新たな 4 元化合物 RT2Sn2Zn18 (R = La, Ce, Pr, Nd, T = Co, Fe) の結晶構造と基礎物性 磁気低温物理学研究室 江尻純一 立方晶 RT2Zn20 (R = Rare earth elements, T = Transition metals)は、近年、盛んに研 究されている物質群のひとつである。その中で、RT2Zn20 (R = La, Ce, Pr, Nd, T = Co, Fe)は、作製できない物質と言われており、作製を可能にする方法を我々は試行錯誤し てきた。その過程で新たな 4 元化合物 RT2Sn2Zn18 の作製に成功した。 RT2Sn2Zn18 の作製は、RT2Zn20 の作製に専ら用いられている Zn 自己フラックス法で はなく、フラックス材に Sn を用いて作製した。EPMA・XRD・ラウエ法で試料の評価、 結晶軸方向の確認を行い、RT2Sn2Zn18 の単結晶であると同定した。RTSn2Zn18 の格子定 数を比較したところ、図 1 のように RT2Zn20 とは異なる位置[1]でランタノイド収縮して いることが分かる。 比熱測定の結果、NdFe2Sn2Zn18 は TN = 3.8 K に相転移点と思われるピークをもつ物 質であることが分かった。図 2 に見られるように、磁化 M を磁場 H で割った M(T)/H が 比熱ピークに対応した温度で折れを示すことから反強磁性に転移しているものと考え られる。また、M(H)には、T = 2 K において弱い磁気異方性があり、磁気容易軸を[111] 方向、困難軸を[100]方向と決定した。 このように、RT2Sn2Zn18 (R = La, Ce, Pr, Nd, T = Co, Fe)は、多様な物性を示す。当 日は RT2Sn2Zn18 (R = La, Ce, Pr, Nd, T = Co, Fe)の結晶構造及び、比熱・磁化測定の結 果について詳細に報告する。 14.5 2.5 2 100 18 RCo Sn Zn 2 2 18 Nd 14.1 80 Nd RCo2Zn20 Sm RFe Zn 2 20 5K 10 K 1 20 K 0.5 0 0 60 1 2 3 4 5 H (T) 40 3+ R 1.15 1.10 1.05 ionic radius (Å) 図 1 RT2Sn2Zn18 格子定数比較 [1] Phys. Rev. B 80 (2009) 104403 1.00 0.1 NdFe2Sn2Zn18 00 0 H // [110] H = 1.0 T 0.2 0.05 Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Lu 1.20 7 0.15 20 13.9 1.25 6 0.25 Sm 14.0 H // [110] H = 1.0 T T=2K M/H (emu/mol) Pr 14.3 14.2 [111] [110] [100] 2 1.5 Ce H/M (mol/emu) lattice constant (Å) 14.4 2 M (B/Nd ion) RFe Sn Zn La 0 50 100 150 T (K) 5 10 15 20 25 30 T (K) 200 250 図 2 NdFe2Sn2Zn18 の磁化測定 300
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