5 月 27 日・28 日 (定理1) 行基本変形とは, 基本行列を左から掛けることである. (定理 2) 任意の行列 A は, 何回かの行基本変形によって被約階段行列 SA に変 形できる. 従って SA = T A となる正則行列 T が存在する. (定義 3)行列 A の被約階段行列 SA の非零行の数(=角の数)を A の階数と呼 び, rank A で表す. (定理 4)連立方程式 Ax = b が解を持つかどうかは,以下のように判定できる. 1. 解を持たない ⇔ rank ( A b ) > rankA (右端に角あり). 2. 解を持つ ⇔ rank ( A b ) = rankA(右端に角なし). 3. 唯一解を持つ ⇔ rank ( A b ) = rankA = A の列数. (定理 5) T が正則行列のとき, 次が成り立つ. 行列 A が正則 ⇔ T A が正則 (定理 6) 行列 A が正則 ⇔ SA が正則 ⇔ SA = E. このとき, SA = T A なる正則行列 T が A の逆行列である. (定理 7) 正則行列 = 基本行列の積. (注意) 行列の行基本変形は必ず, ( ) ( ) 1 2 3 4 −1 0 1 2 A= → A1 = P12 (−1)A = 2 2 2 2 2 2 2 2 のように基本行列の積の形で書くこと. この記述方法にこだわる理由は, 行列の 基本的な性質を理解してほしいからである. 基本変形を行うだけなら, 各操作を どのように記録しても良いのだが, 前期・後期の線型代数を通じて「行列を左か ら掛けるのは行に関する操作であり, 右から掛けるのは列に関する操作である」 ことを実感しておくのは, とても大切なのだ. 基本行列は, 前回定義した記号を使って書くこと. 問題は,裏にあります. 13 注意:問題 1 および 2 の解き方がわからなかったら, 5 月 20 日・21 日出題の宿題 4 で解説したことを見直してください.教科書 p68-70 および問題集p 32-35 は, 同様の問題を扱っていますが, 参照しないでください. 次回に予定している未習 の内容を含んでいますので, 中途半端な理解を防ぐためです. これらを参照した 回答は×とします. 2 0 2 1. 行列 A = 1 2 −1 について, 以下の問いに答えよ. 0 1 −1 (1) 被約階段行列 SA を書け. (2) SA をいくつかの基本行列と A の積として表せ. (3) A をいくつかの基本行列と SA の積として表せ. (4) A は正則か. 正則なら, A−1 を成分表示せよ. 0 1 2 2. 行列 B = 1 0 3 について, 以下の問いに答えよ. 2 3 0 (1) 被約階段行列 SB を書け. (2) SB をいくつかの基本行列と B の積として表せ. (3) B をいくつかの基本行列と SB の積として表せ. (4) B は正則か. 正則なら, B −1 を成分表示せよ. 3. 定理 AX = E ⇒ XA = E を証明する準備をしよう. (従って、以下の問 題を解くためにこの定理を使ってはいけない.) n 次行列について, 以下を証 明せよ. (1) B の第 1 行が零行であれば, BX の第 1 行も零行である. (ヒント: ⃗x1 . X = .. であるとき, BX の第 1 行を ⃗x1 , · · · , ⃗xn で表してみよ.) ⃗xn (2) AX = E なら, SA X は正則である. (ヒント: SA と A の関係は?) (3) AX = E なら, SA X は零行を持たない. (4) AX = E なら SA は零行を持たない. 14
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