波打つ衝撃波形が生じる理由 ( ) mx cx kx F t + + = xx x ( ) c k F

波打つ衝撃波形が生じる理由
500mLのPETボトルを1m高さから金属板に落としたときの衝撃力の波形
70
ボトルの頭のキャップが当たる
60
ボトルの底があたる
50
衝撃力 (mV)
衝撃力波形で図1に示すような小波が乗った波形が
計測されることがあります。よく生じるのは、①残余
振動が続くパターン、②波形頭部が凹むパターン、③
波形に小波が乗るパターンです。
40
30
20
10
1.5
衝撃力 (電圧V)
0
1
-10
激しい振動が続く
0
0.5
2
4
6
8
10
12
14
時間 (ミリ秒)
0
図3
-0.5
0
5
10
15
時間 (ミリ秒)
20
液体入り PET ボトルの落下衝撃力
25
衝撃力 (電圧V)
1
波形の頭が凹む
0.5
0
-0.5
0
5
10
時間 (ミリ秒)
15
20
衝撃力 (電圧V)
0.5
0.4
0.3
小波が乗る
0.2
図4
バネとダンパ系の衝撃力の計測
0.1
ために、荷重検出器を図4に示す質量 m の荷重受け台
をバネ(バネ定数を k)とダンパ(ダンパ係数を c)で支持
するモデルで扱います。荷重受け面に衝撃力 F(t)が作
用した場合の運動方程式は(1)式になります。
mx&& + cx& + kx = F (t )
(1)
0
-0.1
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
時間 (ミリ秒)
図1
衝撃力波形に乗る小波のパターン
小波が乗る理由は、本質的に波打った波形である場
合と、荷重検出器に問題があって乗る場合があります。
図1の衝撃波形は、良好なセンサで計測すると全て
なめらかな波形になります。たとえば、激しい振動が
続く一番上の波形は軽量で剛性の有る荷重検出器で計
測すると図2のように滑らかな曲線になります。図2
の横軸は拡大表示していますが負荷時間は約2ミリ秒
です。
衝撃力 F(t)としては正弦波の半波荷重(ピーク荷重
1kN、周波数 1kHz(衝撃時間 0.0005 秒)を入力して、
数値計算で応答を求めてみました。
計算は(1)式を(2)式のように m で除して、荷重検出部
の係数 c/m、係数 k/m を種々変化させて行いました。
&&
x+
1.2
衝撃力 (V)
1
0.8
0.6
0.4
0.2
検出部のバネ定数 k が大きいほど、つまり k/m が
大きいほど精度良い計測ができることがわかりま
す。また、k/m が小さい場合には、入力と出力の
ピーク荷重にかなり誤差が生じることがわかりま
す 。 図 5 で 例 え ば 残 余 振 動 が 生 じ る k/m=108
(kg/sec2)付近ではピーク荷重が実際よりも大きく
計測され、力積の総和も大きめに計測されること
がわかります。
ダンパ係数については、余りはっきりしたこと
はわかりませんが、周波数が遅い(小さい)荷重
の場合には、衝撃応答が遅れるようになります。
0
-0.2
図2
3
4
5
時間 (ミリ秒)
6
7
(2)
結果を図5に示します。図において青線が入力荷重
の波形(正弦波の半波)、また、赤線が線で検出され
る衝撃力波形です。横軸の時間の縮尺は図毎に異なり
ますが、青線の半波の終了時刻が 0.0005 秒です。
図より、衝撃荷重は荷重受け台の質量 m が小さく、
1.4
2
c
k
F (t )
x& + x =
m
m
m
8
軽く硬いセンサで計測した衝撃力波形
本質的に波打つ波形の例として、たとえば、図3は
500mL のペットボトルを1m高さから金属板に落下し
たときの衝撃力の波形です(図の赤線:キャップ側か
ら当たる場合、黒線:ボトルの底が当たる場合)。内
部に液体があるためか、どのようなセンサで計測して
も激しく変動する波形が得られます。
どのような状況のときに波打現象が生じるかを見る
1
c/m
2
50000
10000
5000
1000
500
0
1000Hz
10^5
10^6
10^7
k/m
10^8
10^9
10^10
図5 バネ、ダンパモデルで k/m、c/m を変化さ
せたときの衝撃力の波形