光通信工学
1. 復習
2. ファブリ-ペロー共振器
(前半)
光通信工学209-1
簡単のため
定在波とは:前進波と後退波の重ね合わせ
でも、本質は変わらない
 0
重ね合わせ:重みは同一、角周波数(周波数、波長)も同一、偏光状態も同一(直線偏光)
定在波電場E
Ex  z , t   E0 cos t  kz   E0 cos t  kz   2 E0 sin t sin kz
定在波磁場H
前進波
後退波
注意:平面波近似
H y  z , t   H 0 cos t  kz   H 0 cos t  kz   2 H 0 cos t cos kz
波動インピーダンス
H 0  E0 
電場E→磁場H(右ねじ)
電場E
進行方向
x
磁場H
電場E
磁場H
前進波
z
y
座標系
後退波
光通信工学209-2
定在波:電場Eと磁場H
定在波電場E:細線
Ex  z , t   2 E0 sin t sin kz
定在波磁場H:太線
H y  z , t   2 H 0 cos t cos kz
定在波の電場Eと磁場H
•
振動方向は直交
•
電場E(磁場H)零 = 磁場H(電場E)振動最大
進行波 Traveling wave:波が進む
定在波 Standing wave:進まない
進行波電場E:後退波は逆方向
Ex  z , t   E0 cos t  kz 
進行波磁場H:後退波は逆方向
H y  z , t   H 0 cos t  kz 
進行波の電場Eと磁場H
•
振動方向は直交
•
振動は電場E・磁場Hで一致(同期)
光通信工学209-3
定在波の特徴:節の間隔
S inewave Function
2
1.5
定在波電場E:細線
1
E
Ex  z , t   2 E0 sin t sin kz
0.5
0
-0.5
-1
節nodeの間隔:半波長
-1.5
kz  0,  ,...
0
2.5
5
7.5
10
z
12.5
15
17.5
半波長毎に節 node:常に電場E零
k  2 
z   k 
 2
S inewave Function
2
1.5
定在波磁場H:太線
1
H y  z , t   2 H 0 cos t cos kz
E
0.5
0
-0.5
-1
-1.5
定在波の電場Eと磁場H
•
振動方向は直交
•
電場E(磁場H)零 = 磁場H(電場E)振動最大
0
2.5
5
7.5
10
z
12.5
15
17.5
半波長毎に節 node:常に磁場H零
光通信工学209-4
単位体積あたりの光エネルギー:エネルギー密度
光エネルギー:
ある時刻、ある空間に注目:単位体積に含まれる光エネルギー
U em
単位体積
1
1
  E E  H H
2
2
誘電率
透磁率
光エネルギー:詳細は
参考文献:和田純夫「電磁気学のききどころ」
p.112、岩波書店
光
ある時刻に限定:
定在波でも進行波でも光エネルギーの定義は同じ
単位断面積・単位時間当たりの光エネルギーの流量
ポインティング・ベクトル
ポインティング・ベクトル
ベクトルの向き:流れる方向
S  E H
単位断面積当たり光強度:
求め方:ポインティング・ベクトルの周期時間平均
単位:W/m2
S  E H
ポインティング・ベクトルとは
1.単位断面積を通過する
2.単位時間当たりのエネルギー流量
3.ポインテイング・ベクトルの向き
4.周期時間平均
5.単位断面積当たりの光強度
光通信工学209-5
単位体積当たりの光エネルギー:定在波の場合
ある時刻、ある空間に注目:単位体積当たりのエネルギー
1
1
U em   E E   H H
2
2
電場Eのエネルギー
電場Eのエネルギー
磁場Hのエネルギー
Ex  2 E0 sin t sin kz
H y  2 H 0 cos t cos kz
H 0  E0 
磁場Hのエネルギー
1
2
U e    2 E0 sin t sin kz 
2
 2 E02 sin 2 t sin 2 kz
1
2
  2 H 0 cos t cos kz 
2
 2 E02 cos 2 t cos 2 kz
Um 
  
進行波:電場Eと磁場Hのエネルギーは常に等しい。
定在波:この関係は成り立たない。
単位体積当たりの光エネルギー
U em  U e  U m  2 E02  sin 2 t sin 2 kz  cos 2 t cos 2 kz 
 1  cos 2t 1  cos 2kz 1  cos 2t 1  cos 2kz 
 2 E02 


2
2
2
2


  E02 1  cos 2t cos 2kz 
光通信工学209-6
定在波:単位体積当たりの光エネルギー
電場Eのエネルギー:細線
U e  2 E02 sin 2 t sin 2 kz
磁場Hのエネルギー:太線
光エネルギー
周期時間内での変化:非常に速い
U em  U e  U m   E02 1  cos 2t cos 2kz 
U em   E02
周期時間平均:エネルギーは一様に分布
U m  2 E02 cos 2 t cos 2 kz
最初:磁場Hのエネルギーのみ
八半周期後:電場E、磁場Hのエネルギーが共存
四半周期後:電場Eのエネルギーのみ
半周期後:磁場Hのエネルギーのみ
以後、繰り返し
半波長毎に節 node:常に電場E・磁場H零
八半周期後までアニメ有
最初:磁場Hのエネルギーのみ
八半周期後:電場Eも磁場Hも存在
四半周期後:電場Eのエネルギーのみ
周期時間平均:定在波のエネルギーは進行波の二倍
但し、定在波 = 前進波 + 後退波
四半周期後までアニメ有
光通信工学209-7
単位体積当たりの光エネルギー:平面進行波の場合
ある時刻、ある空間に注目:単位体積当たりの光エネルギー
U em
1
1
  E E  H H
2
2
U em   E02 cos 2 t  kz 
U em   E02 2
周期時間平均
平面進行波
注意:角周波数2ω、速度は電場E磁場Hと同じ。
Ex  E0 cos t  kz 
進行波の場合時間の経過とともに光エネルギーも進む
H y  H 0 cos t  kz 
H 0  E0  ,
  
波動
インピーダンス
1 2 1
 Ex   H y2
2
2
進行波:電場Eと磁場Hのエネルギーは常に等しい。
定在波:この関係式は成り立たない。電場Eと磁場Hの間でエネルギーが移動する。
光通信工学209-8
磁場Hベクトル
整理:進行波
H:磁場の大きさ
ベクトルの向き
磁場H:進行方向→電場Eへ右ねじ
進行方向:電場E→磁場Hへ右ねじ
H
平面波:直線偏光
赤:正実数
Ex  E0 cos t  kz 
電場Eベクトル
H y   E0   cos t  kz 
E
k
単位体積当たりの光エネルギー
進行方向
Plane wave
U em   E02 cos 2 t  kz 
E
2
0
1  cos  2t  2kz 
2
注意:角周波数2ω
速度は光速
エネルギーの流れる方向:+z
光通信工学209-9
共振器:全反射鏡対を置いて前進波・後退波を消すとどうなる?
注意:緑の濃淡は光強度(明暗情報)ではない
定在波:光強度は零
光エネルギーは電場+磁場のエネルギー
前進波
抵抗零
点A
電場E振動最大
磁場H零
後退波
磁場H振動最大
電場E零
 2
点B
 2
間隔:半波長
共振器:二枚の鏡(仮定:非常に大きな鏡)で構成
目的:光をある領域に閉じ込めたい
疑問:鏡をどこに置けばよい?
答え:鏡は電場E零の位置に置く。磁場H振動最大。
なぜなら:鏡は金属、理想的には抵抗零。
鏡面上に電位差(電場E)はない。電場E単位:V/m
省略:表面電流
鏡による光の反射を説明するときに不可欠
共振器を使えば
•
鏡面が抵抗零なら無損失、永遠に光を閉じ込められる。
•
光は共振器(二枚の鏡)内で反射を永遠に繰り返す。
•
共振器長は半波長の整数倍(共振条件)
光通信工学209-10
共振器内の光は下界と完全に分離:外から何もできない
共振器の縦モード:共振条件
横モードについては割愛
前進波→鏡反射→後退波→鏡反射
節の数で定在波を区別
後退波
前進波
注意:緑の濃淡は光強度ではない。
光の波長と共振器のサイズを比較すれば、節の数
は膨大。
L    n  1
 2
共振条件:共振器長は半波長の整数倍
L  n   2    2L n
•
•
n  1, 2,3...
閉じ込めることができる光の波長(波数)に条件がある。
共振器長は半波長の整数倍 = 波長毎に共振器長を微調整
定在波電場E:細線
Ex  z , t   2 E0 sin t sin kz
定在波磁場H:太線
H y  z , t   2 H 0 cos t cos kz
定在波の電場Eと磁場H
•
電場E(磁場H)零 = 磁場H(電場E)振動最大
•
電場E零と磁場H零:交互
光通信工学209-11
ファブリ-ペロー型光共振器:電場Eのみ
Fabry-Perot interferometer (resonator)
全反射鏡を部分反射鏡に置き換え
t  L c
所要時間:片道
部分反射鏡:左側
位置:z=0
共振器内
前進波電場E
Ein  z  0, t 
入射光電場E:スカラー表示
L
Switch on
一部透過
振幅反射率:p
振幅透過率:q
二枚の部分反射鏡で同特性
部分反射鏡:右側
位置:z=L
Eout  L, t 
青:複素振幅
Ein  z  0, t   Ain exp jt
t 0
部分反射鏡を使用:外部との出入り口ができる。
•
共振器への光入射
•
共振器からの光出射
t0
これからやりたいこと:平面波近似のもとで
連続波
定性的な説明:電場Eのみ考慮
•
最初、共振器内部は真っ暗
•
入射光は連続波(t > 0)
•
入射光の一部が左側鏡を透過、共振器内に進入
•
右側鏡にて一部が透過、残りは反射、後退波となる
•
左側鏡にて一部が透過、残りは反射、前進波となる
•
この前進波と左側鏡から新たに進入する入射光で合成電場E
を形成。注意:入射光は連続
Eout  L, t  ?
出射光電場E:スカラー表示
 Eout  L, t 
出射光強度:平面進行波近似
という訳で、電場Eのみ考慮
光通信工学209-12
2
過渡状態(1):Switch on
初期条件:共振器は空(真っ暗)
入射光:開始
共振器長:L
振幅反射率:p
振幅透過率:q
二枚の部分反射鏡で同特性
部分反射鏡:右側
所要時間:片道
z t 0
部分反射鏡:左側
t  L c
入射光電場E
出射光電場E
Eout  L, t 
Ein  0, t   Ain exp jt
t 0

 Ein  0, 0   Ain
共振器内前進波電場E
t1  t  Eout  L, t1   q 2 Ain e
j t1  kL 
出射光電場E:透過(2回)、距離L
t3  3t
合成出射光電場E
出射光電場E(先発光)
透過(2回)、反射(2回)、距離3L
出射光電場E(後発光)
透過(2回)、反射(0回)、距離L
t1  t
p 2 q 2 Ain e
2
q Ain e
j  t3  3 kL 
j t3  kL 
Eout  L, t3  
1  p e
時よりも出射光の電場E(光強度)の増大。共振器内で光エネルギーの蓄積開始
2  j 2 kL
q A e 
j t3  kL 
2
in
光通信工学209-13
過渡状態(2):ファブリ-ペロー型光共振器
入射開始
振幅反射率:p
振幅透過率:q
二枚の部分反射鏡で同特性
共振器長:L
z t 0
部分反射鏡:右側
所要時間:片道
部分反射鏡:左側
t  L c
入射光電場E
出射光電場E
Eout  L, t 
Ein  0, t   Ain exp jt
共振器内前進波電場E
 Ein  0, 0   Ain
t 0
t5  5t
出射光電場E(先々発光)
透過(2回)、反射(4回)、距離5L
出射光電場E(先発光)
透過(2回)、反射(2回)、距離3L
出射光電場E(後発光)
透過(2回)、反射(0回)、距離L
合成出射光電場E
p 4 q 2 Ain e
2
2
j t5  5 kL 
p q Ain e
q 2 Ain e
Eout  L, t5  
j  t5  3 kL 
j t5  kL 
1  p e
2  j 2 kL
q 2 Ain e
 p 4 e  j 4 kL 
j t5  kL 
光通信工学209-14
過渡状態から定常状態へ
出射光
入射光
出射光電場E:複素数表示
Eout  L, t  0   0
Eout  L, t1  t   1 q 2 Ain e
j t1  kL 
Eout  L, t3  3t   1  p 2 e  j 2 kL  q 2 Ain e
j t3  kL 
Eout  L, t5  5t   1  p 2 e  j 2 kL  p 4 e  j 4 kL  q 2 Ain e
•
•
ピンク部分:時間の経過と共に項数が増える
過渡状態:出射光(共振器内)電場Eが時間の経過と共に成長する。
•
但し、振幅反射率p<1なので、 1  p
やがて、成長が止まる。(定常状態)
出射光(共振器内)電場E?
2
 p
4
j t5  kL 
一例:片道時間
t  L c
L  30 cm
。段々、成長は抑えられる。
t  10 9  1ns
加算:無限個。一往復時間:2ns毎に1個増加
現実:1秒も待てば5億個。ほとんど、無限個と考えてよい。
Eout  L, t  0   1  p 2 e  j 2 kL  p 4 e  j 4 kL  p 6 e  j 6 kL ... q 2 Ain e
q 2 Ain
j t  kL 

e
1  p 2 e  j 2 kL
Eout  L, t  ?
振幅反射率:p
振幅透過率:q
二枚の部分反射鏡で同特性
j t  kL 
定常状態における出射光電場Eの複素振幅:青色下線部
もちろん、時間に依存しない:一定
注意:永遠に成長すると仮定すると共振器内で電場Eが無限大?
定常状態:有限かつある一定の光エネルギーを共振器が蓄えている状態
光通信工学209-15
定常状態:共振特性
Ein  z  0, t 
定常状態:出射光電場Eの複素数表示
q 2 Ain
j t  kL 
Eout  L, t  0  
e
1  p 2e j 2 kL
q 2 Ain
q 2 Ain*
Pout 
 Eout
2  j 2 kL
2 j 2 kL
1 p e
1 p e
振幅反射率:p
振幅透過率:q
二枚の部分反射鏡で同特性
入射光電場E:209-12
平面進行波近似:203
光強度、即ち、明暗情報は電場E振幅自乗に比例
複素振幅
出射光
入射光
2
Ein  z  0, t   Ain exp jt
t 0
Switch on
t0
連続波
1  R 
Pout

Pin 1  R 2  4 R sin 2 kL
2
2
強度透過率
青:複素振幅
複素共役
1  R 

2
1  R   4 R sin 2 kL
強度反射率
Eout  L, t  ?
Ain
2
エネルギー保存:203-18
R  p2 , T  q2 , T  R  1
入射光強度:
出射光強度:
強度透過率は振幅透過率の自乗でよいのか?(補足説明資料:210)
本質から離れてしまうので結論のみ言えば、今回は問題なし。もし、興味があれば、
•
媒質1(真空)、媒質2(部分反射鏡)、媒質3(真空)として
•
媒質2-3間に無反射コートが施されている場合を考えましょう。
•
また、ビーム径は入射・反射・透過光で同一です。
Pin  Ain
2
Pout  Eout
2
光通信工学209-16