ここから磁場の話 1 電流とは 電流Iは、電荷Qの流れ dQ I dt 単位も割り算 単位時間にどれだけの電荷が 流れるか。 C(クーロン) A(アンペア) s(秒) 交通流(交通の流れ)と似ている 1分間に自動車が何台通るか。 2 電流の作る磁場 教科書p.274, 275 ビオ・サバール(Biot-Savart)の法則 電流の微小部分 Ids が ある点Pに作る磁場は、 微小部分から点Pへのベクトルを r とすると、 I I dH ds r ds e r 3 2 4 r 4 r 問題 I ds r er r r P 磁場の単位は、 A/m A:アンペア 電流Iが直線状に流れている時、 電流から距離bの点での磁場を ビオ・サバールの法則から求めよ。 しかし対称性を使って、もっと簡単に出す方法もある。 (次のページ) 3 参考:ビオ・サバール(Biot-Savart)の法則 I フランス人の物理学者、ビオさんとサバールさんが 1820年に発見した。 動径ベクトルの復習 z r er r の説明 er r O x r r er y 動径ベクトル。原点から点Pまでのベクトル。 動径ベクトルの長さ 動径方向の単位ベクトル したがって、 r rer P r er r 5 ビオ・サバールの法則: 補足 電流の微小部分 Ids が ある点Pに作る磁場は、 微小部分から点Pへのベクトルを r とすると、 I I d H ds r ds er 3 2 4 r 4 r dは微小量 H I ds r ×は外積 I ds r P 磁場の単位は、 A/m A:アンペア r er r 磁場 電流 単位はアンペア[A] 電流に沿った微小長さ 電流の微小部分から点Pまでの動径ベクトル 6 解答(直線電流の作る磁場) I I dH 3 ds r 2 ds er ビオ・サバールの法則を使う場合 4r 4r 電流の微小部分Idsとそこから観測点Pへの ベクトルrのなす角をθとする。 ds r は紙面に垂直、裏へ行く方向。 I sin H 2 dz 4 r b b b z dz 2 d r tan sin sin ds θ z r 大きさは、rdzsinθ I b P I I H sin d 4 b 0 2 b しかし対称性を使って、もっと簡単に出す方法もある。 (次のページ) 7 補助問題 1 f ( x) tan x を微分せよ 補助問題 の解答 1 f ( x) tan x を微分せよ 1 cos x f ( x) tan x sin x cos x sin x sin x cos x cos 2 x sin 2 x f ( x) sin 2 x b z tan に対して sin 2 x dz b 2 d sin 1 sin 2 x b dz 2 d sin 電磁波の話 10 マクスウェルの方程式 B rot E t D rot H j t div D div B 0 電磁誘導 磁場が変化すると、 電場ができる。 アンペールの法則 電流や電束密度の時間変化 で磁場ができる。 ガウスの法則 (クーロン則を使う) 単独磁荷はない。 D E B H , , は物質によって値が違う。 j E 時間変化しない場合は、静電場か静磁場を考えればよい。11 時間変化する場合は、電場と磁場の両方を考える必要。 電磁波に関する問題。 教科書p.302-305 一様な媒質中を伝わる電磁波を考える。 電磁波の進む方向をz軸とする。 E,D,B,Hの各成分は、zとtだけの関数で、x,yにはよらない。 媒質中には電荷も電流もないとすると、 マクスウェル方程式より、 1) 電磁波は横波である(電場、磁場のz成分が0になる) ことを示せ。 2 2) 次の微分方程式が導かれることを示せ。 2 E x 1 Ex (波動方程式) 2 2 1 v 3) とおく時、 t z Ex f ( z vt) g ( z vt) の関数形が2)の微分方程式の解になっていることを確かめよ。 4) Eがx方向の時、Hがy方向であることを示せ。 12 縦波と横波 動画のサイト http://www.asahi-net.or.jp/~zn6t-szk/physics/sin1.html 上が横波、下が縦波。 赤い部分に着目する。 13 解答 まず、マクスウェル方程式を成分で書く。 B rot E t Ez E y Bx y z t rot H j By Ex Ez z x t E y Ex Bz x y t div D Dx Dy Dz x y z D t Dx H z H y jx y z t Dy H x H z jy z x t H y H x Dz jz x y t div B 0 Bx By Bz 0 x y z 14 E y H x z t H y Ex z t H z 0 t Ez 0 z (1) (2) (3) (7) H y Ex z t E y H x z t Ez 0 t H z 0 z (4) (5) (6) (8) 問1の解答 (6)(7)よりEzはz, tによらない定数。 電磁波なので定数=0と見てよい。Hzも同様。 Ez=0, Hz=0より、進行方向に成分を持たない横波。 15 問2の解答 前ページの(2),(4)で、 H y Ex 0 z t (2) H y Ex 0 z t (4) の2つの式を使う。 2 Ex 2 Ex H y H y 0 0 0 2 0 2 z z t t z t (2)式 微分の順番を 変えた。 (4)式 16 問3の解答 2 Ex 2 2 Ex v 2 t z 2 Ex f ( z vt) g ( z vt) (1) が(1)を満たすことを示したい。 s=z-vtとおく。合成関数の微分 f ( z vt) df (s) s df (s) v もう1度微分 t ds t ds 2 2 2 f ( z vt) 2 d f (s) 2 d f ( z vt) v v 2 2 2 t ds dz 同様にgについても 2 2 g ( z vt) 2 d g ( z vt) v 2 2 t dz したがって Ex 2 Ex v 2 t z 2 2 2 17 問3の補足 Ex f ( z vt) g ( z vt) y A sin( kx t ) は波になる。 y 0 π 2π x 19 問4の解答 電場がx方向の時、 Ey 0 H y (4) Ex H x (1) z t z t E y H x (5) H y Ex (2) z t z t (1)式、(5)式に、 E 0 を代入する。 y H x H x 0 より H x はt, zによらない定数。 0 z t E y 電磁波なので、一定成分は考えなくて良い。 よって、 Hx 0 磁場はy成分のみになる。 20 問4の解答補足 電場と磁場が直交することは、 内積でも示せる。 電場と磁場のz成分が0であることは、問1から わかっているので、 E H E H E H x x y y H y Ex H x E y Ex H x Ey H y H x Ex H y Ey t t t t t Ex 電場、磁場は時間によらないので、 0 などを代入する。 t Ex H x Ey H y 0 t 同様にzによる微分も0になる。tにもzにもよらない定数。 電磁波なので、定数でなく0。 よって内積0から、直交する。 21 電磁波の続き 特に真空中で 0 , 0 の測定値から、 1 0 0 を求めると、光速度の測定値に一致することが知られている。 光も電磁波も横波であることと合わせて、 「光は電磁波である」とマクスウェルは考えた 22 電磁波のイメージ 電場や磁場は、電磁波の進行方向に垂直な方向に 振動している。 H 進行方向 E 電場が大きくなる場所を追うと、 進行方向に進んでいく。 23
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