応用理工学類 応用数学 I Quiz 10 解説
問1 区間 [0, L] における任意の区分なめらかな関数 f (x), g(x) を周期 2L の奇関数に拡張
したものを f˜(x), g˜(x) とする。そのとき、ストークスの波動公式(ダランベールの解)
∫
1
1
u(x, t) = [f˜(x + ct) + f˜(x − ct)] +
2
2c
x+ct
g˜(s)ds
x−ct
について答えよ。
(1) 実際に偏微分してみると u(x, t) は波動方程式 utt = c2 uxx を満たすことを示せ。
∂
∂x
{∫
x+ct
}
g˜(s)ds = g˜(x+ct)−˜
g (x−ct),
x−ct
∂
∂t
{∫
x+ct
}
g˜(s)ds = c˜
g (x+ct)+c˜
g (x−ct)
x−ct
に注意して丁寧に偏微分してゆくと、
]
1 [ ˜′
1
ux =
f (x + ct) + f˜′ (x − ct) +
[˜
g (x + ct) − g˜(x − ct)]
2
2c
]
[
]
1 [ ′
1 ˜′′
f (x + ct) + f˜′′ (x − ct) +
g˜ (x + ct) − g˜′ (x − ct)
uxx =
2
2c
]
1 [ ˜′
1
ut =
[c˜
g (x + ct) + c˜
g (x − ct)]
cf (x + ct) − cf˜′ (x − ct) +
2
2c
[
]
]
1 2 ˜′′
1 [ 2 ′
c g˜ (x + ct) − c2 g˜′ (x − ct)
utt =
c f (x + ct) + c2 f˜′′ (x − ct) +
2
2c
となり、関数 f˜(x), g˜(x) が何であろうとも u は utt = c2 uxx を満たすことがわかる。
(2) u(x, t) は全ての時刻 t において境界条件 u(0, t) = u(L, t) = 0 を満たすことを示せ。
与式で x = 0 と置けば、関数 f˜(x), g˜(x) が奇関数であることから任意の時刻 t に
おいて u(t, 0) = 0 となることは直ちに従う。他方 x = L とおいた場合について
は、関数 f˜(x), g˜(x) が x = L を中心として反対称であること、つまり f˜(L + ct) =
(周期 2L から) = f˜(−L + ct) = (奇関数だから) = −f˜(L − ct)、g˜(x) に関しても同
様に g˜(L + s) = −˜
g (L − s) となることから、u(L, t) = 0 が全ての t で成り立つこ
とが従う。
(3) u(x, t) は初期条件 u(x, 0) = f (x), ut (x, 0) = g(x) を満たすことを示せ。
与式および (1) で求めた ut において t = 0 と置けば直ちに従う。
(4) L = 5, c = 1 とし、初期条件を
{
1
(1 < x < 2 のとき)
u(x, 0) =
,
0 (0 ≤ x ≤ 1 または 2 ≤ x ≤ 5 のとき)
ut (x, 0) = 0
とするとき、t = 0, 0.5, 1, 1.5, 2, 2.5, 3, 3.5 における解の様子を、教科書の図
5-6 にならって描け。
下で赤で示した線が t = 0, 0.5, 1, 1.5, 2, 2.5, 3, 3.5 のグラフ。波が境界条件の
ために境界で反射する様子を観察・理解してください。(このグラフは実は次に扱
うフーリエ分解の方法で描いています。)
応用数学 I のホームページ
http://www.bk.tsukuba.ac.jp/~CARS/lecture.html