257 城本

挫折経験の心理的メカニズム
-個人種目選手を対象として-
城本
佳菜
(競技スポーツ学科 スポーツ情報戦略コース)
指導教官 豊田 則成
キーワード:挫折 向き合う 発奮材料 自己探求
1.緒言
本研究は,
「挫折経験をどのように語るのか」
3.結果と考察
本研究は.上記の RQ の下,個人種目競技者
という,リサーチ・クエスチョン(Research
は,
「競技をするなかで上手くいかない状況を
Question,以下 RQ と示す)を設定し,質的
感じ,競技する自分を見失いながら悩むという
にアプローチをし,発展継承可能で有益な仮説
挫折経験をするが,競技を継続していくことで
的知見を導き出すことを目的とした.
競技と向き合う.しかし,再び上手くいかない
2.方法
状況を感じ,成果が出ない状況に陥ることで自
インフォーマント(Informant:情報提供者.
分らしさを見失い,悩むという 2 段階の挫折
以下 Inf.と略す)は,本学の個人種目競技をす
経験の中で自己と向き合うということをし,振
る3・4年次生で,現在も競技を引き続き行っ
り返ることで自己の変化に気づき,その経験は
ている学生 9 名(男性:4名,女性:5名)と
力になっていくと語る」という仮説的知見を導
し,一人あたり60分程度(1対1形式)の半
き出した.
(Fig.1)
構造化インタビューを実施した.分析方法につ
4.まとめ
いては質的研究法である複線径路・等至性モデ
すなわち,「挫折経験を通じて競技と向き合
ル(Trajectory Equifinality Model,以下 TEM
い,自己と向き合うといった2段階の自己探求
と略す)を用いて行った.
を経験する」といえる.