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リポソーム添加型無細胞蛋白質合成系による膜蛋白質受
容体の薬理学的機能解析( 学位論文要旨 )
有光, 英治
. vol., no., p.-
2014-10-16
http://iyokan.lib.ehime-u.ac.jp/dspace/handle/iyokan/4371
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受理:2014-06-24,審査終了:2014-09-11
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IYOKAN - Institutional Repository : the EHIME area http://iyokan.lib.ehime-u.ac.jp/dspace/
(第3号様式)
学
氏
論
名
文
名
有光
位
論
文
要
旨
英治
リポソーム添加型無細胞蛋白質合成系による膜蛋白質受容体の
薬理学的機能解析
学位論文要旨
【背景と目的】
無細胞蛋白質合成法は、細胞を直接使用せず、蛋白質合成系に関わるリボソーム、酵素などを
利用して in vitro にて蛋白質を合成する方法であり、蛋白質の構造解析や医薬品やワクチン製
造に応用されている。リポソームは、リン脂質から構成される人工の微粒子であるが、澤崎らは、
この人工的な膜構造の存在下に無細胞合成系と組み合わせて、膜蛋白質を合成する方法を報告し
てきた。しかし、これにより発現された膜蛋白質の機能的な評価は不明である。そこで申請者は、
リポソームの存在下に無細胞蛋白合成系を用いてドパミン D1 受容体タンパク質の発現を行い、
放射性リガンドを用いた特異的結合能を検討した。また、一定濃度の放射性リガンドの存在下に
各種ドパミン受容体アンタゴニストおよびアゴニストを添加して得られる置換曲線からリポソー
ムに発現した受容体のドパミン受容体リガンドに対する選択性を検討した。
本研究はリポソーム存在下で膜蛋白質受容体を発現し、その受容体の結合能を評価することを
目的とした。
【材料と方法】
1. ドパミン D1 受容体蛋白質の発現
特異的 DNA プライマーを用いて、ヒト完全長 cDNA ライブラリ-からドパミン D1 受容体遺伝子
を単離し、無細胞系専用発現ベクタ-に組み込み、その後の翻訳反応には重層法を用いて、蛋白
質発現を行った。
氏名
有光
英治
2. 受容体結合実験
発現したドパミン D1 受容体の結合能は放射性標識したドパミン D1 受容体アンタゴニスト
([3H]SCH23390)用いて測定した。特異的結合量は、全結合量と放射性リガンド゙の 1000 倍量の
非放射性標識 SCH23390 存在下で得られた非特異的結合量の差から求め、濃度-結合曲線に対する
解析により、受容体の結合親和性(Kd)と最大結合数(Bmax)を算出した。対照実験としてラット
脳線条体膜分画を用いた。
3. 結合蛋白競合実験
一定濃度の放射性リガンドの存在下に受容体アンタゴニストおよびアゴニストの濃度を変化させ
て添加したのち結合蛋白競合実験を行った。得られた置換曲線から各種リガンドに対する IC50 値
と結合解離定数(Ki)を算出した。対照実験としてラット脳線条体膜分画を用い、同様に IC50 値と
Ki を算出した。
【結果と考察】
1.ヒト完全長 cDNA ライブラリ-から単離したドパミン D1 受容体をコードする遺伝子を無細胞
系専用発現ベクタ-に導入した。小麦胚芽由来の抽出液を用いた無細胞蛋白質合成を用い、構築
した発現プラスミドによる蛋白質発現を確認した。
2.放射性リガンド([3H]SCH23390),非放射性リガンド(SCH23390)を用いた受容体結合実験を行
い、濃度-結合曲線を作成した。得られた曲線に対する Scatchard plot 解析より、Kd と Bmax が
算出され、それぞれリポソーム蛋白質では 6.61±0.63 nM、1.85±0.05 pmol/mg protein であった。
対照実験のラット線条体膜分画では 2.67±0.52 nM、0.70±0.10 pmol/mg protein であり、両群では
比較的近似した値が得られた。
3.発現したリポソーム蛋白質と放射性リガンドとの特異的結合を経時的に評価した。その結果、
特異的結合は時間依存的に増加し、約 90 分後にはプラト-に達することがわかった。
4.リポソーム蛋白質に一定濃度の放射性リガンド(8nM)の存在条件下で各濃度のアンタゴニス
ト、アゴニストを添加させ、置換曲線を作成した。その結果、ドパミン D1受容体のアンタゴニ
スト、アゴニストの濃度を増加させると特異的結合が減少することがわかった。また、ドパミン
D2受容体のアンタゴニスト存在下では、特異的結合に変化がないことを確認した。
5.得られた置換曲線から放射性リガンドの結合を 50%減少させる IC50 を算出した。さらに
Cheng-Prusoff 式からリガンド固有の Ki を算出した。リポソーム蛋白質における Ki は SCH23390、
LE300、SKF83566 ではそれぞれ 3.62nM、22.64nM、90.49nM であった。一方、ラット線条体膜
分画における Ki は SCH23390、LE300、SKF83566 ではそれぞれ 2.53nM、20.20nM、101.01nM で
あり、両群では近似した値が得られた。
【結論】
無細胞蛋白質合成系を利用しリポソーム存在下で発現した膜蛋白質受容体が機能的な結合能を有
していることが示唆された。本手法は新たな医薬品開発のスクリーニングや膜受容体の構造を認
識する機能性抗体製剤の作製に結びつく可能性が示された。
キーワード(3~5)
GPCR, 無細胞蛋白質合成法, binding assay