研究成果報告書(10) 研究課題名 PPCPs(Pharmaceutical and Personal Care Products)等化学物質実態調査 (LC/MS/MS によるビピリジルの分析法開発) 担 当 環境科学部 主任専門研究員 安部 隆司、主任専門研究員 伊藤 朋子、 主査専門研究員 奈良 裕佳子、環境科学部長 佐々木 和明 1 目的 PPCPs について、新規に導入された ICP-MS や GC/MS/MS、LC/MS/MS などの分析機器を活用し、その超微量分 析手順を確立するとともに、本県の河川等における濃度を測定し、その汚染状況を把握しようとするものであ るが、今年度は、LC/MS/MS によるビピリジルの分析法開発の概要を報告する。 2 分析法の概要 水質試料の 200ml にリン酸を用いて pH 6.0 に調整し固相抽出を行う。固相を遠心脱水後、メタノール 5ml で溶出する。窒素パージで 1ml に濃縮したもの 2μL を LC/MSMS-SRM ESI-Positive モードで分析する。 水質 200ml pH6.0(リン酸) 固相抽出 Oasis HLB 溶 出 LC/MSMS-SRM メタノール 5ml ESI-Positive. 図 分析法のフローチャート 3 結果 4,4`-ビピリジルの検量線及びクロマトグラム(TIC)を図に示す。 3,3-bpy 2,4-bp 2,3-bpy 4,4-bpy 2,2-bpy 4,4- bpy -d8 図-1 4,4`-ビピリジル検量線(対象物質濃度範囲 0.1~200 ng/mL) 図-2 検量線用標準液 10 ng/mL のクロマトグラム(TIC) 4,4`-ビピリジルの精製水、河川水および海水への標準物質添加回収試験結果を表に示す。 表-1 4,4’-ビピリジル添加回収試験結果 試料名 試料量 添加量 (ml) (ng) 精製水 200 無添加 200 4 河川水 200 無添加 200 0.5 200 4 海水 200 無添加 200 4 測定回数 2 5 2 7 5 2 5 検出濃度 (ng/L) ND 16.9 ND 2.33 20.5 ND 20.1 回収率 (%) 85 117 102 101 変動係数 (%) 4.0 6.1 6.1 5.9 分離カラムの検討では、分離カラムとしてポリマー系カラム(TSKgel) 、アミドカラム((TSK Amide-80) 等について検討を行い、ポリマー系及びアミドカラムは保持が不十分で各異性体をそれぞれ分離するこ とが出来なかったことから、InertSustain C18 を使用した。 4,4、3,3、2,4、2,3’-ビピリジルの同時分析が可能だが、2,2’-ビピリジルの添加回収率の改善が今 後の課題である。
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