《平成調剤薬局 最新 DI ピックアップ》

《平成調剤薬局
最新 DI ピックアップ》
平成調剤薬局本部 DI 室‐Vol.
室‐Vol. 32‐
32‐
2014.2.24
【リンの消化管吸収を抑制する鉄製剤】
リオナ錠 250mg :クエン酸第二鉄水和物
2014 年 1 月 17 日、高リン血症治療薬
高リン血症治療薬のクエン酸第二鉄水和物
リオナ錠
高リン血症治療薬 クエン酸第二鉄水和物(商品名リオナ
クエン酸第二鉄水和物
リオナ 250mg)が製造承認を取得した。
適応は「慢性腎臓病患者における高リン血症の改善」で、用法・用量は「1 回 500mg、1 日 3 回食直後投与。以後、症
状、血清リン濃度の程度により適宜増減し、最高用量は 1 回 6000mg まで」となっている。
高リン血症は、透析
透析中並びに保存期慢性腎臓病
慢性腎臓病(CKD)の多くが腎臓からのリン排泄が低下することで生じる疾患
高リン血症
透析
慢性腎臓病
であり、高リン血症状態が持続すると臓器や関節周囲に石灰沈着を生じやすくなる。特に血管壁での石灰沈着は動脈硬
化の原因となり、心筋梗塞や狭心症を発症するリスクが高まることが指摘されている。このことから、CKD 患者では
血清リン濃度を適切にコントロールすることが重要とされる。
高リン血症の治療には、食事指導によるリン摂取制限、透析によるリン除去に加え、消化管からのリン吸収を抑制す
る経口リン吸着薬の投与が行われている。経口リン吸着薬としては、沈降炭酸カルシウム(商品名カルタンなど)
、セ
ベラマー塩酸塩(商品名レナジェル、フォスブロック)
、ビキサロマー(商品名キックリン)、炭酸ランタン水和物(商
品名ホスレノール)が用いられているが、それぞれの薬剤特性から、高カルシウム血症、便秘を主とする胃腸障害、長
期投与時の組織蓄積といった課題も多い。さらに現時点では、保存期 CKD 患者に適応のある薬剤が限られているとい
う問題もある。
今回承認されたリオナは、リン結合能が高い第二鉄(3 価鉄)が主成分である。消化管内での食事由来のリン酸と結
合し、不溶性のリン酸鉄を形成してリンの消化管吸収を抑制する。比表面積を大きくすることで溶解性が改良され、既
存の高リン血症治療薬よりも溶解速度が速くなり、消化管内で効率的にリン吸着作用を発揮する。国内での第 3 相試験
などでは、血清リン濃度の低下が 1 週間で認められ、以降その作用は持続することが確認されている。
薬剤使用に際しては、承認時までの臨床試験結果で何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が 25.5%に認められ
ていることに十分注意する必要がある。リオナの主な副作用は、下痢(10.1%)
、便秘(3.2%)、腹部不快感(2.5%)、
血清フェリチン増加(2.7%)である。
なお本薬は、食
物由来のリンを吸
着する薬剤であり、
薬効を十分に発揮
させるには食直後
の服用が必要であ
ることを、しっか
りと患者に指導し
ておかなければな
らない。
(日経 DI オンライン: 2014/2/14 より引用・一部追記改変)