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2-2 使用条件の確認
リニアガイドの選定する際には、技術計算をする必要があります。技術計算に必要なデータは
以下の通りです。 A. 構成 (スパンの距離・ブロックーの個数・レールの本数); B. 取り付け使
用方法 (水平・立軸・傾斜・壁掛・逆さ吊り); C. 掛かる負荷(作用力の大きさ・方向・作用点
・加速時に慣性が生じるか否か), D. 使用頻度(負荷周期)。
R3
S3
Y
S4
X
Z
R4
F(Fx ,Fy ,Fz )
P(Px ,Py ,Pz )
O
R2
S2
R1
L0
L1
S1
a. 構成:
1. スパンの距離: ブロック間の距離をL0とL1とし図に示します。
L0: 同一のレールで負荷を受けるブロック間の距離(単位:mm)。
L1: 2本のレール間の距離(単位:mm)。
L0とL1の距離はリニアガイドシステムの剛性と寿命に影響します。
2. ブロックの個数: 一本のレールに使用するブロックの数を指します。上図では2個のブ ロッ
クを使用しています。通常一本のレールに使用するブロックの数を増やすと、通常負荷と剛性
は大きくなり、寿命も延びます。しかし、使用空間と移動ストロークを考慮に入れる必要があ
ります。
3. レールの本数: 装置に使用するレールの本数を指し、上図では2本のレールを使用していま
す。レール本数を増やして使用する場合、X軸方向のモーメント抵抗が大きくなり、また剛性
と寿命も大きくなります。
8
B.正確なリニアガイドの選定方法
b. 取り付け使用方法:
1. 水平取り付け
◎
mg
水平取り付け(W:ラジアル荷重の方向)
最も一般的なリニアガイドの取り付け方法
であり、垂直圧力を受けやすく、一般には
位置決めや材料供給装置に使用されます。
Wはブロックの取り付け台に対し垂直。
Wは移動方向に対し垂直。
mg
2. 立軸取り付け
mg
◎
立軸取り付け(W:ラジアル荷重の方向)
取り付けにはレールの距離とモーメントの
能力を考慮する必要があります。昇降装置
に使用され、荷重伸びとブロックの長さに
注意を払う必要があります。伸びが大きい
ほど慣性モーメントも大きくなります。W
は移動方向に平行。
◎
傾斜取り付け(W:ラジアル荷重の方向)
側面傾斜取り付けと前面傾斜取り付けがあ
ります。
側面傾斜 : Wは移動方向に対し垂直
前面傾斜:Wと移動方向との角度θ
◎
壁掛取り付け(W:ラジアル荷重の方向)
選定の際はモーメントを考慮し、レールと
の距離を考慮する必要があります。
Wはブロックの取り付け台に対し平行。
Wは移動方向に対し垂直。
mg
3. 傾斜取り付け
mg
mg
4. 壁掛取り付け
mg
mg
B.正確なリニアガイドの選定方法
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c. 作用負荷
負荷の3要素:作用力の大小・方向・作用点
1. 作用負荷の大小:
質量:荷重物の重量を指し、移動過程において慣性力を生じます。
外力:装置の外力。液圧・気圧・電磁力があり、移動過程において慣性力を生じない
ようにします。
R3
S3
2. 作用負荷の方向:
外力は3次元の軸方向に分布され、
右図のFx、Fy、Fzに表します。
X軸方向にかかる外力はFXに分布
Y軸方向にかかる外力はFYに分布
Z軸方向にかかる外力はFZに分布
Y
S4
X
Z
R4
F(Fx,Fy,Fz)
R2
P(Px,Py ,Pz)
O
S2
R1
L0
S1
L1
3. 作用負荷の位置点:
右図:XYZのスラスト中心を原点とします。スラスト中心はボールネジ・油圧シリン
ダー・リニアモータ等です。 つまり、この点が始点であり、外力の位置点XYZにより
、定義されます。
Pfx:外力がスラスト中心に作用するX方向距離。
Pfy:外力がスラスト中心に作用するY方向距離。
Pfz:外力がスラスト中心に作用するZ方向距離。
4. スパン:
ブロック間L0、ブロック間L1の距離。
V
5. 速度図:
最高速度(V):運転時の最高速度。
ストロークの長さ(D):装置の移動距離。
加速距離(D1):静止状態から最高速度までの距離。
等速距離(D2):等速時の移動距離。
減速距離(D3):最高速度から静止までの距離
D1
t1
6. ブロックの各方向の荷重:
R1、R2、R3、R4は各ブロックの垂直(ラジアル) 方向 に荷重される。
S1、S2、S3、S4は各ブロックの水平(横) 方向 に荷重される。
10 B.正確なリニアガイドの選定方法
D2
t2
t(s)
D3
t3
d. 使用頻度:
技術上の寿命計算が実際の仕様に適切であるかどうかは、実際の使用頻度を評価する必要があ
ります。
例1. 計算上走行寿命が仮に1000kmである場合、1日の走行距離が1kmの時、1000日間機能する
ことになります。
例2. 計算上走行寿命が仮に50000kmである場合、1日の走行距離が500kmの時、100日間機能す
ることになります。
2-3 型式サイズの確認
a. 最適な型式の使用(BGX、BGC)。
設備機器の型態に合わせて最適な製品を選定します。選定の参考資料は当社BGX、BGC等の
各製品の紹介に示します。
b. 最適なサイズの仮定(15、20、25、30、35型)。
装置に必要な空間条件として、リニアガイドのサイズを仮定します。この際、一時的に荷重
については考慮しません。その理由は、選定初期に荷重と寿命を判断するのは難しいためで
す。また、安全係数の符合は寿命が実際の需要に符合していることを示しているわけではあ
りません。そのためサイズを第一の考慮重点とし、計算上の寿命と実際の荷重とに差がある
場合は、より大きな動定格荷重の型番に変える必要があります
2-4 負荷の大きさの確認:
レール垂直(ラジアル) 方向の分力の計算公式:
R1 =
- Fz Fz Px - Fx Pz
+
4
2 L0
+
Fz Py - F y P z
2 L1
R2 =
- Fz Fz Px - Fx Pz
4
2 L0
+
Fz Py - F y P z
2 L1
R3 =
- Fz Fz Px - Fx Pz
4
2 L0
-
Fz Py - F y P z
2 L1
R4 =
- Fz Fz Px - Fx Pz
+
4
2 L0
-
Fz Py - F y P z
2 L1
レール水平(横) 方向の分力の計算公式:
S1 = S4 =
Fy Fy Px - Fx Py
+
4
2 L0
S2 = S3 =
Fy Fy Px - Fx Py
+
4
2 L0
R3
S3
Y
S4
X
Z
R4
O
F(F x,F y,F z)
P(P x,P y,P z)
R2
S2
R1
L0
L1
S1
B.正確なリニアガイドの選定方法 11