二次元Si系半導体の 基盤研究

基礎研究
基礎研究
水野 智久 教 授 ■ キーワード
■ 理学部 ■ 数理・物理学科
LSI・発光素子・量子閉じ込め効果
LSI用超微細素子の実現には、半導体、特にSi系半導体の低次元構造化が必須である。
半導体の低次元化にともない、ミクロな領域において顕著になる量子力学に従った
物理現象が現れ、二次元Si系半導体は従来の三次元半導体とは異なる物性を有する。
研究概要
今回、我々は低次元Siの代表である二次元Si系半導体形成の実現と、そのSi系半導
体膜厚方向の、電子等の量子力学的閉じ込め効果による物性変調の実証を目的とし
ている。その結果、従来のSi物性とは異なる物性を持つ二次元Si系半導体が実現でき、
それを用いた新たなLSI用半導体素子、及び発光素子への応用が期待できる。
二次元Si半導体層の実現
⇒Si原子が数層しかない半導体
:新形成法と物性評価
⇒新たな物理現象の実現(量子閉じ込め効果)
電子顕微鏡写真
具体的な研究項目は以下の三項目である。
1)Siウェハ内にある埋め込み酸化膜(BOX層)を有するSOI基板を用い、BOX上半導
体層の極薄膜化の究極である原子層が数個しか存在しない二次元Si系半導体の製法は、
簡易な酸化法を用い、その製法の確立を目指す。2)Si系半導体であるSi1-xGex、及び
Si1-yCyは、それぞれ簡易なGe、及びCのイオン注入法を用いる。3)二次元半導体にお
ける量子力学的効果による物性変調を解明する。
二次元Siは発光する!
↔旧来の三次元Siは発光する能力無し
PL Intensity (arb. unit)
研究の
特徴・比較・
優位性
30000
(b) (100), hν=2.33eV
TS=0.5nm
20000
0.8nm
10000
0.25nm
1.0nm
T=300K
0
1.5
1.6
1.7
PL Photon Energy (eV)
1.8
二次元Siの発光スペクトルのSi膜厚依存性
応用研究
二次元Si系半導体の
基盤研究
今 後 の 展 望
二次元Si系半導体を用いたLSI用トランジスタやLEDなどの発光素子の開発などを行う予
定である。
MESSAGE
I N F O R M A T I O N
二次元Si系半導体に関する我々の12件の論文
旧来の三次元半導体とは物性の異なる二次元Si系
半導体は未知の分野であり、新たな半導体の応用分野
を開拓でき、その高性能半導体の商品価値は非常に高い
と思われる。
の一例を以下に示す。
[1]
T. Mizuno et al., “Experimental Study on
Surface-Orientation/Strain Dependence of
Phonon Confinement Effects and Band
Structure Modulation in Two-Dimensional Si
Layers”, Jpn. J. Appl. Phys., 52, 04CC13
(2013).
T. Mizuno et al., “Impurity doping effects on
[2]
impurity band structure modulation in two
dimensional n+ and p+ Si layers for future
CMOS”, Jpn. J. Appl. Phys., 54, 04DC05
(2015).
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