「解析学 I」演習問題 Part II バージョン:2014.07.10 8. 線積分 ※ 本項目には「11. 積分定理 (1) ストークスの定理(平面の場合)」と関連のある問題が含 まれています。 問 8.1. 原点 (0, 0, 0) から点 (1, 2, 3) へ向かう線分のパラメータ表示の例を一つ挙げよ. 問 8.2. x y z 座標空間内に 2 点 P(6, −2, 8),Q(7, 0, −5) がある. (1) 点 P から点 Q へ向かう線分 PQ のパラメータ表示を一つ求めよ.ただし,パラメータ t の範囲は 0 ≦ t ≦ 1 とする. (2) 点 Q から点 P へ向かう線分 QP のパラメータ表示を一つ求めよ.ただし,パラメータ t の範囲は 0 ≦ t ≦ 1 とする. 問 8.3. 始点を A,終点を B とする向きの線分を C とおく.C のパラメータ表示が r = (1 − 6t , −2 + 5t , 3 + 4t ) (0 ≦ t ≦ 1) であるとき,A,B の座標をそれぞれ求めよ. 問 8.4. a を正の数とする.P(a, −a),Q(a, a),R(−a, a),S(−a, −a) を頂点とする x y 平面 内の正方形 PQRS について以下の問いに答えよ. (1) パラメータ t の範囲を −a ≦ t ≦ a として,線分 PQ,QR,RS,SP のパラメータ表示 をそれぞれ一つ求めよ. (2) パラメータ t の範囲を 0 ≦ t ≦ 1 として,線分 PQ,QR,RS,SP のパラメータ表示を それぞれ一つ求めよ. 問 8.5. x y 平面内に図のような半径 a の扇形 OPQ がある.このとき,孤 PQ のパラメー タ表示は (π π) r = (a cos t , a sin t ) ≦t ≦ , 4 3 ( (π (π π) π )) r = a cos , a sin t+ t+ 12 4 12 4 ( 0≦t ≦1 ) など,さまざまなものが考えられる.これらを参考にして,パラメータ t が指定された範 囲にあるとき,Q から P へ向かう逆向きの孤 QP を描くパラメータ表示の例をそれぞれ一 つ求めよ. (1) 0 ≦ t ≦ 1 のとき. (2) 0 ≦ t ≦ π のとき. 12 1 (3) π π ≦ t ≦ のとき. 4 3 y Q P π 3 π 4 O x 問 8.6. 原点から点 (1, 1, 1) に向かう線分を C とおく.ベクトル場 A(r ) = (y z, zx, x y) の C に沿う線積分を求めよ. 問 8.7. ベクトル場 A(r ) = (z, 2x, 3y) について,以下の各場合に曲線 C に沿う線積分を求 めよ. (1) C が原点から点 (1, 1, 1) に向かう線分であるとき. ( π) とパラメータ表示される曲線であるとき. (2) C が r (t ) = (sin t , sin t , 1 − cos t ) 0 ≦ t ≦ ( )2 (3) C が r (t ) = (0, a cos t , a sin t ) 0 ≦ t < 2π とパラメータ表示される円周であるとき. 問 8.8. スカラー場 φ(x, y, z) = x 3 y 2 z の勾配 ∇φ の,点 P(−1, 0, 1) から点 Q(8, −3, −5) へ ∫ 向かう線分 C に沿う線積分 C ∇φ · d r を求めよ. ※ 以下では 2 次元ベクトル場を扱う.空間ベクトルのときとの違いは成分が 1 つ少ない ことだけで,線積分の計算の仕方は空間ベクトルのときと同じである. また,曲線 C を複数の部分に分割した場合,例えば C = C 1 + C 2 + C 3 であるとき,ベク トル場の線積分について ∫ ∫ ∫ A(r ) · d r = A(r ) · d r + C C1 C2 ∫ A(r ) · d r + C3 A(r ) · d r が成り立つ.これは 1 変数関数の定積分の区間の分割に関する公式に相当する.C に沿う A(r ) の線積分を求めるには,右辺の各項を個別に求めた後,足し合わせればよい. 2 問 8.9. ベクトル場 A(x, y) = (−y, x) の以下の各場合の曲線 C に沿う線積分を求めよ. (1) C が,原点を始点とし,点 P(r, 0),点 Q(r cos θ, r sin θ) を通って再び原点に戻る扇形の 周であるとき.ただし,定数 r ,θ は r > 0,0 ≦ θ < 2π を満たすとする. (2) C が,P(−a, −a),Q(a, −a),R(a, a),S(−a, a) を頂点に持つ四角形の周であるとき.た だし a > 0 であるとし,P,Q,R,S,P の順に一周するものとする. (3) C が,3 つの頂点 P(a, h),Q(−b, 0),R(b, 0) をこの順に一周する三角形の周であると き.ただし h > 0 かつ b > 0 であるとする. 問 8.10. x y 平面の原点を中心とする単位円周 C に沿うベクトル場 A(x, y) = (x, y) の線積 分を求めよ.ただし円周 C の向きは反時計回りとする. ( ) −y x 問 8.11. 以下の各曲線 C に沿うベクトル場 A(x, y) = 2 , の線積分をそれ x + y 2 x2 + y 2 ぞれ求めよ. (1) C がパラメータ表示 r (t ) = (r cos t , r sin t ) (0 ≦ t ≦ θ) を持つ曲線であるとき.ただし r > 0 とする. (2) C が,点 P(1, 0),Q(1, 1),R(−1, 1) をこの順に結んでできる折れ線(線分 PQ と線分 QR からなる,点 Q で直角に折れ曲がった線)であるとき. 3 9. 曲面積 ※ 曲面積とは,「曲面の面積」のことであり,スカラー場やベクトル場とは直接関係のな い量であるから,「スカラー場の面積分」などと混同しないようにしてほしい. なお, 「線積分」は「曲線に沿って足し合わせる積分」であり, 「面積分」は「曲面に沿っ て足し合わせる積分」である. 問 9.1. 原点を中心とする半径 a > 0 の球面 S r = (a sin θ cos φ, a sin θ sin φ, a cos θ) (0 ≦ θ ≦ π, 0 ≦ φ < 2π) の面積が 4πa 2 であることを示せ. 問 9.2. 曲面 S は r (u, v) = (u cos v, u sin v, au) (0 ≦ u ≦ b, 0 ≦ v < 2π) というパラメータ表示を持つとする.ただし,a と b は共に正の定数とする. このとき,S の面積 Area(S) を求めよ. 問 9.3. 曲面 S のパラメータ表示が r = ((a + b cos u) cos v, (a + b cos u) sin v, b sin u) (0 ≦ u < 2π, 0 ≦ v < 2π) で与えられているとき,S の面積 A を求めよ.ただし,a ,b は a > b > 0 を満たす定数と する. (計算ミスが無ければ |r u × r v | は簡単な式になる.) 4 10. 面積分の公式 ※ 本項目には「12. 積分定理 (2) ストークスの定理(3 次元の場合)」と関連のある問題が 含まれています。 問 10.1. a > 0 とし,球面 S のパラメータ表示を r = (a sin u cos v, a sin u sin v, a cos u) (0 ≤ u ≤ π, 0 ≤ v ≤ 2π) r とおく.(1) A = r ,(2) A = の各場合について,ベクトル場 A の球面 S 上の面積分 |r |3 Ò Ò は閉曲面上の面積分である S A · d S を求めよ.なお,r = (x, y, z) である.また,記号 Î ことを強調するために に円形の飾りを付けただけのものである.飾りを付け忘れても 特に問題はない. 問 10.2. 原点を中心とする半径 a > 0 の上半球面を S とおく.S のパラメータ表示は ) ( π r (u, v) = (a sin u cos v, a sin u sin v, a cos u) 0 ≤ u ≤ , 0 ≤ v ≤ 2π 2 である.これは球面のパラメータ表示とほとんど同じであるが,パラメータ u の範囲が制 限されていることに注意せよ. S の境界(ふち,へり)は原点を中心とする半径 a の x y 平面上にある円周である.そ れを C と名付け,そのパラメータ表示を r (t ) = (a cos t , a sin t , 0) (0 ≦ t ≦ 2π) とおく. 以上の設定の下でベクトル場 A = (−y, x, z) について,各積分を求めよ. I Ï (1) A · dr (2) (∇ × A) · d S C 問 10.3. S 曲面 S と曲線 C は問 10.2 と同じものとする.m = (m 1 , m 2 , m 3 ) は定ベクトル であるとし,r = (x, y, z), A = m × r とおく.次の積分をそれぞれ求めよ. I Ï (1) A · dr (2) (∇ × A) · d S C 問 10.4. S 原点を中心とする半径 a の球面を S とし,そのパラメータ表示を r = r (u, v) = (a sin u cos v, a sin u sin v, a cos u) (0 ≦ u ≦ π, 0 ≦ v ≦ 2π) とおく.また,p = (p 1 , p 2 , p 3 ) を定ベクトルとし,ベクトル場 A(r ) を A(r ) = p 3(p · r )r − |r |3 |r |5 と定義する. 5 2(p · r (u, v)) sin u であることを示せ. a2 Ò (2) A の S 上での面積分 I = S A · d S を求めよ. (1) A(r (u, v)) · r u × r v = − r |r |3 の面積分を以下の手順で求めよ.ただし,a ,b は正の定数であり,S をふた S 1 ,側面 S 2 , 図のような円柱面(ふたと底面を含んだ閉曲面)S 上のベクトル場 A(r ) = 問 10.5. 底面 S 3 の 3 つの部分に分割する. 以下では,必要ならば定数 c に対し ∫ t 1 dt = −p , p (t 2 + c) t 2 + c t2 +c ∫ c t dt = p p (t 2 + c) t 2 + c t2 +c であることを用いてよい(積分定数は省略). (1) S 1 のパラメータ表示を r (u, v) = (u cos v, u sin v, b) (0 ≦ u ≦ a, 0 ≦ v < 2π) として Î S1 A(r ) · d S を求めよ. (2) S 2 のパラメータ表示を r (u, v) = (a cos u, a sin u, v) (0 ≦ u < 2π, −b ≦ v ≦ b) として Î S2 A(r ) · d S を求めよ. (3) S 3 のパラメータ表示を,r u × r v が外向き法線ベクトルになるように r (u, v) = (u cos v, −u sin v, −b) (0 ≦ u < 2π, −b ≦ v ≦ b) と選ぶと, Ï S3 ( A(r ) · d S = 2π 1 − p b ) a2 + b2 となる.この結果も合わせて, ( Ï Ó Ï A(r ) · d S = A(r ) · d S + S S1 ) Ï S2 A(r ) · d S + S3 A(r ) · d S を求めよ. z S1 a b O x 6 −b S2 S3 y 13. 積分定理 (3) グリーンの定理,ガウスの発散定理 問 13.1. 閉曲面 S および内部領域 V を含む領域上で定義されたベクトル場 A(r ) が,そ の領域において ∇ · A(r ) = 0 を満たすならば Ó A(r ) · d S = 0 S であることを示せ. 問 13.2. 閉曲面 S で囲まれた領域を V とおく.V の微小部分の体積 dV を V 全体にわ Ð たって足し合わせた V dV は V の体積を与える. (1) 次の等式が成り立つことを示せ.ただし,r = (x, y, z) である. Ñ V 1 dV = 3 Ó S r · d S. (2) 定数 a ,b は a > b > 0 を満たすとする.パラメータ表示 ( ) r (u, v) = (a + b cos v) cos u, (a + b cos v) sin u, b sin v (0 ≦ u ≦ 2π, 0 ≦ v ≦ 2π) をもつ閉曲面 S の内部領域 V の体積を, 31 2 1 2 Ò Sr · d S を計算することによって求めよ. 1 2 なお,必要ならば半角の公式 cos θ = + cos 2θ を用いよ. 問 13.3. パラメータ表示 r (u, v, w) = (uv cos w, uv sin w, bu) (0 ≦ u ≦ a, 0 ≦ v ≦ 1, 0 ≦ w < 2π) で表される空間領域 D の体積 V を,公式 Ñ V= |r u · (r v × r w )|dud vd w D を用いて求めよ. 問 13.4. m を定ベクトル, A(r ) をベクトル場とする.以下の問いに答えよ. (1) ∇ · (m × A(r )) = −m · (∇ × A(r )) が成り立つことを成分計算で示せ. (2) 閉曲面 S およびその内部領域 D において, Ó Ñ n · (m × A(r ))d S = − m · (∇ × A(r ))d v S D が成り立つことを示せ. (3) あるベクトル X が,任意のベクトル Y に対して X · Y = 0 を満たすならば, X = 0 で ある. 7 また,面積分や線積分では定ベクトルの内積は積分の外に出せる.つまり,定ベク トル C とベクトル場 B (r ) に対し,曲面 S や空間領域 D での積分について Ï Ï Ñ Ñ C · B (r )d S = C · B (r )d S, C · B (r )d v = C · B (r )d v S S D D Î Ð などが成り立つ.なお, S B (r )d S や D B (r )d v は B (r ) の各成分を積分して得られ るベクトルである. これらの事実と (2) の結果を組み合わせて,次の等式を導け. Ó Ñ n × A(r )dS = ∇ × A(r )d v. S D 8
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