定在波と入力インピーダンス 科 v1.7 Aug.2014 1. 負荷 ZL で終端された伝送線路の定在波 年 番 氏名: ごとに同じ値を繰り返すことが分かる。即ち,定在波は λ/2 の周期性 を有していることが分かる。従って,最大値と最小値の間隔は l= Z0 , β π π λ = = 2β 4π/λ 4 (15) となることが分かる。定在波パターンの例を図 2 に示す。 ZL l 0 (l = − z ) 図1 0 − min ZL で終端された特性インピーダンス Z0 の伝送線路 − min l [m] 図 1 に示すような特性インピーダンス Z0 の伝送線路上の電圧と電流 V (z) = V0 + e−jβz + V0 − ejβz ) 1 ( + −jβz I(z) = V0 e − V0 − ejβz Z0 z = 0 から負荷側を見込んだ入力インピーダンスは, V (0) V0 + + V0 − = + Zin |z=0 = Z0 = ZL I(0) V0 − V0 − (1) 図2 が得られる。これを V0 ZL − Z0 + V0 Z0 + ZL Γ= V0 − e−jβl V0 − −2jβl (17) e = Γe−2jβl + jβl = V0 e V0 + となる。即ち,終端から長さ l の位置における反射係数 Γ(l) は終端 l = 0 における反射係数 Γ に位相項 e−2jβl が掛けられた形になっ ている。所で,終端から長さ l の位置における入力インピーダンス (input impedance) は,式 (1) と式 (2) を z = −l で表現した式 V (l) = V0 + ejβl + V0 − e−jβl (18) V0 + jβl V0 − −jβl I(l) = (19) e − e Z0 Z0 Γ(l) = (5) は*1 ZL − Z0 V0 − = ZL + Z0 V0 + (6) となる。通常の負荷インピーダンス ZL は抵抗分 R の他に誘導成分 L または容量成分 C を含む複素数となるため,式 (6) の反射係数も 複素数となる。即ち,θ を反射係数の位相角度とすれば Γ = |Γ| ejθ (7) の形をとる。ここで,負荷から電源側を見込む方向を l 軸 (l = −z) として線路上の電圧絶対値を求めると |V (z)| = 1 + Γej2βz = 1 + Γe−2jβl となる。式 (8) に式 (7) を代入すると |V (l)| = 1 + |Γ| ej(θ−2βl) となる。さらに式 (9) を複素数を使わずに表現すると*2 √ |V (l)| = 1 + |Γ|2 + 2 |Γ| cos (θ − 2βl) と表現することもできる*3 。さて,式 の比をとって (8) (9) (10) (9) においてその最大値 Vmax (11) となる。一方,最小値については ej(θ−2βl) = −1 の場合に起こり, Vmin = V0 + |1 − |Γ|| (12) となる。式 (11) と式 (12) の比をとると 1 + |Γ| Vmax = VSWR = (13) Vmin 1 − |Γ| 4 * となる。式 (13) を電圧定在波比または単に定在波比 と呼ぶ。この 値は 1 から ∞ までの任意の値をとる。所で,式 (9) において ( ) 内 の l の値は π π λ l= = = (14) β 2π/λ 2 *1 *2 入射電圧の大きさに対する反射電圧の大きさの比率 オイラーの公式を使って展開すると, [1 + |Γ| cos (θ − 2βl)]2 + [|Γ| sin (θ − 2βl)]2 *3 式 (10) はエクセルなど複素数の扱いが面倒な場合に理論パターンを描画する 際に有効である。 *4 Voltage Standing Wave Ratio (VSWR), or Standing Wave Ratio (SWR) ) 3. 損失がある場合の入力インピーダンス 損失がある場合の伝送線路は,図 1 における位相定数 β を伝搬定数 γ として考えればよい。即ち,これまでの式において jβ の部分を γ で 置き換えればよいので,式 (18) と式 (19) はそれぞれ V (l) = V0 + eγl + V0 − e−γl (23) V0 + γl V0 − −γl I(l) = e − e (24) Z0 Z0 5 * となり,式 (20) および,式 (22) はそれぞれ次式となる 。 V (l) 1 + Γe−2γl = Z0 Zin |l=l = (25) I(l) 1 − Γe−2γl ZL + Z0 tanh γl Zin |l=l = Z0 (26) Z0 + ZL tanh γl = |1 + |Γ| [cos (θ − 2βl) + j sin (θ − 2βl)]| = |1 √+ |Γ| cos (θ − 2βl) + j |Γ| sin (θ − 2βl)| = ( V0 + ejβl + Γe−jβl V (l) Z0 = I(l) V0 + (ejβl − Γe−jβl ) 1 + Γe−2jβl = (20) Z0 1 − Γe−2jβl となる。ここで式 (6) の関係 Γ = (ZL − Z0 )/(ZL + Z0 ) を使うと L −Z0 −2jβl e 1+ Z ZL +Z0 Zin |l=l = Z0 ZL −Z0 −2jβl 1 − ZL +Z0 e (ZL + Z0 ) ejβl + (ZL − Z0 ) e−jβl = Z0 (ZL(+ Z0 ) ejβl −)(ZL −(Z0 ) e−jβl ) ZL ejβl + e−jβl + Z0 ejβl − e−jβl = Z0 Z0 (ejβl + e−jβl ) + ZL (ejβl − e−jβl ) ZL cos βl + jZ0 sin βl = Z0 (21) Z0 cos βl + jZL sin βl となる。最終的に,終端から長さ l の位置から見た入力インピーダン スは次式 (22) となる。 ZL + jZ0 tan βl Zin |l=l = Z0 (22) Z0 + jZL tan βl Zin |l=l = は ej(θ−2βl) = +1 の場合に起こり, Vmax = V0 + |1 + |Γ|| (16) となる。従って,終端から長さ l の位置における反射係数は について解くと となる。従って,反射係数 (reflection coefficient) Γ 定在波パターンの一例 (最大値を 0 dB で規格化している) 2. 反射係数の一般化 式 (1) に z = −l を代入すると V (l) = V0 + ejβl + V0 − e−jβl (3) (4) − (1) lmin (2) であるから,これを変形して ZL V0 + + V0 − = + Z0 V0 − V0 − (2) lmin (3) lmin 分布は,分布定数線路理論より次式で与えられる。 V0 − = V [dB] λg 2 z *5 cos x = cosh x 1 jx −jx ejx +e−jx , sin x = e −e , 2 2j x −x ex −e−x = e +e , sinh x = 2 2
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