無機化学 II 第 6 回課題 問 1.Li +,Na+,K+,Rb+,Cs+という周期表で

無機化学 II 第 6 回課題
問 1.Li+,Na+,K+,Rb+,Cs+という周期表で縦に並ぶ 5 つの元素を考える.以下の問いに答えよ.
(1) この 5 つのイオンの半径を小さい順に並べ,なぜそのような順序になるのかを説明せよ.
(周期表の上の方が小さいから,とか,上の方が大きいから,というのは理由にならない)
(2) フッ化物イオン(F-)との塩,LiF,NaF,KF,RbF,CsF を考えると,水への溶解度が一番大きいもの,一番
小さいものはそれぞれどれだと考えられるか?ちなみに,フッ化物イオンはかなり小さなイオンである.
(3) 大きな陰イオンであるヨウ化物イオン(I-)との塩,LiI,NaI,KI,RbI,CsI だと溶けやすさはどんな順序にな
ると思うか?
(4) F-と I-の中間的な大きさを持つ Br-だとどうなってくると思うか?正確である必要は無いので,溶けやすさ
がどんな感じになるのかを大雑把に説明せよ.
問 2.リチウムイオン電池に関して考える.
(1) 現在,リチウムイオン電池の正極として昔からよく用いられているのはコバルト酸リチウム(LiCoO2)である.
コバルト酸リチウムを用いて充放電した時,理想的には以下のような化学反応が起こる.
Li0.5CoO2 + 0.5Li+ + 0.5e-
⇔
LiCoO2
つまり,コバルト酸リチウム 1 mol につきリチウムイオン 0.5 mol が出たり入ったりし,この電荷を打ち消すために
外部回路から電子 0.5 mol が吸収される.この時,電極であるコバルト酸リチウム(LiCoO2)1g あたり,どの程度
の電荷(単位:C.クーロン)を蓄えられるのかを計算せよ(有効数字 3 桁程度で良い).Li,Co と O の原子量は
それぞれ 6.9,58.9 および 16.0 とする.
手順としては,コバルト酸リチウム 1 g が何 mol 個の電子を吸蔵出来るかを計算し,それがどれだけの電荷量
になるのかを計算すれば良い.ちなみに,電子 1 mol 個の持つ電荷は 96500 C(クーロン)である.
(2) 計算した容量を,携帯電話などのバッテリーでよく使われる「mAh(ミリアンペア アワー)」の単位に直せ.
「1 mAh の電荷」というのは,「1 mA(ミリは 1/1000 を表すので,1 mA=10-3 A)の電流を 1 時間(3600 秒)流し
た時に流れる電荷の量(=1 mA×1 h = 10-3 A×3600 s)」を意味する.
一方,1 C の電荷は 1 A の電流を 1 秒流したものに等しい(1 C = 1 A×1 s = 1 As)ので,その関係式を使っ
て(1)で求めた「C」の単位を「mAh」に変換すれば良い.
(3) より容量の大きなリチウムイオン電池を目指し,次世代の正極材料として硫黄が研究されている.硫黄を用
いた際の理想的な反応式は以下の通りである.
S + 2Li+ + 2e-
⇔
Li2S
つまり硫黄を電極に使うと,硫黄原子の数の 2 倍ものリチウムイオン(と電子)を貯蔵することが可能である.硫黄
電極 1 g に蓄えられる電荷の量を「C」単位,および「mAh」単位で計算せよ.なお,硫黄の原子量は 32.1 として
計算せよ.