スウェーデン ISOFLEX AB 社 鉄道用断熱・防音材 MONIFLEX 御説明

スウェーデン ISOFLEX AB 社
鉄道用断熱・防音材 MONIFLEX
御説明・御提案資料
スウェーデン ISOFLEX AB 社日本総代理店
株式会社 ジュピターコーポレーション
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1. はじめに
スウェーデン ISOFLEX AB 社は、断熱・防音材の専門メーカーです。本社と工場はストックホルム
から 北に220 キロの グスタフス (Gustafs) という街にあります。ISOFLEX AB 社が目指しているの
は、断熱・防音材のメーカーから一歩進んで、鉄道のスペシャリストになりたいと考えています。
ISOFLEX AB 社社是
顧客が必要とされる断熱・防音のご要求に徹底的に応える
製造の製造管理を徹底して、顧客に御約束した納期を遵守する
顧客はもちろんのこと仕入先とも良好な関係を築く
ISOFLEX AB 社と価値観を共有してくれるパートナーと末長く仕事をする
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2. 断熱・防音材 MONIFLEX
開発の背景
MONIFLEX は、1930 年代に開発されて、最初の特許を取得して以後 約 60 年に亘り利用して頂
いています。この間、スカンジナビアの鉄道に数多く採用されて、防火対応という点で改善が見られ
ました。MONIFLEX は紙と同じ繊維から出来ていて、環境負荷という観点からすると、理想的な選
択だと思います。
MONIFLEX の利点
軽量・耐久性
湿度に強い
環境負荷が低い
切断・取扱が容易
MONIFLEX の利用方法
MONIFLEX は、耐熱・防音の透明のシートで、湿度や振動にも耐性があり、更に軽量という点も重
要です。このような理由から、MONIFLEX は電車車両に数多く使って頂くようになりました。
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3. 技術仕様
鉄道車両用
MONIFLEX は、プラステックやガラスが含まれていない、環境負荷の少ない製品です。プリーツ状のセ
ルロース、少量の防火耐久材を十字に接着して出来ています。
標準サイズ
最大幅 950 mm x 全長 3,000 mm (許容値 +/- 1%)
厚み
10 mm ~ 60 mm 迄 10 mm 単位で提供が可能 (許容値 +/- 2 mm)
体積
13 kg/m 3
保水性
2% 以下 (23 ℃ 相対湿度 50%)
構造上、MONIFLEX は溜まった水を流して、断熱性を保とうとします。
熱伝導率
0.056 W/(m*℃) at 10 ℃ (EN 12667/ DIN 52612)
防火性
MONIFLEX は延焼防止・自己消火材で出来ています。
車両の耐火性証明 DIN 5510-2 : 2009 が提供可能です
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4. 列車の断熱
1930 年代頃より MONIFLEX は、乗降客用車両やトラムを製造している会社の間で広く知られて
いて、MONIFLEX は欧州の数千両の車両の新規製造・改修時に断熱材として使用されています。
MONIFLEX は、鉄道車両用に開発された唯一の断熱材です。
高速車両の登場により、軽量化が重要な要素となっていて、MONIFLEX は十分に貢献をしていま
す。又、MONIFLEX は取付・取り外しが容易で、鉄道車両から取り卸した後でも、再利用も可能で
す、公害の原因にならない、経済的な材料です。
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5. MONIFLEX の使用方法
MONIFLEX を単体でご利用頂くこ
とはもちろん、用途やご使用環境に
よって、その他の副資材と組み合
わせてご利用頂くことも可能です。
一番人気のある副資材は、グラス
ウールですが、グラスウールの繊
維が気になるユーザー様向けに
は、水性塗料を塗布することで繊
維の剥離を防ぐことが出来ます。
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6. 断熱性能
MONIFLEX の熱伝導率は 0.056
W/(m* ℃) ですが、家屋で頻繁に使用
されているグラスウールの熱伝導率は
0.038 W/ (m* ℃) ですので一見すると
グラスウールの方が断熱性能に優れて
いると考えがちです。
但し現実の使用環境では、車両は炎天
下・雨中でも走行し、車両内部は乗客
の体温が温度と湿度を上げる要因と
なっていますので、グラスウール等の
断熱材の熱伝導率は、著しく低下する
傾向にあります。
環境の変化に対して、代表的な断熱材
のグラスウール、メラミン、MONIFLEX
の熱伝導率がどのように変化していく
かを実証したデーターがあります。
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グラスウール、メラミン、MONIFLEX それぞれの断熱材の熱伝導率が、試験環境を経た後にどのように
変化するのかを調査しました。(熱伝導率の数値が小さい程、熱の伝わりが少なく断熱性が高いことになり
ます)
グラスウール 基準値 0.038 W/(m*℃
℃)
試験環境
熱伝導率
(W/(C*℃))
経過時間
試験環境下での経過時間後の
熱伝導率 (W/C*℃))
0.045
0
0.045
0.375
0.046
0
0.046
0.75
0.05
80 分
0.082
1.5
0.056
120 分
0.085
体積 (Kg/m3)
熱伝導率
(W/(C*℃))
経過時間
試験環境下での経過時間後の
熱伝統率 (W/C*℃))
0.039
0
0.039
1
0.043
0
0.043
3
0.051
100 分
0.079
4.6
0.061
135 分
0.083
体積 (Kg/m3)
熱伝導率
(W/(C*℃))
経過時間
試験環境下での経過時間後の
熱伝統率 (W/C*℃))
0.058
0
0.058
体積 (Kg/m3)
オーブンで 105 ℃まで熱を加え
た状態
湿度 55% 室温 20 ℃の環境
湿度 100% と類似した環境
メラミン 基準値 0.035 W/(m* ℃)
試験環境
オーブンで 105 ℃まで熱を加え
た状態
湿度 55% 室温 20 ℃の環境
湿度 100% と類似した環境
MONIFLEX 基準値 0.056 W/(m* ℃)
試験環境
オーブンで 105 ℃まで熱を加え
た状態
湿度 55% 室温 20 ℃の環境
0.2
0.059
0
0.059
湿度 55% 室温 20 ℃の環境に
24 時間置いた後、24 時間湿度
を含ませた状態
0.4
0.062
60 分
0.065
代表的な断熱材のグラス
ウールやメラミンの熱伝導
率の基準値は高い数値を示
していますが、温度・湿度が
上昇するに従い数値は悪く
なり断熱性能は低下しま
す。
一方 MONIFLEX は、温度・
湿度の変化があっても熱伝
導率がほぼ当初の数値を維
持しているので、環境の変
化が断熱性能に与える影響
は少ないと言えます。
出典 : ストックホルム王立技術大学の報告書 (Report of Royal Technical University of Stockholm)
8
7. 吸音性能
MONIFLEX の吸音率の特長は、厚みに関係無く 1000 Hz 以上の中高音域での吸音率は良好です
が、低音域 (125Hz) の吸音効果は低くなります。グラスウールでも同様の傾向が見られることから、吸
音性能という点で MONIFLEX とグラスウールの性能に開きはないと言えます。
MONIFLEX の厚みと吸音率の関係
1.00
0.90
0.80
吸音率
0.70
0.60
0.50
0.40
0.30
0.20
0.10
0.00
20 mm
30 mm
40 mm
50 mm
60 mm
120 mm
125Hz
0.03
0.05
0.07
0.09
0.08
0.17
250Hz
0.06
0.09
0.12
0.18
0.22
0.66
500Hz
0.09
0.16
0.31
0.41
0.55
0.31
1000Hz
0.27
0.55
0.43
0.34
0.28
0.59
2000Hz
0.47
0.36
0.65
0.70
0.67
0.69
4000Hz
0.70
0.82
0.83
0.83
0.80
0.86
出典: EN-20354 に基づく残響室での吸音率の測定 (スェーデン国立テスト・研究機関)
9
参考資料
グラスウールの厚みと吸音率の関係
1.20
1.00
吸音率
0.80
0.60
0.40
0.20
0.00
25 mm
50 mm
125Hz
0.13
0.26
250Hz
0.39
0.68
500Hz
0.76
0.97
1000Hz
0.87
0.85
2000Hz
0.75
0.83
4000Hz
0.69
0.83
出典: 日本硝子繊維協会 グラスウールの厚みと吸音率データー
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8. 施工例
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13
9. 納入実績
MONIFLEX は様々な車両・環境でご利用頂いています。
高速鉄道 (High Speed Train)
ボンバルディア社 Frecciarossa 1000 (V300 Zefiro)
ボンバルディア社 Zefiro HS and VHS
ボンバルディア社 Twinndexx
シーメンス社 Velaro Europe
寒冷地仕様
ノルウェイ 多目的低床車両、空港特急 Flytoget
フィンランド 二階建電車
スウェーデン 通勤電車、二階建車両 X40
温暖地仕様
インド Karputhala の 鉄道製造工場 (RCF) の空調完備車両
インド ボンバルディア社が Savli で製造しているデリーメトロ
スペイン Renfe Mercanias 社 RENFE Class 253
スペイン AVE Class 103 Velaro
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2010 年からスタートした稼働中のプロジェクト
顧客
車両タイプ
契約年
高速車両
2010
EMU/トラム
2010
高速車両
2010
EMU
2010
二階建車両
2010
1
ALSTOM Transport Deutschland GmbH
2
Bombardier Transportation India
3
Bombardier Sifang (Qinddao)
4
Bombardier Sifang (Qinddao)
5
Bombardier Transporation AG Zone
6
Bombardier Transporation GmbH
EMU, DMU
2010
7
Bombardier Transporation GmbH
機関車
2010
8
Bombardier Transporation Sweden AB
機関車 (改修)
2010
9
Ansaldo Breda
EMU
2011
10
CAF
トラム
2011
11
DB Deutsche Bahn GmbH
客車改修
2010
12
Newag SA
13
Pojazdy Szynowe PESA Bydgoszcs
14
Siemsns AG Deutschland
15
Six Italia s.p.a
16
SOLARIS Bus & Coach
17
Stadler Altenrhein AG
18
Stadler Bussnang AG
EMU, DMU
2010
19
Stadler Bussnang AG
客車
2010
20
Stadler Pankow AG
EMU, DMU
2010
21
Stadler Pankow AG
二階建車両
2010
22
Stadler Polska Sp. z.o.o.
EMU, DMU
2010
23
Stadler Polska Sp. z.o.o.
客車改修
2010
24
Talgo
客車
2010
25
TRANSTECH OY
客車
2010
26
Tuvasas Vagon Sanyi A.S.
客車
2010
27
Vossloh Spain
トラム
2010
EMU, DMU
2010
EMU, DMU, トラム
2010
EMU, 高速鉄道
2010
地下鉄、高速車両
2010
トラム
2010
二階建車両
2010
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10. よくあるご質問
Q1 MONIFLEX と副資材を組み合わせて使う場合、適切な組み合わせはどのようになりますか
A1 下記写真のように MONIFLEX + 副資材 + アルミホイル の順番で組み合わせています。MONIFLEX 側が
車両のボディー板と接触するようになります。
Q2 MONIFLEX + グラスウール を組み合わせて使う場合の概算価格を知りたい。
A2 概算価格となりますが、下記の表をご参照下さい。
MONIFLEX のタイプ
サイズ
MONIFLEX 10 mm
MONIFLEX 60 mm
MONIFLEX 10 mm + グラスウール 20 mm
MONIFLEX 60 mm + グラスウール 20 mm
1.2 x 1.4 m
1.2 x 1.4 m
1.2 x 1.4 m
1.2 x 1.4 m
海上輸送
単価 m2
2,500
6,700
4,300
8,400
航空輸送
単価 m2
4,000
9,500
5,300
11,000
MONIFLEX (サイズ 1.2 x 1.4) を 50 枚一括出荷した場合の概算価格です。
航空輸送の場合は、概ねご手配から 6 週間程度でお届けさせて頂くことが出来ます。
片側にアルミホィルを取り付ける場合、1 平方メートル当たり 300 円の追加費用となります。
為替の変動に拠り価格は変動します。
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Q3 競合メーカーの断熱材と比較した場合の、熱伝導率と吸音性について、それぞれの厚みでデーターを見た
い。
A3 当資料の 6 項と 7 項に断熱性能と吸音性の資料がありますのでご参照下さい。
Q4 MONIFLEX を車両に取り付ける方法は ?
A4 当資料の8 項 施工例の写真のように車両ボディのフレームの隙間に断熱材を嵌めていきますので、フレー
ムのそれぞれの寸法よりも多少大きめに MONIFLEX をカットして頂き、圧力を掛けて押し込んで頂く方法を推
奨しています。(接着剤を使うと有害煙の問題がある為です)
Q5 グラスウールの断熱性能は MONIFLEX よりも優れているが、何故 MONIFLEX が良いのか ?
A5 当資料の6 項 断熱性能でグラスウール、メラミン、MONIFLEX の断熱性能の環境による変化の比較表があ
ります。グラスウールは、湿度が高いケースでは断熱性能が落ちていきますが、MONIFLEX は環境変化の影響
を殆ど受けませんので、MONIFLEX のご利用を提案しています。
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Q6 欧州統一標準 EN 45455-2 : 2013 の認証を取得していると聞いているが、それぞれの厚みや副資材と組み
合わせた状態、使用部位での認証取得の状況を詳しく教えて欲しい。
A6 壁・天井 (R1) と床 (R10) に MONIFLEX 単体・副資材との組み合わせ、各厚みでの認証取得状況は下記の
表を参照して下さい。
認証取得 CEN/TS/EN 455454-2 : 2013
R1 壁 & 天井
HL1
HL2
HL3
取得状況
MONIFLEX 10 mm
○
○
○
取得済
MONIFLEX 20 mm
○
○
○
取得済
MONIFLEX + アルミホイル 10 - 60 mm
○
○
○
取得済
HL1 はトラム
HL2 は高速車両、地下鉄
HL3 は寝台車
表面プロダクト (壁・天井) に必要な試験
ISO 5658-2
炎の広がり
ISO 5660-1
熱解放
ISO 5659-2
煙濃度・毒性
HL1 から HL3 は車両の
タイプを示していて、HL3
が一番環境の難しい状
態です。
R10 床
HL1
HL2
HL3
取得状況
MONIFLEX 10 - 60 mm
○
○
○
取得済
MONIFLEX + アルミホイル 10 - 60 mm
○
○
○
取得済
運航されている車両の
90% は HL2 にカテゴリー
されるタイプです。
床の敷物に必要な試験
ISO 5660-1
熱解放
ISO 9239-1
重大な熱流束
ISO 5669-2
煙濃度・毒性
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EN 45455-2: 2013 で要求されている各テストの詳細は下記の通りです。
ISO 5658-2 Critical flux at extinguishment 燃焼の広がり試験
試験片をクリップで掴んで縦方向に据え置きして、放射板からの熱放射に向けて下さい。テストは、パイロットフ
レームからスタートします、試験片が発火した時、炎が試験片に沿って 50 ミリまで近づいた時を記録して下さい。
中心線に沿って炎が消えた時、燃えた時間、炎の飛沫が発生した時を記録して下さい。そして同じテストを 3 回
繰り返します。
判定基準 (CFE = 消火時の臨界熱流束)
隔壁、壁及び天井の張り 20.0 kW/m2 以上
表面床張り材 7.0 kW/m2 以上
Moniflex の試験結果 CFE 50 kW/ m2
SP Technical Research Institute of Sweden の資料から抜粋
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ISO 9239-1 (床材の) 燃焼の広がり試験
試験片は、ガス放射パネルの下に水平に置き、熱流速に当たるように 30 度に傾けます。口火は試験片の熱射面
に当てます。点火後、炎の広がりを記録します、規定の長さまで広がるという事に注意して、試験片の火災面の広
がりを記録しています。
判定基準 (CFE = 消火時の臨界熱流束)
床張り材 7.0 kW/m2 以上
Moniflex の試験結果 CFE 11 kW/ m2
SP Technical Research Institute of Sweden の資料から抜粋
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ISO 5660-1 熱の広がり試験
水平に置いた試験片 (10 x 10 cm) の上方からコーン型のヒーターにより加熱し、電気スパークの点火により着火
させ、その時発生する燃焼ガスを分析し、酸素の消費量から発熱量を測定する。発熱性試験は、50kW/m2 という
強輻射加熱の基で発熱量を測定する試験。
判定基準 (CFE = 消火時の臨界熱流束)
隔壁、壁及び天井の張り 20.0 kW/m2 以上
表面床張り材 7.0 kW/m2 以上
Moniflex の試験結果 CFE 50 kW/ m2
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ISO 5659-2 煙濃度・煙の毒性
テストは密封したチャンバーで実施して下さい。テストサンプルは熱放射輝度に従い 3 段階で水平に置き、放射輝
度に従い 3 度のテストを行います、最初のテストは パイロットフレーム無しで 25kW/m2 、二度目は パイロットフ
レームを付けて 25kW/m2、三度目は パイロットフレーム無しで 50kW/m2 です。
煙りの光学密度を光源で測定します、毒性の分析を行う場合、煙をチャンバーから取り出して下さい。分析は 3 段
階で行い、FTIR 分析で次の物質を確認します。一酸化炭素、臭化水素、フッ化水素、シアン化水素、亜酸化窒
素、硫黄酸化物。
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Q7 どの車両のどういう部位に MONIFLEX が使用されているのか知りたい。
A7 個別の車両での説明は守秘条項があり難しいのですが、一般例として説明をします。
MONIFLEX は車両のあらゆる箇所に使用されています。
床に使用する場合は MONIFLEX 単体です、厚みは様々なケースがあります。
壁に使用する場合は MONIFLEX 単体若しくは副資材との組み合わせです。
天井に使用する場合 MONIFLEX と副資材を組み合わる場合が多いです。
⇒ 車両のあらゆる箇所に MONIFLEX を使用する最大の目的は作業の軽減です。
MONIFLEX の厚みについては、車両の構造に依っても変わってきますので、一概には言えませんが、部位により次の厚みを推奨して
います。
床の場合 MONIFLEX 単体 40 ~ 60 ミリ – 壁や天井からの水分がどれ位伝わるかで変わります
壁の場合 20 ~ 40 ミリ – 車両の外板と内板のスペース、断熱性能や吸音性をどの程度必要とするかで変わります
天井の場合 20 ~ 40 ミリ – 屋根がどれ位気象条件に影響を受けるかで変わります
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