第09回 (2015/06/11)

工業熱力学演習問題
平成 27 年 6 月 11 日 (木)
各問題は 10 点。
【問題 1】
次の文章を読み、空欄を埋めよ。
ジュールの実験では、重りを下げるという位置エネルギーで a)
を回して、撹拌による水の温度上昇を調べ、仕事のエネルギーが熱の
エネルギーに変わることを示したが、この逆の b)
エネルギーが
c)
エネルギーに変わることがあり得るかということには答えてい
ない。これに対して、プランクは周りに何の影響も与えないで b)
エネルギーを c)
エネルギーに代えることができないことを証明し
た。この原理に反し、周囲に影響なしに b)
エネルギーが c)
エネルギーに変化するように考案された機械は、 d)
と言われ、
機能しな いことになる。この原理は、言い換えると、熱は何もしなけ
れば e)
側から f )
に流れ、その逆はないことを意味し、
これらは熱力学の第2法則と言われる。
各設問は2点、ただし、b) と c)、e) と f) は両方正解しなければならない。
【問題 2】
高温と低温の間で働く熱機関がある。高温側から毎時 2.00MJ の熱を受け取
り、低温側に毎分 24.0kJ の熱を捨ている。この熱機関の熱効率を求めよ。ま
た、この熱機関の出力は何 kW か?
【問題 3】
容器に入っている温度 100 ℃、圧力 250kPa の空気 (cp = 1040J/kgK、R =
287.0J/kgK)、15.0kg に熱を加え、等温変化して、体積を 3.00 倍にした。この
変化後の体積は何 m3 か、また、加えた熱は何 J か、
V2
ただし、等温変化で加えた熱量は、Q12 = W12 = P1 V1 ln
で計算できる。
V1
工業熱力学演習問題解説
平成 27 年 6 月 11 日 (木)
【解説 1】
ジュールの実験では、重りを下げるという位置エネルギーで羽根車を
回して、撹拌による水の温度上昇を調べ、仕事のエネルギーが熱のエ
ネルギーに変わることを示したが、この逆の熱エネルギーが仕事エネ
ルギーに変わることがあり得るかということには答えていない。これ
に対して、プランクは周りに何の影響も与えないで熱エネルギーを仕
事エネルギーに代えることができないことを証明した。この原理に反
し、周囲に影響なしに熱エネルギーが仕事エネルギーに変化するよう
に考案された機械は、第2種の永久機関と言われ、機能しな いことに
なる。この原理は、言い換えると、熱は何もしなければ高温側から低
温に流れ、その逆はないことを意味し、これらは熱力学の第2法則と
言われる。
a) 羽根車, b) 熱, c) 仕事, d) 第2種永久機関, e) 高温, f) 低温
【解説 2】
高温源から受け取る熱量 Q1 と低温源に捨てる熱量 Q2 が分かっている。単位
を J/s = W にまとめる必要がある。仕事は Q1 − Q2 = W12 であるので、
η=
W12
Q1 − Q2
=
Q1
Q1
を計算すれば良い。W が出力になる。
熱効率は 28.0% 。熱機関出力は 156W
【解説 3】
変化後の体積は、変化前を 1 、変化後を 2 とし、体積の増加を rv = V2 /V1 と
する。P1 V1 = mRT 、P2 V2 = mRT から、等温変化では P1 V1 = P2 V2 である。
これより、
mRT1
V2 = rV1 = r
P1
等温変化で加えた熱量は、∆U = 0 であるので、
Q12 = W12 = P1 V1 ln
V2
= mRT ln r
V1
で計算できる。
変化後の体積は 19.3m3 、また、加えた熱は 1.76MJ