9 対数関数の微分

微積分 I 2014
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9 対数関数の微分
関数 y = ex は定義域が R,像が R++ = (0, ∞) である単調増加関数であっ
たからその逆関数を考えることができる.x に対し,y は ex と定まるのだか
ら,この y に対応する x は loge y であることは対数の定義から自明なことで
ある.すなわち,x と y は方程式 y = ex を満たす関係にあるということと,
方程式 x = loge y を満たす関係にあるということは同じことを言っているに
過ぎない.習慣に従い,独立変数を x で従属変数を y で書くことにすると,
指数関数 y = ex の逆関数は
y = loge x
である.この関数を e を底とする対数関数という.上記の思考の推移をグラ
フで書くと以下のようである.
y
y = ex
e
1
1
図6
y = ex のグラフ
⇓
x
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x
x = loge y
1
1
e
y
図 7 x = loge y のグラフ
⇓
y
y = loge x
1
1
e
x
図 8 y = loge x のグラフ
そして,y = loge x と y = ex のグラフを同一の座標平面に描くと以下のよ
うになる.
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y
y = ex
e
y = loge x
1
1
e
x
図 9 y = loge x と y = ex のグラフ
さてここで対数関数 y = loge x の導関数を求めてみよう. 対数関数の中で
e を底とするものが最も重要であり,他の底の対数関数の情報は e を底とする
対数関数のそれから容易に得ることができることが後に分る.従って e を底
とする対数関数には単純な記号を与えることが習慣となっており,底 e の表
記を省略し,単に
y = log x
と表す.この講義でも以後この習慣に従うことにする.
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この関数 y = log x の逆関数は x = ey でありこの導関数はすでに求めてあ
るので, 逆関数の微分法が適用できる.
y′ =
1
1
1
1
= y = log x =
y
′
(e )
e
e
x
より, y = log x のとき y ′ = 1/x であることが証明できた.
さらに考察を進め,一般に 1 とは異なる正数 a について, 指数関数 y = ax
の逆関数は a を底とする対数関数とよばれ, x = loga y と表記される.
問 15 ここでなぜ a は 1 とは異なると条件がついているのだろうか.
対数関数 y = loga x の導関数を求めてみよう. これは簡単で,y = loga x =
log x/ log a と変形して,
y′ =
1
x log a
をうる. また,y = ax の逆関数が x = loga y であることに注意し,逆関数の
微分法を使うことにより,
y′ =
1
=
(loga y)′
1
1
y log a
= ax log a
が成立する.
前節の指数関数と本節の対数関数の考察を定理の形にまとめると,
定理 16 a > 0, a ̸= 1 に対し, y = ax の導関数は
y ′ = ax log a
であり, y = loga x の導関数は
y′ =
1
x log a
である. 特に, y = ex の導関数は
y ′ = ex
であり, y = log x の導関数は
y′ =
である.
1
x
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10 対数微分法
ある関数 y = f (x) を微分するときにそのままでは難しいが log f (x) は容
易に微分できることがある.この場合まず f (x) > 0 の範囲でのみ対数をとれ
ることに注意しなくてはならない.この条件が満たされたとき,y = f (x) の
両辺の対数をとることにより,log y = log f (x) となり,両辺を微分すること
により,
y′
= (log f (x))′
y
となる.これより,
y ′ = y(log f (x))′ = f (x)(log f (x))′
となって,y ′ を求めることができることがある.
例 17 y = ax の導関数は前節で求めているが,ここでは対数微分法を使って
みる.両辺の対数をとり,log y = log ax = x log a となる.ここで,両辺を
微分して,y ′ /y = log a となるので,
y ′ = y log a = ax log a
が求まる.
例 18 y = xa の導関数を求めてみる.ここで,a は実数.両辺の対数をと
り,log y = log xa = a log x となる.ここで,両辺を微分して,y ′ /y = a/x
となるので,
y ′ = ya/x = axa−1
が求まる.
例 19 y = xx の導関数を求めてみる.両辺の対数をとり,log y = log xx =
x log x となる.ここで,両辺を微分して,y ′ /y = log x + x(1/x) = log x + 1
となるので,
y ′ = y(log x + 1) = xx (log x + 1)
が求まる.
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計算練習 2
以下の関数を微分しなさい.
1.
(log x)5
5(log x)4
x
2.
log(x2 + 1)
2x
1 + x2
3.
log(ex + x)
ex + 1
x + ex
4.
(x2 + 1)ex
2xex + (x2 + 1)ex
5.
log x
x2 + 3
3 + x2 − 2x2 log x
x(x2 + 3)2
6.
(x3 − 1)(e3x + 5x)
20x3 − 5 + 3e3x (x3 + x2 − 1)
7.
4
(x 3 − ex )(2x + 1)
4x1/3 + 14x4/3
− ex (2x + 3)
3
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8.
e3x
2
+8
6xe3x
9.
2
+8
1
log(x4 + 1)
−
(x4
4x3
+ 1)(log(x4 + 1))2