5 月 21 日・22 日 定理 1: l × m 行列 B, l × n 行列 C に対して方程式 BX = C を考えよう. 任意の 正則行列 T に対し, BX = C ⇔ (T B)X = (T C) が成り立つ. つまり, 方程式 BX = C と方程式 (T B)X = (T C) の解は同じなので, 適切な 正則行列 T を用いて, なるべく簡単な (T B)X = (T C) に帰着させればよい. T B と T C を同時に計算するには, l × (m + n) 行列 A = ( B C ) を行基本変形すれ ばよい. しかし「なるべく簡単な」とはどのようなことだろうか. 定理 2: 任意の行列 A は, 行基本変形によって被約階段行列 0 ··· 0 1 ∗ ··· ∗ 0 ∗ ··· 0 0 ··· 0 1 ∗ ··· SA = .. .. .. .. . . . . 0 0 ··· に変形できる. SA は A のみによって決まり, 行基本変形によらない. 演習 3:被約階段行列にせよ. ( A= ( 1 2 0 1 −1 0 ) 1 0 , B= 2 −1 0 0 0 1 1 0 0 1 −1 2 , −1 3 ) −1 (解答:SA = B1 = P31 (−2)B → B2 = P41 (1)B1 → B3 = 2 1 0 0 −1 0 1 0 1 R23 B2 → B4 = R43 (−1)B3 = = SB ) 0 0 1 2 0 0 0 0 1 0 0 1 次頁の問いに答えよ. 基本変形の各過程においては、どのような基本行列によ ( ) 1 2 3 4 る積を施したのか明記すること。 (たとえば A = の第 1 行に第 2 2 2 2 2 行の (−1) 倍を加える場合, ( ) ( ) 1 2 3 4 −1 0 1 2 A= → A1 = P12 (−1)A = 2 2 2 2 2 2 2 2 と書くこと. 教科書にあるように ( ) ( 1 2 3 4 第 1 行 +(−1)× 第 2 行 −1 A= −→ 2 2 2 2 2 という書き方では行列の積が認識しにくい. 11 0 1 2 2 2 2 ) ( ) 2 3 1 3 7 1. (1) C = の被約階段行列は何か. 3 4 0 −2 7 ( ) ( ) 1 3 7 2 3 X= を解け. (2) 方程式 3 4 0 −2 7 2. 問題集 p27 問題 9 (答合わせをして,間違っていた場合は正答を得るま で取り組むこと. ) 3. 前問にならって, 次の連立方程式を行列を用いて解け. −x + y − 6z = −5 3x − y + 2z = 1 (1) 2x − y + 4z = 3 3x + 2y − 9z = 4 x − 2y + 5z = 0 (2) 2x − y + z = 3 1 1 2 1 2 −3 4. A = 3 0 8 , B = 2 −3 1 について,以下の問いに答えよ. 2 2 3 3 −3 1 (1) A, B を行基本変形により,それぞれ被約階段行列 SA , SB にせよ. (2) A と SA , B と SB の関係を基本行列を用いて表せ. (3) SA , SB は正則か. (4) A, B は正則か. (5) A を基本行列の積で書け. (6) A−1 を成分を用いて書け. 12
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