジックアワーに浸ってみてはいかがですか。 5A S.Y. Ｐ．Ｓ．アイラヴユーｾｼﾘｱ･ｱﾊｰﾝ小学館 93N3/A この本は、映画化もされているので読んだ方も多いのではないでしょうか。亡くなった夫が残していった沢山の手紙を定められた月ごとに開いてゆき、メッセージと月ごとのささやかなミッションをこなしていくことで段々と今までとは違う日々を受け入れてゆく、という物語です。当時小学生だった私も何度も読み返しては感動していました。きっといつ読み返しても違った感じの取り方ができますし、何より二人の愛が美しいと感じるはずです。 5B A.S. The fall of Freddie the Leaf Leo Buscaglia Slac Inc E/B “It`s the time for leaves to change their home. Some people call it to die.” 日本語では『葉っぱのフレディ』としてよく知られています。生きている理由、死とは何か、フレディの素朴な疑問に対して親友ダニエルが淡々と繰り返す答えに、人生とは私たちが思っているよりもずっと単純で美しいものなのかもしれないと思わされます。一度読んだことのある人もない人もぜひ一度、美しい英語の響きと共に物語を味わってみてください。 5C S.Y. 3 父の詫び状向田邦子文藝春秋 914.6/M みなさんは、この本を読んだことがあったり聞いたことがあったりすると思います。この本は著者が自分の家族（父）のことについて書いたエッセイです。著者の父のことや発言したことなどをその時の著者が思っていたのと今の自分が思い出して書いているのとあるので、とてもおもしろいです。この本はエッセイなので硬い小説とは違い、とてもユーモアにあふれているので読みやすいです。この本を読んだら、家族について考えてみてください。芙蓉 K.H. 元気なモファット兄弟ｴﾚﾅ―･ｴｽﾃｨｽ岩波書店 93A3/E75 この本は、すくすくと成長する兄弟や家族の話です。モファット兄弟はわんぱくな子供で、ちょっとした事件を起こしたり、物をよく壊します。いじわるなピーターを幽霊を作っておどかしたり、面白い場面がたくさんあります。そんな兄弟たちは家を引っ越すことに…。次々に色んな事が起こるので、展開にもびっくりする本です。芙蓉 A.H. 細雪谷崎純一郎新潮社 913.6/T/1～3 家族の中でも兄弟、姉妹は特別だと思います。大嫌いでも何かしてもらうと好きになったり、移り変わりは激しいけれど、そんな風に感情をぶつけ合って私たちは大人に成長しています。この本の主人公は、兵庫の名門貴族の四姉妹です。大人になって子供の時とは違う彼女たちの関係にまだ絆は残っているのか。姉妹たちの京都旅行や、会話で使われる美しい関西弁も魅力の一つで、日本の美が感じられます。鈴蘭 4 3 Y.K グッモーエビアン！吉川トリコ新潮社 913.6/Y 自称「永遠の24歳」で未婚のお母さんと万年バンドマンで血のつながっていないお父さん。そして15歳のはつき。家族のルールは「おもしろければいーじゃん」。一般家庭のルールは通じない、そんな今を全力で生きる家族の少し変わった青春と絆が味わえる一冊。家族愛に正解も不正解もないと思わせてくれます。はつきひきいる「矢口家」の独特な愛を味わってみませんか。百合 S.Y. フリーター、家を買う有川浩幻冬舎 913.6/A71 この物語は、主人公誠二がダメダメのフリーターから母のうつ病をきっかけにして、一念発起し会社員になって成長し、母の世話をすることにより家族との「絆」を取り戻す家族がテーマのお話です。人間は何事もあきらめずにしっかり目を見開いて現実を見ながら頑張っていれば、いずれは道は開けて努力が実るんだと思えました。だからみなさんも目標を持って日々努力しましょうね！最後まであきず、読みやすく面白い作品です。桔梗 N.K ポプラの秋湯香樹実新潮社 913.6/Y 父親が交通事故で亡くなり、母と共に慌ただしい生活を送る千秋。行く予定の場所もなく、気の済むまま電車に乗り、歩く…。たまたま降りた駅で、 2人は「ポプラ荘」というアパートを見つける。様々なことを経験しながら変わっていく千秋と母2人の家族の絆や、愛が分かってくるような物語です。人の死というものを経験しながら２人で強くなっていくシーンは、とても心が温まります。桔梗 R.R. 5 さとうきび畑の唄遊川明彦汐文社 913.6/Y96 戦時中、沖縄で地上戦が行われ、多くの日本人が犠牲になりました。那覇 2 で写真館を営み、家族みんなで幸せに暮らしていた平山家に戦争というくらい影がおそい始めます。私は、この仲の良い家族がこれからどうなっていくのか心配になりました。家族で生きられることのすばらしさ、日常のありがたさを本当に感じました。戦争についても考えさせられる本です。ぜひ読んでみてください。紫苑 M.K. 床下の小人たちﾒｱﾘｰ･ﾉｰﾄﾝ岩波書店 933/N96 ある屋敷の床下で、住人に気づかれないように小人のアリエッティは家族と一緒に暮らしていました。アリエッティは、この屋敷から屋敷の住人に見つからないように色々なものを借りて生活しています。この物語は、彼らに襲いかかる数々の事件にはらはらドキドキする物語です。続編もあって、続きが気になるおもしろい話で、小人目線にたってスリルも味わえるので、この本をおすすめします。紫苑 S.K. ツナグ辻村深月新潮社 913.6/T この本は数年前に映画化されたので知っている人もいると思います。死者との再会を叶えてくれる使者（ツナグ）を通じて、亡くなった母に対して後悔をしていた息子の本音や、親を失ってしまったツナグ自身の心情の変化に、家族の大切さを知ることができます。この本では、家族の大切さだけでなく、友情や大切な人を想う気持ちを学ぶことができます。現実ではあり得ないからこそ、もっと家族を大切に想うことができます。百合 M.Y. 1 6 テーマ家族た担当５年マ：家族第 6８号 2014 年 5 月 30 日発行恵泉女学園中学･高等学校信和会図書部担当２年表紙：鈴蘭カット：芙蓉印刷：桔梗 R.S. A.H. N.K.，桔梗 R.K.，芙蓉 7 A.H.