経済数学入門 — 初歩から一歩ずつ — 第 7 回の宿題の解答 練習 1 今回の宿題の解答において U (q) と π(q) に対して, W (q) = U (q) + π(q) を定義します.次の問いに答えて下さい. (1) W (q) に価格 p が入っているか. (2) W (q) を最大化する q を求めなさい. (3) それは何に等しいか. 答え 1 与えられた W (q) は,下記になる. µ ¶ 1 q2 W (q) = U (q) + π(q) = − q 2 + q − pq + pq − 2 2 µ ¶2 1 1 = −q 2 + q = − q − + 2 4 よってこの関数 W (q) には,価格が入っておらず,それは価格に関連していない.この関 数の最大点は q = 1/2 のとき,最大値 W (1/2) = 1 4 となる.均衡取引数量は,q = 1/2 で あった.均衡取引数量は,純効用と利潤の和である総余剰を最大にする数量である.この 計算により総余剰を最大にするかどうかは,取引価格には関係がないことが分る. 練習 2 今回の宿題の解答において,価格 p を明示的に取り扱い新たに π(q, p) を定義します. π(q, p) = pq − q2 2 このとき,π(q, 1/4),π(q, 1/2),π(q, 1) の式を導出して,q − π 平面にそれ らのグラフを描いて下さい. 答え 2 与えられた式より π(q, 1/4) = q/4 − q 2 /2,π(q, 1/2) = q/2 − q 2 /2,π(q, 1) = q − q 2 /2 となる.よって,下記の 2 次関数のグラフを描けば良い π1 = q2 q − , 4 2 π2 = q q2 − , 2 2 1 π3 = q − q2 2 グラフは下図のようになる. π π3 = q − 1 2 1 q2 2 π2 = 1 8 32 q 2 − q2 2 q 0 π1 = q 4 − q2 2 図 1: 価格 p = 1/4, p = 1/2, p = 1 の時の利潤のグラフ 練習 3 対数法則を指数法則を用いて証明して下さい. loga xy = loga x + loga y x loga = loga x − loga y y loga xy = y loga x 答え 3 (1) loga xy = loga x + loga y. まず,loga x = p と loga y = q と置く.対数の定 p 義より,a = x と aq = y となる.ここで,x と y の積を考えると,xy = ap · aq = ap+q になる.ここで両辺に対数の定義を適用すると loga xy = p + q = loga x + loga y (2) loga x y p = loga x − loga y. (1) と同様に p と q と置く.そして,それらの商を考えて, x/y = a /aq = ap−q となる.ここで両辺に対数の定義を適用すると loga x = p − q = loga x − loga y y (3) loga xy = y loga x.まず,loga x = p と置く.対数の定義より,ap = x となる.この 両辺を y 乗すると,apy = xy となる.ここで両辺に対数の定義を適用すると loga xy = py = loga x · y よって, loga xy = y loga x 2 練習 4 (1) 下記の区間で定義された関数は,最大値や最小値を持つだろうか. g : [0, 1) → R, g(x) = 答え 4 1 1−x 問題の関数のグラフは下記になる.この関数は単調増加関数なので,x = 0 の y x 1 1−x 図 2: g(x) = のグラフ ときに,最小値 1 を取る.この x が 1 に近づけば近づくほど大きくなるので最大値は存 在しない. 練習 5 関数 h(x) = x の導関数は h0 (x) = 1 となることを確かめてくだ さい. 答え 5 導関数の定義は,f 0 (x) = limh→0 f (x+h)−f (x) h だった.それに当てはめると h(x + h) − h(x) (x + h) − x h = = =1 h h h (h → 1) となる.よって, h0 (x) = 1 が成り立つ. 今回の新しい宿題です 練習 1 ある価格 p に対して関数 π(q, p) を q について最大化する q は, q = p でした.それを関数として q(p) = p と置きます.その時,下記の関 数 v(p) を定義します. v(p) = π(q(p), p) 3 この関数を利潤関数といいます.この関数を求めて下さい.また,この関 数のグラフを p − π 平面に描いて下さい. 練習 2 次に,下記の利潤の式に q = 1/4,q = 1/2,q = 1 を代入した式 を求めて下さい. π(q, p) = pq − q2 2 このとき,π(1/4, p),π(1/2, p),π(1, p) の関数のグラフを p − π 平面にそ れらのグラフを描いて下さい.この時に,関数 v(p) のグラフと同じ平面に 描いて下さい.この時に,π(1/4, p),π(1/2, p),π(1, p),v(p) の図形的な位 置関係はどうなっているか. 4
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