OU秋期講座(図形の面積を測る.積分の抽象化)11月8日

OU秋期講座(図形の面積を測る.積分の抽象化)11月8日
問題 1. ほとんど確実に起きている事柄はどれか?該当するものをすべて選べ.
【ア】区間 [0, 1] から任意に x, y を選ぶとき,x ̸= y となる.
【イ】全く知らない 40 人の星座を言い当てようとすると,必ず誰か 1 人は外す.
【ウ】学生を任意に 3 人選んだ時,選んだ 3 人が全員左利きである.
【エ】区間 [0, 100] から任意に x, y を選ぶとき,sin x ̸= sin y となる.
問題 2. ほとんど確実に起きている事柄はどれか?該当するものをすべて選べ.
【ア】半径 1 の円周から任意に x, y を選ぶとき,x ̸= y となる.
【イ】全く知らない日本出身の 90 人の出身県を言い当てようとすると,必ず誰か 1 人は外す.
【ウ】学生を任意に 3 人選んだ時,選んだ 3 人が一人は右利きである.
【エ】区間 [−100, 100] から任意に x, y を選ぶとき,x2 ̸= y 2 となる.
問題 3. 確率が関係する次の事柄を推察する場合は,中心極限定理か大数の法則を使う.どちら
の定理を使っているか区別せよ.
【ア】全くでたらめに 400 人を連れてきて,その人の星座を調べると大体 35 人程度はやぎ座の人
がいると考えられる.
【イ】島根県民は大体 69 万程度である.2000 人を選んで,花粉症の患者数を調べたら 500 人で
あるから,島根県民の 1/4 弱が花粉症に罹患している.
【ウ】全くでたらめに 1000 人の女性を連れてきて,その人の背筋力を調べると,その分布は山の
形をしている.
【エ】センター試験を用いて志望校を決定する際に,平均点と標準偏差を利用する.
問題 4. ほとんど確実に起きている事柄はどれか?該当するものをすべて選べ.
【ア】半径 1 の円板から任意に x, y を選ぶとき,x ̸= y となる.
【イ】全く知らない日本出身の 90 人の血液型を言い当てようとすると,必ず誰か 1 人は外す.
【ウ】コインを振って表が出た回数を振った回数で割る.コインを振った回数が多くなると,1/2
に収束する.
【エ】学生を任意に 6 人選んだ時,選んだ 6 人が一人は右利きである.
k
問題 5. 0 ≤ k ≤ n を満たす整数 k, n に対して,bn
k = n Ck /n で定める.k, n ≥ 0, k > n を満た
n
す整数 k, n に対しては bk = 0 とする.
(1) X = N ∪ {0} の部分集合全体のなす集合 2X に対して,µ(A) = ♯A = A の元の個数と定め
ると,(X, 2X , µ) は測度空間になる.X 上の関数と数列は同義であることに注意してファ
トゥの補題を書き下せ.
(
)n ∑
∞
1
1
(2) lim 1 +
=
を示せ.
n→∞
n
k!
k=0
1
問題 6. q1 , q2 , . . . , qN , . . . を 4 で割って 1 余る素数の全体,r1 , r2 , . . . , rN , . . . を 4 で割って 3 余
る素数の全体とする.ただし,これらは小さい順番に並んでいるとする.s > 1 に対して,
ζ2 (s) =
∞
∏
N =1
∞
∏
1
1
,
1 − qN −s
1 − rN −s
L(s) =
N =1
∞
∏
N =1
∞
∏
1
1
1 − qN −s
1 + rN −s
N =1
とおく.
∞
∑
1
であることを示せ.
【ヒント】無限等比級数,
(2n + 1)s
n=1
{q1 , q2 , . . . , qN , . . .} ∪ {r1 , r2 , . . . , rN , . . .} = 2 ではない素数の全体
(1) s > 1 に対して,ζ2 (s) =
(2) lim(s − 1)ζ2 (s) =
s↓1
(3) (−1)
qN −1
2
1
を示せ.
【ヒント】グラフと面積の関係
2
= 1, (−1)
rN −1
2
= −1 を用いて,L(s) =
∞
∑
(−1)n−1
, s > 1 であることを示せ.
(2n + 1)s
n=1
【ヒント】q1 l1 q2 l2 · · · qK lK r1 m1 r2 m2 · · · rK mK を 4 で割って,余りが 1 になる必要十分条件
m1 + m2 + · · · + mK
は
∈ N ∪ {0} である
2
(4) L(1) を求めよ.
【注意】結果を知っている場合は答えのみでよい.
( ∞
)
∞
∞
∞
∞
∑
∑
∑
∑
1
1 ∑ 1
1
1
−
=
+
を示せ.
【ヒント】テー
(5) log ζ(s) −
qN s
rN s
m
qN sm
rN sm
m=2
N =1
N =1
N =1
N =1
ラー展開
(6) lim
s↓1
∞
∞
∑
∑
−1
1
1
−1
1
1
=
と
lim
= を示せ.
s
s
s↓1
log(s − 1)
qN
2
log(s − 1)
rN
2
N =1
N =1
【注意】4 で割って 1 あまる素数が無限にあることと 4 で割って 3 あまる素数が無限にあることに
ついて.
【ア】 4r1 r2 · · · rN − 1 を素因数分解すると,rN +1 以上の素数が含まれていることになる.
【イ】 4 で割って 1 余る素数も無限にあることが知られている.q1 , q2 , . . . , qN , . . .,と素数を小さ
い順番に ( 無限に ) 並べられる.もし,このような素数が無限にはないとすると,この問題
に反してしまうことがわかるであろう.
2
問題 1. 【ア】と【エ】
問題 2. 【ア】と【エ】
問題 3.
【ア】大数の法則.
【イ】大数の法則.
【ウ】中心極限定理.
【エ】中心極限定理.
問題 4. 【ア】と【ウ】
問題 5.
(1) lim inf
n→∞
∞
∑
am,n ≥
m=1
∞
∑
m=1
lim inf am,n
n→∞
)n ∑
(
n
1
1
≤
より明らかである.≥ はファトゥの補題を用いて証明される.
(2) ≤ は 1 +
n
k!
k=0
問題 6.
(1) 無限等比級数の公式を逆利用すると,
ζ(s) = lim
K→∞
K
∏
N =1
K
∏
1
=
lim
(1 − qN −s )(1 − rN −s ) K→∞
N =1
(
∞
∑
1
qN sl
l=0
)(
∞
∑
1
rN sl
l=0
で定める.K 個の積を展開すると,
K
∞
∏
∑
(qN )−sl1 (rN )−sl2
N =1 l1 ,l2 =0
∑
=
m−s
mは素因数 q1 , r1 , . . . , qK , rK からなる
となるから,単調収束定理によって,
∑
ζ(s) =
m
m−s =
は有限個の奇数素因数からなる
が得られる.
3
∞
∑
(2m + 1)−s
m=1
)
∫
∞
(2)
1
1
ds ≤ ζ2 (s) ≤ 1 +
(2x + 1)s
∫
∞
1
1
ds を用いる.
(2x + 1)s
(3) 同じ考え方で,
L(s) = lim
K→∞
∞
∑
l1 ,l2 ,...,lK =1
m1 ,m2 ,...,mK =1
(q1 l1 q2 l2
(−1)m1 +m2 +···+mK
· · · qK lK r1 m1 r2 m2 · · · rK mK )s
に行き着く.q1 l1 q2 l2 · · · qK lK r1 m1 r2 m2 · · · rK mK を 4 で割って,余りが 1 になる必要十分
m1 + m2 + · · · + mK
条件は
∈ N ∪ {0} であるから,
2
L(s) = lim
K→∞
∞
∑
(−1)q1 q2 ···qK K r1 r2 ···rK K
(q1 l1 q2 l2 · · · qK lK r1 m1 r2 m2 · · · rK mK )s
l1
l1 ,l2 ,...,lK =1
m1 ,m2 ,...,mK =1
l2
l
m1
m2
m
となる.よって,数列空間に関するルベーグの収束定理によって,結論が得られる.
(4)
π
4
(5) 右辺をテーラー展開して,log ζ(s) =
)
∞ (
∞
∑
1
1
1 ∑
+
を得る.k = 1 に相当す
k
qN sm
rN sm
N =1
k=1
る項を抽出する.
∞
∞
∑
∑
−1
1
−1
1
+lim
= 1 となる.同じ方法で,log L(s) =
s↓1 log(s − 1)
qN s s↓1 log(s − 1)
rN s
N =1
N =1
)
∞
∞ (
∑
1 ∑
1
1
−
も示せる.この等式から,
k
qN sm
rN sm
(6) (A)
k=1
lim
N =1
(B)
lim
s↓1
∞
∞
∑
∑
−1
1
−1
1
−
lim
=0
s
s↓1 log(s − 1)
log(s − 1)
qN
rN s
N =1
N =1
となるから,(A) と (B) を用いることで問題に現れた 2 つの等式が得られる.
4