No.144 香港からの新婚旅行・撮影旅行誘致について香港事務所渡邉大輔沖縄県は新たな観光客の誘致政策として、香港からの結婚に端を発する旅行客の誘致に力を入れ一定の成果を上げている。今回のレポートでは香港人の海外挙式の動向を明らかにして、どのようにすれば福岡に来てもらえるのかを検討した。１香港の結婚費用２婚前の写真集作成旅行最近の香港の結婚では婚前の写真集作成、披露宴が一日本であまり馴染みのない習慣として､婚前の写真集般的なスタイルである。結婚関連情報ポータルサイトと作成がある。香港では休日になるとセントラルの繁華して有名な｢生活易 ( E S D l i f e ) ｣が 2013 年に行った、街､砂浜､離島等でウェディングドレスとタキシードを今後２年以内に結婚予定のある香港人を対象とした調査着た男女が二人の写真集作成のための撮影をしている光によると､新婚旅行を含む結婚にかかる費用は平均で約景をよく見かける。以前はスタジオで写真を撮るだけの 31 万香港ドル ( 約 404 万円 ) と、過去６年間で 60% もシンプルなものが主流だったが､今はプロのスタッフを増加していることが判明した。平均年収が 15 万香港ド雇い､何日も泊りがけで海外へ撮影に出かけることも珍ル（195 万円）の香港人にとって、この金額は年収の約しくなく､写真集作成には平均で約２万 3,000 香港ド２倍にあたり、相当な出費だと理解できる。ル（約 30 万円）と、それなりのお金をかけているようだ（表参照）。海外での撮影の場合、カメラマンのほかにメ項目婚前写真集作成 2.3 万 HK$　（約 30 万円）指輪・アクセサリー 4.7 万 HK$　（約 61 万円）披露宴 15.7 万 HK$（約 204 万円）プランにすると、費用は莫大になる。３香港人の海外挙式人気披露宴撮影 1.2 万 HK$　（約 16 万円）新婚旅行 3.7 万 HK$　（約 48 万円）香港メディアの大紀元によると、香港人カップルのその他 3.5 万 HK$　（約 46 万円）結婚に際しての海外撮影は現在ほぼ 50% に達しており、合計 31.1 万 HK$（約 404 万円）表　香港のブライダル関連平均費用 14 イクアップアーティスト、アシスタントなども同行する一組あたり平均費用 BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2014.５その行き先のトップは台湾、第２位が日本だと報じられている。そんな香港人の日本での挙式場所として、近年お問い合わせ情報取引推進課　TEL：092-622-6680 人気を集めているのが沖縄だ。沖縄県は沖縄リゾートウェディングにかなり力を入れ４福岡にもチャンスありている１。沖縄リゾートウェディングとは、沖縄県外及香港人が海外ウェディング先を選ぶ対象は、先述のび海外に在住する新郎新婦が、沖縄でウェディングをリーガルウェディングができる場所である以外に、風光挙げることを目的に来県し行うものだ。平成 11 年に年明媚な撮影地、挙式施設があることが重要となる。沖縄 200 組であったものが平成 24 年は 9,118 組と、13 年に負けない魅力を福岡県が発信するとして、まずは婚前間で実に 46 倍の伸びを見せている。海外からの挙式組写真のロケ地としての誘致に力を入れてはどうだろう数は平成 24 年には 447 組を超え、そのうち香港からはか。門司港レトロ、マリンワールド海の中道、能古島、 295 組と６割以上を占めている。太宰府天満宮、福岡タワー、柳川お堀めぐりなど、様々香港人カップルから要望の高い「リーガルウェディンなシーンを演出できる組み合わせが福岡空港から１時間グ」による挙式も増えている。「リーガルウェディング」圏内にあるのは、滞在期間中に効率的に写真撮影を行いとは法的に効力を持つ海外での挙式のことで、具体的にたい香港人カップルには大きな魅力となる。城や神社では、海外から挙式目的で訪日したカップルが、日本の法の和装ショットも撮りたいという需要も満たせる。ま律に基づき市町村の窓口で婚姻手続きを行い、「婚姻届た、最近人気が出てきているという夜景を含めた撮影受理証明書」２を発行してもらう行為を指す。この証明も、屋台など福岡ならではのロケ地が多数ある。書を翻訳して自国の役所に提出すると、本国でも婚姻がそして、撮影地からウェディングの場所へと展開を成立し、日本方式で婚姻した記録も残る。広げていくことを考えると、福岡の最大の強みである「リーガルウェディング」ではない場合、日本への旅ショッピングと食の魅力を、ウェディング参列者の挙式は「挙式をする」のではなく、新婚旅行を兼ねた写真撮後の過ごし方として打ち出せばよいのではないか。影に留まるが、法的に効力のある挙式になることで、多小川知事が去年の 10 月に香港の旅行代理店 E G L ツくの参列者を連れてくる傾向が見られるようになった。アーズの袁社長を訪問した際、福岡は香港から近いため特に香港では富裕層に人気があり、参列者が増加するこ魅力的なチャペルや写真撮影のスポットを整備できればとで挙式以外の経済効果が高くなり、沖縄への外国人観光客増加にもつながってくる。沖縄県香港事務所によると、沖縄での挙式費用は香港より価格が割高だが、県の取り組みが功を奏して人気が上昇し、平成 25 年の挙式数は 500 組を超えたとのことであった。さらに、今年はさまざまな偶然３が重なり、香港人の挙式件数が増えると予想されるため、沖縄での挙式もさらに増加すると予想している。図　沖縄リゾートウェディングの推移（沖縄県作成）お問い合わせ情報取引推進課　TEL：092-622-6680 BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2014.５ 15 その対象地域として非常に可能性があるとの発言があっ福岡県香港事務所では、ブライダルツアーを積極的にた。またその際、細かい指摘になるが、雨の日など天候日本に誘致している旅行社からの情報収集を進め、福岡が悪い場合のプランなどのきめ細やかな、新婚カップルのブライダル業界に情報提供を行っていきたい。さらの福岡での挙式を失望させない、日本ならではの提案もに、普段は入れない場所での撮影許可やシチュエーショ大切になってくるような助言も受けた。ンなど新たな撮影スポットの創出や、香港人が望む特別直近の福岡－香港間の航空機材の大型化や L C C 就航感を演出するなど、積極的に新プランの作成を行っていにより座席が増えた今、新たな香港人観光客の誘致手法き、一人でも多くの香港人が福岡へ来てもらえるようにとして、ウェディング場所やその前段の撮影地として訴今後も努力していく。求することが重要になるだろう。その場合、ただの撮影旅行や新婚旅行にするのではなく、沖縄県のように、 ※　為替レート　１ H K $ ＝ 13 円「リーガルウェディング」を行えるようにすることによって、正式な挙式を行い、参列者も連れてくるようになる１マスメディアを活用した広報宣伝活動、県やコンベンションビューローと県内企業による沖縄リゾートウェと効果が高い。ディング協議会の設立、フェアの開催（東京・大阪・香港）など。２この婚姻届受理証明書により、香港内において証明書の作成が必要なくなる。３香港では、立春や閏月は縁起がいいと言われている。今年は、旧暦の１月 15 日（中国のバレンタインデー）と西暦のバレンタインデーが重なり、立春が２度あり、また閏月があり、60 年に１度の結婚するにいい年と言われている。写真　前撮撮影旅行を特集した機内誌海外事務所設置状況についてのお知らせ本県では、中華人民共和国（上海・香港）、米国（サンフランシスコ）、タイ（バンコク）に県独自の海外事務所を設置しています。また、欧州および韓国においては、現地在住のコンサルタント等に業務を委託しています。各海外事務所および現地コンサルタント等は県内中小企業の皆さんの国際業務の支援をいたします。活用につきましては、お気軽にご相談・ご利用ください。連絡先 16 福岡県商工部商工政策課（担当：山田・前田） T E L（092）643-3434 F A X（092）643-3417 公益財団法人福岡県中小企業振興センター（担当：前田） T E L（092）622-6680 F A X（092）624-3300 BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2014.５お問い合わせ情報取引推進課　TEL：092-622-6680