結 【特徴】 核 結核は1950年代までに毎年50万人近い患者を出し、全国に蔓延してい た結核菌による慢性感染症である。この時代を送った高齢者は、大部分がその 時代に感染をうけており、発病を免れたものの、結核菌をからだの中に抱えた まま高齢に達している人もいる。結核菌は人体の免疫力によって抑え込まれ冬 眠状態になっているが、なんらかの原因により発病することがある。 結核の感染経路は、空気感染である。 感染源の大部分が肺結核患者で、肺結核患者からの「咳」「くしゃみ」により 、空気中に結核菌が散布され、その空気を吸い込むことにより感染が起こる。 結核菌は長時間空気中に漂えるため、集団生活の場では集団感染が起きやすい 。腎臓や骨・関節などの肺外結核は、空気中に結核菌を散布することがないの で、感染性はない。 結核の初期症状は、咳、痰、発熱、倦怠感、発熱など。 風邪症状に似ているが、これらの症状が2週間以上続く場合は、医療機関を受 診する。高齢者では、咳が目立たず、食欲不振や体重減少を主症状とする肺結 核患者も多い。 結核菌に感染しても、健常者の多くは発病しないですむ。 発病は感染後2年以内が多く、幼児期の感染は発病率が高い(特にBCG未接種 の場合)。 結核感染の有無は、ツベルクリン反応検査によって診断される。注射した部 位の発赤、硬結の大きさを調べ、ある程度大きい場合に「陽性」と判定される が、BCG(結核の生ワクチン)接種を受けている人は結核菌に感染してなくて も「陽性」を示すことが多いので、結核患者との接触歴の確認が重要となる。 また、結核菌の検出には喀痰検査も重要で、胸部X線検査で異常影がある場 合は、3日連続の喀痰検査がすすめられる。がんや糖尿病などの生活習慣病を 基礎に持っている人の発病が目立ち、免疫力の低い高齢者の発病も多くなって いる。 【治療】抗結核薬の使用・・・単剤では効果が低く、かつ菌が耐性を獲得しやすいので 、必ず2~4種類の抗結核薬を同時に使って治療する。 主な抗結核薬は、INH(イソニコチン酸ヒドラジド)、 RFP(リファンピシン)、SM(ストレプトマイシン) 、EB(エタンブトール)、PZA(ピラジナマイド)。 痰の中に結核菌が出ている(塗抹陽性)患者は入院治療 が原則。入院・通院に関わらず、結核は最低でも6ヶ月間 の治療が必要である。 【予防】1)BCG予防接種・・・特に、子供には生後3ヶ月以降の早い時期に接種を受 けることが望まれる。 2)胸部X線検査(1回/年)・・全職員・利用者が対象。 3)マスクの着用・・・感染の拡大を防止するのに効果的。 4)早期発見と早期治療。 - 12 - 【結核患者・感染者が発生したときの対応】 ● 結核を疑わせるような症状がある場合には、胸部X線検査及び喀痰の検査を行い、 医師の診断を待つ。 ● 検査結果を待つ間は、可能であれば個室を利用させ、職員はN95マスク(N95 微粒子用結核マスク)を着用する。症状のある患者は、マスクを着用させ、医師 の指示に従う。 ● 施設からの結核患者の発生が明らかとなったときは、保健所からの指示に従った 対応をする。 ● 接触者(同室者・職員)については、接触者をリストアップして、保健所の対応 を待つ。 ● 排菌者は結核専門医療機関への入院・治療が原則。発熱、咳、喀血などのある利 用者は、隔離し、早期に医師の診断を受ける必要がある。 - 13 -
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