ヘリオトロン J に於ける周辺計測と高周波加熱の研究 III

ZE25C-1
ヘリオトロン J に於ける周辺計測と高周波加熱の研究 III
上原和也 1,3,定本嘉郎 2,川島寿人 3,大島真介4
1
1.
宇宙航空研究開発機構,2上越教育大学,3 日本原子力研究開発機構
4
京都大学エネルギー理工学研究所
はじめに 京都大学 のヘリオトロンJは定常運転を目指すヘリカル装置で核融合科学研究所のLHDと共に世界で
も有数の実験装置である。最近は、ヘリカル装置として低磁場ながら、ガス供給制御によるプラズマ
領域の拡大によりNBI/ECH加熱を併用して平均密度 4x1019m-19で、蓄積エネルギー4.5kJ
が得られていて、世界的にも重要なマシーンとして知られている。このようなプラズマでの周辺プラ
ズマの挙動は重要なプラズマパラメーターである。前年度までにヘリオトロンJにイオン温度測定用プロ
ーブである非対称型ダブルプローブ(Asymmetric Double Probe for Heliotron J, ADP-HJ)を取り付け、
予備的な測定を行ってきた。ADP-HJでは電極列は磁力線方向に置かれる必要があるが、設置ポートの
関係で電極列は磁力線と10〜20
度の角度をなしていた。そのた
め,正確なイオン温度の評価は
できなかった1)。今年度は、新
しいタイプの作動型ダブルプロ
ーブ(Differential Double
Probe for Heliotron J,DDP-HJ) を磁力線がなるべく平行位置を
確保できそうな、♯14.5の垂直ポ
ートへの挿入の設計的検討を行
った。
2.
図1 作動ダブルプローブ(DDP-HJ)。
ヘリオトロンJにおける周
辺イオン温度測定用作動
ダブルプローブの設計 DDP-HJはADP-HJと同じように長短2種類の電極をもつ単純なダブルププローブで、プローブ列 が磁
場に平行の状態でイオン温度が測定できる。通常のダブルプローブでは、電極の長さは同じであるが、
これが違うとイオン飽和電流が非対称になり、この比の値からイオン温度Ti が精密に測定できる。イ
オンラーモア半径rLi がプローブの径a に比べて大きい場合には、長さ方向に入ってくるイオンが多く
なり、イオン飽和電流に差が出てくることが、Tiが測定できる条件である。ヘリオトロンJ では、磁場B
が、B=1.4-1.6 T の場合Ti=40 eV-160 eV がカバーできることがわかる。図1にDDP-HJの模式図を示す。
DDP-HJで短いほうのプローブのイオン飽和電流をI1, 長いほうのプローブのイオン飽和電流をI2と書
くと、イオン温度Tiは
J 0 dL (x)
− 168 −
h1I2 h2 I1
h2 h1
ZE25C-1
で与えられる。ただし、J0は磁
場に垂直な電極の電流密度で J0=ne(kTi/2M)1/2,
(x)は
(x)={[1-exp(-x2)]+erfc(x)}
/1/2x
図2 ヘリオトロンJでのDDPの挿入予定ポート(#14.5)のト
ロイダル断面(左)とポロイダル断面(右)
で与えられる。x=L/vi
=eB/M,vi=(2kTi/M)1/2,Lはプ
ローブの磁場方向の奥行きの
長さ、dは両電極の幅である2,3)。
J0 が既知の時 (h1I2‐h2I1)/(h2‐h1) の測定値から(x)が得られる。J0 が未知の時はI2/I1の測定値から(x)が得られ、x からTiが得られる。 図2にDDP-HJを取り付け予定の#14.5ポートのトロイダル断面とポロイダル断面を示す。プローブ先
端が磁力線となるべく平行位置を確保出来るようにする。 References
1) 上原和也、定本嘉郎、川島寿人、大島慎介、ヘリオトロン J に於ける周辺計測と高周波加熱の研究 II, 京
都大学エネルギー理工学研究所附属エネルギー複合機構研究センター共同研究成果報告書(平成24年
度) p.166-167
2) H. Amemiya and K. Uehara, Jpn. J. Appl. Phys. 45, 247, 2006 3) K. Uehara, K. Tsuzuki, H. Amemiya, Y. Nagashima, K. Hoshino and Y. Sadamoto, Jpn. J. Appl.
Phys. 45, L630, 2006 − 169 −