点電荷間のクーロン力の逆2乗則と電場の概念 1.クーロン力の実験式の

基礎物理学
2014.5.12
点電荷間のクーロン力の逆2乗則と電場の概念
1.クーロン力の実験式の解釈
・電荷は 他の電荷にクーロン力を及ぼす原因
他の電荷からクーロン力を受ける原因
であり,
でもある。
・電荷A(電荷QAをもつ物体)と電荷B(電荷QBをもつ物体)の間にクーロン力が
働くとは,
Ⅰ.電荷Aが電荷Bに力を及ぼす
Ⅱ.電荷Bが電荷Aに力を及ぼす
という2つの作用が同時に起きていることを意味する。
2つの作用は大きさが等しく,作用の向きは逆向き(作用・反作用の法則)。
・「Ⅰ.電荷Aが電荷Bに力を及ぼす」は次のように解釈される:
①電荷Aの「力を及ぼす効果」は周囲のすべての方向に及ぶ。
この効果はQAに比例する:QA/ε0
(1/ε0 は比例定数で,ε0は真空の誘電率と呼ばれる。)
②電荷Aから距離r離れた点では,電荷Aの「力を及ぼす効果」は
(QA/ε0)/(4πr2)
に薄められる。
③電荷Bが受けるクーロン力は,電荷Aの「力を及ぼす効果」と電荷B自身の
「力を受ける効果」の積で表される:
{(QA/ε0)/(4πr2)}×QB
・電荷の「力を及ぼす効果」は,その電荷から周囲の空間に伸びる「電気力線」で表現
される。
電荷Aの「力を及ぼす効果」= QA/ε0 本の「電気力線」
(QA/ε0 は整数ではないので「本数」の概念は厳密には成り
立たないがクーロン力の理解を容易にするために用いる。)
正の電荷から周囲に伸びる電気力線
(力線の向きは電荷から離れる向き)
負の電荷から周囲に伸びる電気力線
(力線の向きは電荷に向かう向き)
電気力線は他の電荷に力を及ぼす:
力の向き
力を受ける電荷が正のときは,電気力線の向きに,
負のときは,電気力線と逆向きに働く。
力の大きさ
電気力線の面密度(力線に垂直な単位断面積あたりを貫く本数)に比例する。
電荷は,自分が作り出す電気力線からは力を受けない。
2.電場の概念
電荷Aはその周囲の空間に,他の任意の電荷が電荷Aから力を受ける条件(電場)を作
り出す。
点Pでの電場の大きさ=点Pでの電気力線の面密度
点Pでの電場の向き =点Pでの電気力線の向き
(電場の単位 NC-1)
その空間に存在する任意の電荷はその電場から力を受ける。
電荷Aが電荷Bに及ぼすクーロン力 = 電荷Aが電荷Bの位置につくる電場×QB
(力の向きは,電場の向きとQBの符号との積で決まる。)
3.平行四辺形による力のベクトルの分解
作用点
F2
作用点
F1
上図の例では,物体に力Fが加えられることは,その物体に
F1とF2の2つの力が同時に加えられることと同等。
(FはF1とF2の合力であるという。)
4.複数の電荷がつくる電場
例)3つの電荷A,B,Cが
点Pに作る電場