微分積分学演習第二(U クラス)小テスト略解(10/27) t3-1. 次の集合の最大・最小・上限・下限を求めよ。(答えのみ述べよ) {1 } 1 (i): A1 = m + 2n ; m ∈ N, n ∈ Z . t3-2. (i): an = n ∑ n ∑ k=1 1 の極限値を求めよ。(ヒント:部分分数分解) k(k + 1) (ii): A2 = [0, π] ∩ Q. 1 が収束することを、実数の性質を用いて示せ。 (k + 1)2 k=1 配点:(i), (ii) 各 1 点、計 2 点 (iii): A3 = {1/n − n; n ∈ N}. 答え: (i): 1. (ii): bn = 配点:(i), (ii), (ii) それぞれ完答で 1 点、計 3 点 答え: 解説. (i): 部分分数分解すると、 最大 上限 最小 下限 (i) 3/2 3/2 なし −1/2 n ∑ (ii) なし π 0 0 k=1 (iii) 0 0 なし −∞ ∑ 1 = k(k + 1) n ( k=1 1 1 − k k+1 ) =1− 1 n+1 となるので、極限値が計算出来る。 (ii): 先ほどの計算で、an ≤ 1 となっている。また、k ∈ N に対して、 1 1 ≤ 2 (k + 1) k(k + 1) であるから、合わせると、bn ≤ an ≤ 1 が従う。特に、{bn }n∈N は上に有界 である。 一方、n = 2, 3, 4, . . . に対して、 bn − bn−1 = 1 >0 (n + 1)2 であるから、{bn }n∈N は単調増加列である。 実数の性質より、上に有界な単調増加数列は収束するので、{bn }n∈N が収 束することがわかる。 ■コメント 有界性と単調性を明確にして実数の性質を使うのが、証明のポ イントです。 (ii) の数列の極限は実は知られていて、π 2 /6 になります。詳しく知りたい 人は、「ゼータ関数」などで調べてみましょう。 t3-3. 実数 x に対して、⌈x⌉ は x 以上で最小な整数を表すとする。 √ 例:⌈ 2⌉ = 2, ⌈5⌉ = 5, ⌈8.9⌉ = 9, ⌈−1/3⌉ = 0. さて、an = 1/n, bn = 1/n2 , cn = 1/n3 で定まる数列 {an }n∈N , {bn }n∈N , {cn }n∈N を考える。 (i): 与えられた ϵ > 0 に対して、aN + bN + cN < ϵ が成り立つような N ∈ N を、ϵ を用いて具体的な式で表せ(答えのみ述べよ)。 (ii): (i) で定めた N について、aN + bN + cN < ϵ が成り立つことを示せ。 ((i) の定め方が正しいことを示せ。) 配点:(i), (ii) 各 1 点、計 2 点 答え: (i): N = ⌈4/ϵ⌉。(他の答えもあり得ます) 解説. 上記の場合に、(ii) の証明を例示する。一般に x ≤ ⌈x⌉ (1) が成り立っていることに注意する。また、n ∈ N に対して 1/n ≤ 1 である ので、 cn = 1 1 1 ≤ b = ≤ a = n n n3 n2 n (2) である。さて、(2) を用いると、N = ⌈4/ϵ⌉ に対して、 aN + bN + cN ≤ aN + aN + aN = 3aN = 3 3 = N ⌈4/ϵ⌉ (3) となる。ここで (1) を用いると 3 3 ≤ <ϵ ⌈4/ϵ⌉ 4/ϵ (4) となる。(3) と (4) を合わせると主張が得られる。 ■コメント ここでは、N = ⌈4/ϵ⌉ としましたが、例えば、N = ⌈3/ϵ⌉ でも、 N が 1 でない場合は aN + bN + cN < ϵ が成り立ち、たまたま N = 1 となっ ても、aN + bN + cN ≤ ϵ は成立するので、応用上はあまり問題ありません。
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