第 10 講 応用解析学(電子2年) • 完備な内積空間(ヒルベルト空間) ・完全正規直交系とフーリエ級数 • (次回は中間レポート解答用紙と赤ペン・赤鉛筆持参) 前回復習 x 0≤x<π を Fourier 級数展開せよ. 0 x=π 以下で,周期関数としての拡張の方法を2通り考える.どれも正解である.つ まり,元が同じ関数でも異なる周期関数へ拡張すれば,フーリエ級数も異なる. 関数 f (x) = • 計算を簡単にするために, [−π, 0) へ「奇関数」として拡張し, x −π < x < π fO (x) = のフーリエ展開係数を定義通りに計算. 0 x = −π, π a0 = bn = = = 1π 1π xdx = 0, an = x cos nxdx = 0 π −π π −π π π 1 1 π x sin nxdx = cos nxdx − [x cos nx]−π π −π nπ −π 1 1 [sin nx]πx=−π − (π cos nx − (−π) cos(−nπ)) nπ n 1 2 (−2π) cos nπ = (−1)n+1 nπ n 4 x = −π, π において(fO (x) が連続な ので),fO (x) = ∞ (−1)n+1 sin nx n n=1 sin 2x sin 3x = 2 sin x − + −··· 2 3 2 sum of 1,2,3,4,5 n=1 n=2 3 2 1 0 -1 -2 -3 -4 -3 -2 x = π/2 において,またまたグレゴリーの公式が出現: ⎧ ⎪ ⎪ ⎨ -1 0 1 1 1 π = 1− + −··· 4 3 5 1 n = 1, 5, 9, . . . ∞ π nπ nπ π (−1)n+1 = f( ) = 2 sin , sin = −1 n = 3, 7, 11, . . . ⎪ 2 2 n 2 2 ⎪ n=1 ⎩ 0 n = 2, 4, 6, . . . 1 2 3 • 今度は関数を [−π, 0) へ「偶関数」として拡張した, ⎧ ⎪ ⎪ ⎨ x 0<x<π fE (x) = −x −π < x < 0 のフーリエ級数展開を計算してみよう. ⎪ ⎪ ⎩ 0 x = −π, π この fE (x) は x = −π, π において連続であり, bn = 0, an 2 = π a0 = π 0 2π xdx = π π 0 2 x cos nxdx = . . . = 2 (cos nπ − 1) = nπ 0 (n = 2m) (n = 2m − 1) − n42 π 3.5 x = −π, π において(fE (x) が連続な ので),fE (x) = sum of 0,1,3,5,7 n=0 n=1 n=3 3 2.5 2 1.5 ∞ 1 4 π − cos(2m − 1)x 0.5 2 2 m=1 (2m − 1) π 0 4 π cos 3x cos 5x − = cos x + + + · · · -0.5 2 π 32 52 -1 -1.5 -3 -2 -1 0 1 2 17. 完備内積空間(ヒルベルト空間) ベクトル空間(復習) 集合 H においてすべての要素に対して,和,実(定)数倍が定義されていて, • 和に関して閉じている(f, g ∈ H ⇒ f + g ∈ H ) – ただし,和の結合則と交換則が成立し,零元と逆元が存在する. • 実数倍に関して閉じている(f ∈ H, k ∈ R ⇒ kf ∈ H ) – ただし,実数倍と和の分配則が成立 を満たすとき,H を実係数ベクトル空間と呼ぶ. 以下で実際にイメージするのは,実数値関数のある部分集合(関数空間)H で ある.H の要素 f とは,ある具体的な関数を指す. 具体例: 「H :2乗可積分な1変数関数の全体」 f ∈ H ⇔ ∞ −∞ |f (x)|2 dx < ∞ . この時,H は,その要素(関数)に対して以下の自明な加法と実数倍を定めた時, それに関する(無限次元の)ベクトル空間になっている.すなわち, 2 3 • H 上の等価,和,実数倍を定義: – f = g ∈ H ⇔ f (x) = g(x) – (f + g)(x) = f (x) + g(x) – (kf )(x) = kf (x) − ∞ < x < ∞ (ほとんど至る所) − ∞ < x < ∞ (ほとんど至る所) − ∞ < x < ∞ (ほとんど至る所) として,以下が成立することは容易に示せる. • f, g ∈ H ⇒ f + g ∈ H , f ∈ H, k ∈ R ⇒ kf ∈ H • ここで,0 = g + (−g) なので, – f = 0 ∈ H ⇔ f (x) = 0 (−∞ < x < ∞ (ほとんど至る所)) 内積空間 実係数ベクトル空間 H 上にある内積 < ·, · > を定義する.内積とは,以下の性 質を持つ,H × H → R の写像.f, g, h ∈ H, k ∈ R として, < f, f >≥ 0, かつ < f, f >= 0 ⇔ f = 0, < kf, g >= k < f, g >, かつ < f + g, h >=< f, h > + < g, h >, (1) < f, g >=< g, f > • 要素 f と g が「直交する」とは,< f, g >= 0 となること. 内積から, 「ノルム(大きさ,ベクトルの長さ)」と「距離」が定義される. def • 要素 f のノルム: ||f || = < f, f > ≥ 0 • 要素 f, g 間の距離を ||f − g|| で定義する. def 具体例: < f, g > = ∞ −∞ f (x)g(x)dx は,上の内積の定義を満す.各自チェック してみて下さい.ただし,ここでの議論や性質は,H や内積の具体的な与え方に よらず,定義した抽象的な性質のみから導かれるものである. この時,空間の次元に依らず以下の性質が成り立つ.ただし,6. は無現次元 の場合のみ.任意の f, g ∈ H に対して, 1. < f, 0 >= 0 2. コーシー&シュワルツ不等式: | < f, g > | ≤ ||f || · ||g|| 3. 三角不等式: ||f + g|| ≤ ||f || + ||g|| 4. 中線定理: ||f + g||2 + ||f − g||2 = 2(||f ||2 + ||g||2) 3 5. ピタゴラスの定理:g1 , g2 , . . . , gn ∈ H が互いに直交し,かつノルムが 1,す なわち,< gi , gj >= 0 (i = j) かつ ||gi || = 1 の時(正規直交系と呼ぶ), ||f ||2 = n k=1 < f, gk >2 +||f − n k=1 < f, gk > gk ||2 平面上の直角三角形のピタゴラスの定理は n = 1 で説明できる. 6. ベッセル (Bessel) 不等式:無限列 g1 , g2 , . . . , gn , . . . ∈ H が互いに直交し,か つノルムが 1,すなわち,正規直交系の時, ∞ < f, gk >2 ≤ ||f ||2 < ∞ k=1 これは左辺の無限級数が有限値に収束することを保証している. 証明: 一般の内積空間 H での任意の f, g ∈ H に対して, • < f, 0 >=< f, 0 · g >= 0· < f, g >= 0 • コーシー&シュワルツ不等式:任意の実数 t に対して, ||f − tg||2 =< f − tg, f − tg >= ||f ||2 − 2t < f, g > +t2 ||g||2 となるが,最左辺は t の値によらず必ず非負である.よって,g = 0 (||g|| > 0) の場合,最右辺を t の2次式と見ると (判別式) = 4 < f, g >2 −4||f ||2||g||2 ≤ 0 ⇒ | < f, g > | ≤ ||f || · ||g|| 別解:< f, g >> 0 の場合は,< f, g >= | < f, g > | であり, g 2 < f, f > < g, g > 2 < f, g > f < f, g > − || = =2 1− 0 ≤ || + − 2 2 ||f || ||g|| ||f || ||g|| ||f || · ||g|| ||f || · ||g|| ||f || g という比例関係が成り立つ場合のみ. ||g|| < f, g >< 0 の場合は,h = −f とおいて,< h, g > に上の計算を適用. | < f, g > | =< h, g > に注意. 等号が成り立つのは,f = • 三角不等式:シュワルツの不等式より, ||f +g||2 =< f +g, f +g >= ||f ||2+2 < f, g > +||g||2 ≤ ||f ||2+2||f ||||g||+||g||2 • ピタゴラスの定理:正規直交系 g1 , g2 , . . . , gn ∈ H に対して, ||f − n < f, gk > gk ||2 =< f − k=1 = ||f || − 2 2 = ||f || − 2 2 n k=1 n k=1 < f, gk >2 + < f, gk > + 2 n k=1 n n j=1 k=1 n k=1 4 < f, gk > gk , f − n < f, gk > gk > k=1 < f, gj >< f, gk >< gj , gk > < f, gk > = ||f || − 2 2 n k=1 < f, gk >2 • ベッセル不等式(H が無限次元ベクトル空間の場合) :無限列の正規直交系 g1 , g2 , . . . , gn , . . . ∈ H がある時,ピタゴラスの定理より,どんな n に対しても, n k=1 < f, gk >2 ≤ ||f ||2 < ∞. ∞ よって, k=1 < f, gk >2 ≤ ||f ||2 ヒルベルト空間 ベクトル空間 H が,与えられた内積から導かれる距離に関して「完備」な場合, その空間をヒルベルト (Hilbert) 空間と呼ぶ. 完備とは,その距離に関して「任意のコーシー列が収束列になる」こと.すなわち, {f1 , f2 , . . .}(fm ∈ H )が与えられた時,∀k = 1, 2, . . . に対して,||fm − fm+k || → 0 (m → ∞) が成り立つならば,ある f ∈ H が存在して,||fm − f || → 0 (m → ∞) が成り立つ,ことである. 18. 完全正規直交系 ヒルベルト空間 H 内の要素(実際に想定するのは関数)の列 {ψ1 , ψ2 , . . . , } が, • 正規直交性:< ψm , ψn >= • 完全性:< f, ψm >= 0 1 m=n 0 m= n for ∀m = 1, 2, . . . ⇔ ||f ||2 = 0 を満たす時, 「完全正規直交系」と呼び,以下が成り立つ: def def • 任意の f, g ∈ H に対して, cm = < f, ψm >, dm = < g, ψm > と置くと: (i) 距離 || · || での収束(級数展開) : lim ||f − m→∞ (ii) Parseval の等式: < f, g >= lim m→∞ m n=1 m n=1 cn ψn || = 0 cn d n . 特に,g(x) = f (x) とすると, ||f ||2 = lim m→∞ m n=1 c2n . (iii) 展開係数の一意性 cn = dn for ∀n = 1, 2, . . . ⇔ ||f − g||2 = 0 ⇔ f = g ∈ H これら (i), (ii), (iii) の性質は, • 有限次元ベクトル空間の任意の要素(ベクトル)が,次元数の(正規直交) 基底ベクトルの和として一意に表現できること,の拡張になっている. 5 証明 (i) まず,Bessel の不等式 ∞ n=1 ∞ c2n ≤ ||f ||2 < ∞ (つまり def が成り立つ.ここで, fm (x) = ||fm − fm+k ||2 =< m n=m+1 < f, ψn >≤< f, f >) cn ψn (x) と置くと, n=1 m+k n=1 cn ψn , m+k cl ψl >= · · · = l=m+1 m+k n=m+1 c2n 最右辺は,Bessel 不等式から,m → ∞ の時に,→ 0 となる.よって, {fm }m=1,2,... は H 上のコーシー列であり,H が完備という仮定から,ある f ∗ ∈ H が存在して,{fm } が収束する: ||fm − f ∗ || → 0 元の問題に戻ると,三角不等式より, ||f − m n=1 cn ψn || = ||f − fm || ≤ ||f − f ∗ || + ||f ∗ − fm || であり,右辺第 2 項は → 0 なので,後, ||f − f ∗ || = 0 を示せば証明終り. さて,任意の n = 1, 2, . . . を固定して, • < fm , ψn > → < f ∗ , ψn > (m → ∞) なぜなら,| < fm − f ∗ , ψn > |2 ≤ ||fm − f ∗ ||2||ψn ||2 = ||fm − f ∗ ||2 → 0 (シ ュワルツ不等式より) • m ≥ n ならば, < fm , ψn >=< m k=1 ck ψk , ψn >= cn < ψn , ψn >= cn • 上の2つから, < f ∗ , ψn >= cn =< f, ψn > よって,n = 1, 2, . . . に対して < f ∗ − f, ψn >= 0 となり, {ψn }n=1,2,... の完全性 から, ||f − f ∗ || = 0 がいえる. def (ii) Am = < f − m n=1 cn ψn , g − m dl ψl > と置き,シュワルツ不等式と (i) より, l=1 |Am | ≤ ||f − 2 m n=1 cn ψn || ||g − 2 m cl ψl ||2 → 0 l=1 よって,Am → 0 (m → ∞).一方,Am を展開すると, Am = < f, g > − = < f, g > − m n=1 m n=1 cn < g, ψn > − m l=1 cn d n 6 dl < f, ψl > + m m n=1 l=1 cn dl < ψn , ψl > (iii) < f − g, ψn >=< f, ψn > − < g − ψn >= cn − dn = 0 がすべての n で成り 立つので,{ψn } の完全性から,||f − g|| = 0 実は,H の完備性を仮定すると,H 上の正規直交系 {ψn }n=1,2,... に対して,以下 の3つは同値. • {ψn }n=1,2,... の完全性 • {ψn }n=1,2,... を基底とする級数展開が H 上の距離の意味で収束 (i) • Parseval の等式 (ii).つまり Bessel 不等式の等号化 Fourier 級数との関係 さて,ここからは,具体的な H として「区間 I = [−π, π] 上で二乗可積分な関数 の全体」を考え,内積として2つの関数の積の区間 I での積分値を取る.すなわち, • f ∈H ⇔ I def |f (x)|2 dx < ∞, < f, g > = def I f (x)g(x)dx • この時,H は,ノルム ||f || = < f, f > に関して「完備」になる(RieszFischer の定理).これは,証明なしで認めることにする. この場合,関数 f (x) と完全正規直交系の性質を満たす関数列 {ψn (x)}n=1,2,... に対して,以下が成り立つ: (ただし,cn =< f, ψn >) (iv) 区間 I 上で,関数 f (x) が連続 & ∞ n=1 f (x) = ∞ n=1 証明: def def cn = < f, ψn >, g(x) = < g, ψm >= ∞ I n=1 ∞ n=1 cn ψn (x) が一様収束するなら, cn ψn (x) (各点的な級数展開) cn ψn (x) と置く.一様収束性より項別積分ができ, cn ψn (x) ψm (x)dx = (iii) より, ||f − g|| = I ∞ n=1 cn I ψn (x)ψm (x)dx = cm =< f, ψm > |f (x) − g(x)|2 dx = 0 一様収束先 g(x) は連続なので,f (x) の連続性と合わせて,f (x) = g(x).さらに, (v) 項別微分:区間 I の内部で,ψn (x) が1回連続微分可能で, 一様収束するなら,f (x) も1回連続微分可能で, f (x) = ∞ n=1 ∞ n=1 7 cn ψn (x) が cn ψn (x) これは級数の項別微分の一般的結果である(以前の講義参照). (復習)x の区間 I 上で定義された関数列 f1 (x), f2 (x), · · · , fn (x), · · · の 関数 g(x) への収束性: • 各点収束:∀x ∈ I (|fn (x) − g(x)| → 0) • 一様収束:max |fn (x) − g(x)| → 0 x∈I • 2乗積分収束: I |fn (x) − g(x)|2 dx → 0 ここで,実は,Fourier 級数展開は,[−π, π] 上の完全正規化直交系(基底)によ る展開である.つまり,[−π, π] 上の2乗可積分関数としての関数列: cos nx sin nx 1 cos x sin x {ψm }m=1,2,... = { √ , √ , √ , · · · , √ , √ , · · · , } π π π π 2π (2) は以下の性質を持つ. 1> 正規直交性 < ψm , ψn >= 2> 完全性 < f, ψm >= 0 1 m=n 0 m= n for ∀m = 1, 2, . . . ⇔ ||f ||2 = 0 3> f (x) が連続で区分的に滑らかな時, ∞ n=1 一様かつ絶対収束する < f, ψn > ψn (x) は [−π, π] 上で 4> f (x) が 連 続 で 区 分 的 に 滑 ら か な 時( 当 然 f (x) も そ う な る ) , ∞ n=1 < f, ψn > ψn (x) は [−π, π] 上で,f (x) へ一様かつ絶対収束する. この<1∼3>の性質から,式 (2) の完全正規直交系による f (x) の展開: ∞ l=1 ∞ π f (x) 1 cos nx cos nx √ dx √ + √ < f, ψl > ψl (x) = f (x) √ dx π π −π 2π 2π n=1 −π ∞ π sin nx sin nx f (x) √ dx √ + π π −π n=1 ∞ 1 a0 + (an cos nx + bn sin nx) = 2 n=1 π を考えると,上の (iv) より,連続関数の Fourier 級数展開の式が成り立つ: ∞ 1 f (x) = a0 + (an cos nx + bn sin nx) 2 n=1 8 つまり,厳密には [−π, π] 上の2乗可積分関数に対する正規化展開基底は 1 cos x sin x cos nx sin nx {√ , √ , √ , · · · , √ , √ , · · · , } π π π π 2π ∞ 1 であるが,通常,フーリエ級数を a0 + (an cos nx + bn sin nx)dx と書くので, 2 n=1 1 { , cos x, sin x, · · · , cos nx, sin nx, · · · , } 2 をフーリエ展開基底と呼び, π 1 a0 = π 1 f (x)dx, an = π −π π 1 f (x) cos nxdx, bn = π −π π −π f (x) sin nxdx を2乗可積分関数 f (x) のフーリエ展開係数と呼ぶこともある. 証明 <1> 正規直交性の証明: まず,m, n = 1, 2, . . . に対して, π −π sin nxdx, π −π cos mx sin nxdx は奇関数の [−π, π] 上の積分なので 0.また,直接の計算から, • π −π cos mxdx = 0 , π あとは, −π π −π dx = 2π(つまり cos mx cos nxdx, π −π π −π 1 1 √ × √ dx = 1 ) 2π 2π sin mx sin nxdx であるが,同様なので,cos の 方のみ示す.復習: cos(A ± B) = cos A cos B ∓ sin A sin B より, 1 cos A cos B = (cos(A + B) + cos(A − B)), 2 そこで,m = n の場合, π −π cos2 mxdx = 1 2 π −π (1 + cos 2mx)dx = sin 2mx 2π + 2 4m π −π = π + (0 − 0) = π 一方,m = n の場合,m + n = 0, m − n = 0.よって, π −π 1 π (cos(m + n)x + cos(m − n)x)dx 2 −π π π sin(m + n)x sin(m − n)x + = 2(m + n) −π 2(m − n) −π cos mx cos nxdx = = (0 − 0) + (0 − 0) = 0 9 <2> 完全性の証明は省略. <3> f (x) が連続で区分的に滑らかな時に, n=m+1 (|an cos nx| + |bn sin nx|) = ⎛ m+l ≤ ⎝ ⎛ ⎞1/2 ⎛ (n2 a2n + n2 b2n )⎠ n=m+1 m+l = ⎝ n=m+1 ⎝ ⎞1/2 ⎛ n2 (a2n + b2n )⎠ (an cos nx + bn sin nx) は [−π, π] で n=1 一様かつ絶対収束することの証明: m+l ∞ m+l (n|an | n=m+1 m+l n=m+1 m+l | cos nx| | sin nx| + n|bn | ) n n ⎞1/2 nx ⎠ cos nx sin + n2 n2 2 2 ⎞1/2 1⎠ ⎝ 2 n=m+1 n の最右辺は x によらないので,これが m → ∞ で → 0 を示せばよい. ∞ ∞ 1 1 の和の方は が収束することから従う.残りは n2 (a2n + b2n ) が収束 2 2 n n=1 n n=1 することを示せば十分である. さて,f (x) は [−π, π] で有界なので二乗可積分である.そこで,<1>より, Bessel 不等式: lim m→∞ m < f , ψl >2 ≤ ||f ||2 が成り立つ(実際は,<2>より,Par- l=1 . seval の等式が成り立つ.しかし以下の証明には不等式で十分である) π π また, < f , ψn > ( f (x) sin nxdx, f (x) cos nxdx)は,部分積分によっ −π −π て以下のように f のフーリエ展開係数 an , bn で書ける. π 1 πan = f (x) cos nxdx = − n −π π π −π f (x) sin nxdx 1 π πbn = f (x) sin nxdx = f (x) cos nxdx n −π −π そこで上の Bessel 不等式の左辺を展開すると,任意の自然数 m に対して, 2m+1 l=1 < f , ψl > 2 2 2 m π 1 π 1 = f (x)dx + f (x) cos nxdx 2π −π π n=1 −π よって, り, m+l m 2 π 1 f (x) sin nxdx π n=1 −π m m m 1 1 = 0+ (nπbn )2 + (−nπan )2 = π n2 (a2n + b2n ) π n=1 π n=1 n=1 + ∞ n=1 n=m+1 n2 (a2n + b2n ) = ∞ 1 1 < f , ψl >2 ≤ ||f ||2 < ∞ が成り立ち,これよ π l=1 π n2 (a2n + b2n ) → 0 (m → ∞) が従う. 10
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