第14回演習

学籍番号
氏名
講義中の指示にしたがって空欄を埋め, 正しいと思われる方を選択せよ (演習の解答は
講義終了後に掲示板に貼り出す). 空欄が小さいときには横に書いてもよい.
演習 14-1
この演習では 1/ cos z の z = π/2 における留数を計算するが, 計算に先
eiz + e−iz
立って cos z の性質について復習しておく. 複素変数 z に対し, cos z =
で
2
あった (例 4.8, p.132). cos z = 0 を満たす点 z をすべて求める. z = x + iy としたと
き, オイラーの公式を使うと, eiz = e−y+ix = e−y eix = e−y (
書ける. 同様に, e−iz = ey−ix = ey e−ix = ey (
て, cos z =
eiz + e−iz
=(
2
)と
) である. したがっ
) cos x + i(
) sin x である. ey + e−y > 0
e−y − ey
=
である
2
ことが必要かつ十分であることがわかる. そして, この条件を満たすためには, x =
であるから, cos z = 0 となるためには, cos x =
かつ
であることが必要かつ十分である.
,y=
さて, z = π/2 において cos z =
だから, z = π/2 は 1/ cos z の特異点で
ある・ない . また, z = π/2 の十分小さい除外近傍では, 上に述べた結果により, cos z
は零に なる・ならない から, z = π/2 は 1/ cos z の孤立特異点で ある・ない .
留数の計算の準備として, cos z の z = π/2 のまわりのテイラー展開を求める. 直接計
∑∞
算してもよいのだが, もう少し楽な方法を考える. f (ξ + α) = n=0 an ξ n というテイ
∑∞
ラー級数展開が得られているとき, z = ξ + α とおくと, f (z) = n=0 an (z − α)n となる
から, α のまわりのテイラー展開が得られる. さて, 例 4.12 (p.134) より, cos(ξ + π2 ) =
cos ξ cos π2 − sin ξ sin π2 だから, 定義 4.10 (p.130) より,
cos(ξ +
π
) = − sin ξ =
2
というテイラー展開が得られる. ξ + π/2 = z とおいてこれを書き直すと,
cos z =
という cos z の z
に よ り, z
=
= π/2 のまわりのテイラー展開が得られる.
π/2 は cos z の
位 の 零 点 で あ り, よって z
1/ cos z の 正則点・除去可能特異点・
た がって,
z
=
例 6.7(p.238)
=
位の極・真性特異点 で あ る.
π/2 は
し
π/2 に お け る 1/ cos z の 留 数 の 計 算 に 定 理 7.2 が 適 用
できない・できて留数は
となる .
1
∫
2π
1
dθ を計算する. z(θ) = eiθ
+
cos
θ
0
dz
dz
iθ
とおくと, dθ = ie = iz であり, したがって形式的に dθ =
と書ける. ま
iz
1
z(θ) + z(θ)
eiθ + e−iθ
た, cos θ =
=
である. C を正の向きが付いた単位円とし,
2
∫2 2π
∫ 2π
1
1
上記を利用して
dθ を複素積分の形で書き直すと
dθ =
5
5
+ cos θ
+ cos θ
0
0
3
3
∫
1
dz
1
1
となるが, f (z) =
1 z とし, これを整理して因数分解すると f (z) =
1
z+ z
5
z+ z iz
5
+
C
3
2
+ 2
3
演習 14-2
この演習では, 定理 7.3 を使い,
5
3
である. したがって, f (z) の単位円内の極は z =
∫
2π
あり, 定理 7.3 および定理 7.2 により,
0
5
3
1
dθ = 2πRes (f,
+ cos θ
なる.
2
)=
で
と
∫
∞
1
dx を計算する.
2
2
−∞ (x + 1)(x + 4)
P (z) = 1, Q(z) = (z 2 + 1)(z 2 + 4) とし, P (z) の次数を m, Q(z) の次数を n とする
演習 14-3
この演習では, 定理 7.4 を使い,
と, m =
,n=
である. よって, 定理 7.4 の, n ≥ m + 2 という条件は満たさ
れ る・ない .
次に, Q(z) の零点を計算する. Q(z) を因数分解すると
Q(z) =
であり, Q(z) の零点は
,
にある零点は
である. Q(z) は実軸上に零点を持 ち・たず , 定理 7.4 の
,
,
である. このうち, 上半平面 (Re z > 0)
,
「Q(x) が実軸上に零点を持たない」という条件は満たされ る・ない .
∫ ∞
P (x)
定理 7.4 にしたがって
dx を計算すると, 定理 7.2 より, Res (P/Q,
)=
−∞ Q(x)
∫ ∞
P (x)
, Res (P/Q,
) =
なので,
dx =
と
−∞ Q(x)
なる.
∫ ∞
1
演習 14-4
この演習では, 定理 7.4 を使い,
dx を計算する. P (z) = 1,
2
2
−∞ (x + 4)
Q(z) = (z 2 + 4)2 とし, P (z) の次数を m, Q(z) の次数を n とすると, m =
n=
,
である. よって, 定理 7.4 の, n ≥ m + 2 という条件は満たされ る・ない .
次に, Q(z) の零点を計算する. Q(z) を因数分解すると
Q(z) =
であり, Q(z) の零点は
は
,
である. このうち, 上半平面 (Re z > 0) にある零点
であり, これを P (z)/Q(z) の極と考えた場合, その位数は
である. Q(z)
は実軸上に零点を持 ち・たず , 定理 7.4 の「Q(x) が実軸上に零点を持たない」という
条件は満たされ る・ない .
∫ ∞
P (x)
定理 7.4 にしたがって
dx を計算すると, 定理 7.2 より (極の位数に注意),
−∞ Q(x) ∫
∞
P (x)
Res (P/Q,
dx =
)=
なので,
となる.
−∞ Q(x)
3
∫
∞
x
x
演習 14-5
こ の 演 習 で は,
定 理 7.5 を 使 い,
cos
dx と
2+4
x
2
−∞
∫ ∞
∫ ∞
x
x
x
x
sin dx を計算する. このためには,
ei 2 を計算し, その実
2
2
2
−∞ x + 4
−∞ x + 4
部と虚部を取ればよい.
P (z) = z, Q(z) = z 2 + 4 とし, P (z) の次数を m, Q(z) の次数を n とすると, m =
n=
,
である. よって, 定理 7.4 の, n ≥ m + 1 という条件は満たされ る・ない .
次に, Q(z) の零点を計算する. Q(z) を因数分解すると
Q(z) =
であり, Q(z) の零点は
は
,
である. このうち, 上半平面 (Re z > 0) にある零点
であり, これを P (z)/Q(z) の極と考えた場合, その位数は
である. Q(z)
は実軸上に零点を持 ち・たず , 定理 7.4 の「Q(x) が実軸上に零点を持たない」という
条件は満たされ る・ない .
∫ ∞
P (x) x
定理 7.4 にしたがって
e 2 dx を計算すると, 定理 7.2 より (極の位数に
−∞ Q(x)
∫ ∞
x
i z2
) =
なので,
注意), Res ((P (z)/Q(z))e ,
(P (x)/Q(x))ei 2 dx =
−∞
∫
と な る.
∞
x
(P (x)/Q(x)) cos dx =
2
−∞
こ の 実 部 と 虚 部 を 取 る こ と に よ り,
∫ ∞
x
,
(P (x)/Q(x)) sin dx =
2
−∞
となることがわかる.
講義の感想・質問・意見等があれば書け (成績には関係しない)
4