症例の解答 ① 肺結核症 ② 多剤耐性結核であったため 多剤耐性結核症 定義:INHとRFPの両剤に耐性を獲得した結核症。 *2007年の全国調査では、新たに結核にか かった者の8.5%が基本的な抗結核薬 (INH・RFP・SM・EB)のいずれかに耐性を持っ ており、0.4%がINH・RFP(多剤耐性)である。 多剤耐性結核の治療 • PZA・EB・SM・TH・LVFXの5剤を使用する。 • 上記のうち薬剤耐性または使用できない薬剤があ れば、PAS・CSの順に入れ替える。SMが使用不可の 場合はKM・EVMの順に使用する。アミノグリコシド系 薬剤は原則として6ヶ月で終了し、その他の薬剤は 菌陰性化後18ヶ月∼24ヶ月継続する。 • また、病巣が限局していれば、積極的に外科切除を 検討する。手術時期は、有効な化学療法開始2∼ 3ヶ月後で菌量が減少した頃が適当である。 薬剤感受性検査結果 S:感受性 R:耐性 薬剤名 濃度 結果 薬剤名 濃度 結果 SM 10 R EVM 20 S INH 0.2 R ETH 20 S 1.0 R RFP 40 R CS 30 S EB 2.5 S PAS 0.5 S KM 20 S LVFX 1.0 S 喀痰検査 • 前医 ガフキー1∼2号 • 当院 ガフキー1∼2号(培養陰性化) • 前医での治療 INH・RFP・EB・PZA 当院に入院後の経過 • 多剤耐性結核症との診断にて治療法を検討。 内服:EB・LVFX・CS・THの4剤 注射:KMの1剤 計 5剤 *当時は感受性不明であり、また肝機能障害ありPZAは使用せず。 • 当院にて6ヶ月間の治療後、転院となった。副 作用は認めなかった。 • 経過中、大きな副作用は認めず。 • 内服は合計24ヶ月間 注射は6ヶ月間 投与した。 入院時胸部X線 入院時胸部CT 入院時 6ヶ月後 胸部CT(治療6ヶ月後) 胸部CT(治療24ヶ月後)
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