課題 6.重力と潮汐 解答および解説 1.地球の表面にある物体について,以下の問いに答えなさい.必要ならば次の数値を使うこと.また,太陽の 周りの地球公転軌道,地球の周りの月公転軌道は円とする. 万有引力定数: G=6.7×10-11 (Nm2/kg2) 地球の質量: ME=6.0×1024 (kg) 月の質量: ME=7.3×1022 (kg) 太陽の質量: MS=2.0×1030 (kg) 地球の半径: RE=6.4×106 (m) 地球の公転半径: rE=1.5×1011 (m) 月の公転半径: rM=3.8×108 (m) (1)地球との間に働く万有引力によって生じる加速度を求めなさい. g= GM E = 9.8 (m/s2) 2 RE (2)月との間に働く万有引力によって生じる加速度を求めなさい.ただし,物体は月にいちばん近い位置にあ るものとする. aM = GM M = 3.5 × 10 −5 (m/s2) 2 (rM − RE ) (3)太陽との間に働く万有引力によって生じる加速度を求めなさい.ただし,物体は太陽にいちばん近い位置 にあるものとする. aS = GM S = 6.0 × 10 −3 (m/s2) 2 (rE − RE ) 2.地球の自転を考慮した時の重力についての問いに答えなさい.なお,自転周期は 24 時間とすること. (1)自転を考慮したとき,赤道での重力加速度は,北極での値に比べて何%小さくなるかを求めなさい. ( ( ) ( ) ( ) ) 6.4 × 10 6 × 7.3 × 10 −5 ∆g rω 2 r 3ω 2 = = = = 0.0035 6.7 × 10 −11 × 6.0 × 10 24 g N GM 2 GM r 3 2 0.35 (%) (2)自転を考慮したとき,北緯 30 度での重力加速度は,北極での値に比べて何%小さくなるかを求めなさい. 3 ∆g r 3ω 2 cos 2 θ = = 0.0035 × = 0.0026 4 GM gN 3.緯度 θ での鉛直下向きが半径方向とどれだ 0.26 (%) z けずれるかを考えよう.地球の質量および半 径を M,R,万有引力定数を G とする.図のよ φ うに,緯度θにおいて天井からおもりを吊り下 げたところ,半径方向から角度φだけ傾いたと T する. m (1)次式を示しなさい. R 3ω 2 sin θ cos θ sin φ = GM − R 3ω 2 cos 2 θ なお,ωは自転の角速度である. R M θ θ φ 回転軸方向の運動方程式 mz = T sin (θ + φ ) − G Mm sin θ R2 ① 半径方向の運動方程式は自転の角速度をωとして, − mR cos θω 2 = T cos(θ + φ ) − G Mm cos θ R2 ② となる.軸方向には動かないので,①より, T sin (θ + φ ) = G Mm sin θ R2 ③ φは微小角ゆえ次のような近似ができる. sin (θ + φ ) = sin θ cos φ + cos θ sin φ ≈ sin θ + cos θ sin φ cos(θ + φ ) = cos θ cos φ − sin θ sin φ ≈ cos θ − sin θ sin φ ③の両辺を T(>0 は自明)で割ると, sin (θ + φ ) = sin θ + cos θ sin φ = GMm sin θ TR 2 sinθを移項して, GMm cos θ sin φ = − 1 sin θ 2 TR 両辺を cosθ(0<θ<π/2 ゆえ cosθ>0)で割って GMm sin φ = − 1 tan θ 2 TR ④ 一方,式②より, T cos(θ + φ ) = T (cos θ − sin θ sin φ ) = G Mm cos θ − mR cos θω 2 2 R 式④を代入して, Mm GMm T cos θ − − 1 sin θ tan θ = G 2 cos θ − mR cos θω 2 2 R TR ( ) ( ) T cos θ 1 + tan 2 θ − GMm Mm sin θ tan θ = G 2 cos θ − mR cos θω 2 2 R R T cos θ 1 + tan 2 θ = G T =G ( ) Mm cos θ 1 + tan 2 θ − mR cos θω 2 2 R Mm Mm mRω 2 = G 2 − mRω 2 cos 2 θ − 2 2 1 + tan θ R R これから, TR 2 = GMm − mR 3ω 2 cos 2 θ したがって, GMm R 3ω 2 cos 2 θ 1 − = TR 2 GM − R 3ω 2 cos 2 θ ⑤ ④と合わせて, R 3ω 2 sin θ cos θ GMm sin φ = 1 tan θ = − 2 GM − R 3ω 2 cos 2 θ TR (2)緯度 45 度での角度φを求めなさい.その際,G=6.67×10-11 (Nm2/kg2),R=6.38×106 (m),M=5.97×1024 (kg), ω=7.27×10-5 (rad/s) としなさい. θ=π/4 のとき, sin φ = R 3ω 2 2GM − R 3ω 2 数値を代入すると, sin φ = R 3ω 2 = 1.74 × 10 −3 3 2 2GM − R ω したがって, φ = sin −1 (0.00174 ) = 0.0997 4.上空 400 km を等速円運動している宇宙ステーションについて,以下の問いに答えなさい.なお,必要ならば, 地球の半径および質量は 6.4×106 m,6.0×1024 kg,万有引力定数は 6.67×10-11 (Nm2/kg2)としなさい. (1)円運動の速さを求めなさい.このとき,向心力は地球との間の万有引力のみを考えなさい. 地球および宇宙ステーションの質量を M,m’とする.また,地球半径および高さを R,H とする.円運動の速 さを v とすると,半径方向の運動方程式は万有引力定数を G として − m′ v2 Mm′ = −G R+H (R + H )2 ① したがって, v= GM = 7.66(km / s ) R+H (2)上空 400 km での重力加速度は地表の何倍か.このとき,地球の自転は考慮しなくてもよい. 上空 400 km での重力加速度を g’とすると, g′ = GM ( R + H )2 GM = 2 R 2 2 1 R = g = 0.88 g R+H 1+ H / R したがって,地表から離れるから無重力状態になるわけではない. (3)宇宙ステーション内部の人が地球を足下にみたとき,床から受ける垂直抗力を求めよ. 宇宙空間に固定した座標系からみたとき,人は地球の周りを宇宙ステーションと同じ速さで円運動している. 人の質量を m,床から受ける垂直抗力を N とすると −m v2 Mm = −G +N R+H (R + H )2 ② ①,②より,N=0.それゆえ,人は重力が働いていないような感覚をもつ(床からの反発がない) 5.質量 M の天体の周りを万有引力を向心力として円運動(半径 R)している半径 r の物体を考える.この物体 に働く単位質量当たりの潮汐力は,次式で表される. [ ] GM 4r GM GM −2 −2 − = GM (R − r ) − (R + r ) ≈ 2 2 2 R R (R − r ) (R + r ) 1で与えた数値を用いて,地球における太陽からの潮汐力および月からの潮汐力を求めなさい. 太陽からの潮汐力(1kg 当たり) fS = 1.0×10-6 (N) 月からの潮汐力(1kg 当たり) fM = 2.3×10-6 (N)
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