ES細胞やiPS細胞の新たな培養方法

森 肇
教授
LIF固定化多角体によるES細胞及びiPS細胞の閉鎖培養系の開発
ES細胞やiPS細胞の新たな培養方法
■キーワード
ES細胞 iPS細胞 昆虫ウイルスタンパク質微結晶 LIF 徐放剤
■研究の概要
■背景
■これまでに昆虫ウイルスであるカイコサイポウイルスの多角体
に外来タンパク質を固定化する手法を開発してきました。
■今回、
この多角体にleukemia inhibitory factor(LIF)を固定化す
ることで、マウスES細胞(mES)
とマウスiPS細胞(miPS)の増殖誘
図1.多角体へのLIF固定化
導と多分化能維持を調べます。
■目的
■LIF固定化多角体をLIFの徐放剤として使用します。
■LIF多角体を用いることでES細胞やiPS細胞の閉鎖培養系の開
発を目指します。
■内容
■多角体へのLIF固定化(図1)
図2.LIF多角体によるマウスES細胞の増殖誘導
■LIF多角体によるマウスES及びiPS細胞の増殖誘導(図2)
■LIF多角体によるマウスES及びiPS細胞の未分化維持
(図3、
図5)
■既存の液性因子LIFと比較して不足のない活性を有する
■LIF多角体は固定化したLIFを緩やかに徐放する
(図4)
■一度の添加で、LIF多角体は長期にわたり活性を維持する
■閉鎖培養系におけるLIF供給剤として利用
■研究・技術のポテンシャル
図3.LIF多角体によるマウスES細胞の未分化維持
■応用
■ES細胞やiPS細胞の培養のコストダウン
■ES細胞やiPS細胞の無人化培養
■安定した多分化能の維持
■将来展望
図4.培地中へのLIFの徐放
■ES細胞やiPS細胞の培養を無人化することで汚染などのリスクを
無くすことが可能となります。
■大量のES細胞やiPS細胞の培養を可能にします。
■ES細胞やiPS細胞の規格化を実現します。
本研究に関連する文献
Proteomics 6, 54-66 (2006)
Nature 446, 97-101 (2007)
J.Biol.Chem. 282, 17289-17296 (2007)
Biomaterials 30, 4297-4308 (2009)
図5.マウスiPS細胞の増殖と未分化維持
■セールスポイント
LIFを昆虫ウイルスが作るタンパク質微結晶に含有させることで、LIFを長期間徐放させる
ことができるようになりました。
これによりES細胞やiPS細胞を安定に培養できます。詳し
くは(Nishishita et al.(2011) Biomaterials 32, 3555-3563)
をご覧ください。