第 11 回日本法医学会学術北日本集会(福島,2010) 積雪寒冷地での

◎第 11 回日本法医学会学術北日本集会(福島,2010)
積雪寒冷地での凍死診断における左右心臓血酸素化ヘモグロビン含有量の差
発表者:清水惠子
凍死の診断は、特異的な所見が無い為、状況、除外診断、凍死に特徴的な所
見を総合的に判断する。酸素化ヘモグロビン(O2-Hb)濃度の差に由来する左右
心臓血の色調差は、他の死因ではほとんど認められない。我々は、左右心臓血
中の O2-Hb 濃度(%)値に関する検討及び死体冷蔵時の二重死斑に関する予備的
検討を行った。
【方法】解剖により、除外診断、状況を総合的に判断し、凍死と診断された 25
例、対照群として同時期に解剖された凍死以外の外因死 25 例、内因死 10 例に
ついて、オキシメーターを用いて、左右心臓血の O2-Hb 濃度(%)を測定し、そ
の値を検討した。解剖後、4℃一晩冷蔵保存後の血液(10 例)の O2-Hb 濃度及び
一酸化炭素ヘモグロビン(CO-Hb)濃度を測定し、二重死斑について検討した。
【結果】凍死の O2-Hb 濃度は、左心臓血平均 63.5%、右心臓血平均 22.5%であり、
左右差は 41.0%、2.82 倍であった。凍死体の左右心臓血 O2-Hb 濃度(%)の差
には、他の死因と比較して、有意差が認められた(p<0.01)。左心臓血が 60%以
上、差が 40%以上および比が 2.0 を越える場合、凍死例(56%)、他の死因(2.8%)
で有意差(p=0.0017)が認められ、非常に高い確率で凍死と診断でき、左心臓
血が 50%以上、比が 1.5 を越える場合、凍死例(84%)、他の死因(5.7%)で
有意差(p =0.0002)が認められ、かなりの確率で凍死と診断できることが示唆
された。解剖後、4℃一晩冷蔵保存後の試験管内血液では、O2-Hb 濃度は上昇し、
CO-Hb 濃度では変化がほとんど認められなかった。