様々な培養基材表面で均一な細胞凝集塊を 大量に形成させるためのマスクシート 東京大学 先端科学技術研究センター 教授 生田 幸士 講師 池内 真志 1 胚様体の大量生産が必要 幹細胞 幹細胞の培養 胚様体形成 分化誘導 2 従来の胚様体培養手法 ハンギングドロップ 細胞非接着性培養基材 細胞懸濁液をディッシュの 天井に吊した状態 細胞同士の凝集により,自発的 に胚様体が形成 ○ 細胞サイズの制御が可能 ○ 大量生産が可能 ☓ 煩雑な操作が伴う ☓ 胚様体サイズが不均一 大量・均質生産は困難 3 目的 胚様体培養の初期条件 1.播種数 2.播種密度 を、胚様体1個オーダーで コントロールする 4 本技術のマスクシート(複数条件用) 5mm 特徴 1.テーパ—形状を有する多数の貫通孔 2.表面:細胞超低接着性 3.柔軟・自己接着性 5 本技術を用いた培養プロトコル例 マスクシート 細胞培養皿など ポイント ・任意の基材面に置くだけ – 接着剤不要 ①基材に貼付 貫通孔 ・これ以降は、従来通りの プロトコルが適用可能 幹細胞 ②細胞播種 ③胚様体形成 胚様体 6 本技術のメリット① 従来手法 ①基材の選択不可 本手法 ①基材の選択自由 低接着シャーレ・温度応答性シャーレetc. ポリスチレン,ガラスetc. ゲル(コラーゲン等) ②細胞が残留 ・効率低下 ・再現性低下 インサート ②残留なし 高再現性・高効率 7 本技術のメリット② 培養皿 x [mm] y [mm] マスクシート 細胞 (懸濁液濃度 C [mm-3]) t [mm] ① 1ウェルあたりの細胞数 = C t x2 C:細胞濃度(/mm3), t:溶液深さ(mm),x:上部開口径(mm) ② ウェル内の細胞密度 = C t x2/ y2 y:下部開口径(mm) 1回の播種操作で、複数条件下で胚様体培養 8 応用① 胚様体形成の至適条件検討 6h [mm]160.0 140.0 クラスタ直径 120.0 24h 100.0 80.0 下部開口φ280 下部開口 φ280um φ280 um 下部開口φ240 下部開口 φ240um φ240 um 下部開口φ180 下部開口 φ180um φ180 um 下部開口φ140 下部開口 φ140um φ140 um 60.0 40.0 20.0 0.0 0.0E+00 1.0E+05 2.0E+05 3.0E+05 4.0E+05 5.0E+05 6.0E+05 上部開口面積 7.0E+05 [mm2] 168h 1.胚様体サイズ。 2.至適な播種密度域が存在する。 200mm 9 応用②大量生産用マスクシート 同一サイズ・形状の貫通孔を大量に配置.400個/cm2 10 iPS細胞の胚様体形成 Yukawa H. et al., Biomaterials 2011 従来手法 (HD) Day0 Day1 Day2 Day3 Day4 Day0 Day1 Day2 Day3 Day4 本手法 11 胚様体大量生産の実証 Yukawa H. et al., Biomaterials 2011 胚様体形状の均一性 回収個数 長短径の差(μm) 1cm2あたりの回収個数 本技術 従来手法(HD)の10倍の生産効率 12 想定される用途 ・スクリーニングモデルとしてのがん細胞凝集 塊の大量作製 ・幹細胞の均一な胚様体形成による分化誘導の 効率化 ・電極基板との組み合せによる脳モデル,心筋 モデルの培養・解析 ・生体に安全な基材であるので、例えば皮膚等 に微粒子をパターニングすることもできる。 13 実用化に向けた課題 •現在、手作業で作製しているため、大量生 産に適した製造手法を開発しなければなら ない。 ・表面を保護するため、現状、ウェットな状 態での保管が必要である。実用化に向けて、 乾燥状態で保存できる処理手法を開発中。 ・一部培養基材には接着が弱いため、接着面 の素材を検討中。 14 企業への期待 •培養用の基材を取り扱っている企業は、本 技術と既存の基材を組み合わせることで、 3次元培養製品が容易に開発できると思わ れる。 •乾燥状態で親水性を維持できる表面処理や、 新水表面への接着技術を持つ企業との共同 開発を期待。 •大量の細胞塊を必要とする用途にも有用。 15 本技術に関する知的財産権 •発明の名称 :任意の分布形状と分布密度を 有する分子または粒子の集団を同時に多種大量 生成する方法とその方法に使用するマスク材 •登録番号 :特許第5231909号 •出願人 :科学技術振興機構 •発明者 :生田幸士、池内真志 16 お問い合わせ先 【ライセンスについて】 科学技術振興機構 知的財産戦略センター 桑島 健 TEL 03-5214 - 8486 e-mail [email protected] 【技術内容について】 東京大学 先端科学技術研究センター 池内真志 TEL 03-5452 - 5162 e-mail [email protected] 17
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