第六話 わからぬまま出た答 その一

第六話 わからぬまま出た答
「図形の証明は1・2・3で」
図形にはいろいろな性質があります。
・線分の「長さ」「長さの比」が等しい。
右の図で、
・「角度」の大きさが等しくなる。
AP:PB = AQ:QC
・位置関係が「平行」になる。
が成り立つとき、
・位置関係が「垂直」になる。
PQ// BC を証明
・同じ形、大きさになる「合同」。
しなさい。
・同じ形になる「相似」。
など、図形について成り立っていることは、すべて性質です。
図形の性質について、なぜ成り立つのかを説明したものを「証明」といいます。
証明では「すでに成り立っていること」
を使って「新しく成り立つこと」を、
すじみち立てて説明していきます。
右の証明では、
・線分の「長さの比」が等しいこと
・2つの三角形が「相似」になること
を使って、線分の位置関係が「平行」
になることを説明しています。
(証明)
AB//RC となる線をひくと△APQ∽△RCQ
よって
AP:CR=AQ:QC ・・①
仮定から AP:PB=AQ:QC ・・②
①,②から PB=CR
1組の向かい合う辺が等しくて平行なので、
四角形 PBCR は平行四辺形。
よって、PQ//BC
平行線では錯角が等しいです。三角形
の2つの「角度」の大きさが等しいと
「相似」になります。
すると「長さの比」が等しいことから
「平行四辺形」の性質が成り立ち、線分が「平行」であることを示すことができます。
その一
ここに「ある証明」がありました。
△PAC と △QBDで、
仮定から ∠ACP=∠( あ )・・・①
また、 ∠( い )=∠DQB ・・・②
①,②より (
う
) ので、
△PAC ∽ △QBD
(あ)~(う)に入るものを考えてみましょう。
「ある証明」には図もなく、「仮定から・・」の所も、何が仮定なのかもわかりません。
「(
う
)ので」の所も、理由の部分なのですが、図や仮定がわからなければ、証明の
根拠もわかりません。ところが、かっこの中がわかってしまいます。
1
「その一」はこうやってみてはどうだろう
「結論」の部分から、2つの三角形の対応する頂点を番号で表してみます。
△PAC∽△QBD
(1 2 3) (1 2 3)
数字 1 → Pに対してQ
数字 2 → Aに対してB
数字 3 → Cに対してD
(あ)・(い)は、この数字順を利用して、一方に対応するように頂点を入れればできます。
∠ACP (231) =∠BDQ (231)
∠CPA (312) =∠DQB (312)
(う)は証明の①・②が「2組の角が等しい」ことを述べているので、相似条件がわかります。
(あ)はBDQ、(い)はCPA、(う)は「2組の角がそれぞれ等しい」となります。
その二
図で相似な三角形を見つけ、そのことを証明してみましょう。
なお、AD=4cn、DB=5cm、AC=6cmです。
次の手順で、証明の見通しを立てます。
① 図で、あらかじめわかっている数値から、
どの「相似条件」にあてはまるのかを考える。
② 相似になる2つの三角形について、「△①②③ ∽ △①②③」のように、三角形の対応
する頂点と、その順番を確認する。
③ 角や辺の関係を、対応する頂点から確認する。
「その二」はこうやってみてはどうだろう
(証明)
△ABC と △ACDで
仮定からAB:AC=3:2
AC:AD=3:2
よって AB:AC=AC:AD ・・・①
また ∠CAB=∠DAC ・・・②
①,②より、2組の辺の比と、その間の角が
それぞれ等しいので、
△ABC∽△ACD
この証明では、次の頂点の対応に注意します。
2
△ABC∽△ACD
(1 2 3 ) (1 2 3 )
その三
図のような三角形があり、「仮定」を次のようにします。
(
)にあてはまるものを考えましょう。
(仮定)∠BAC=90°、AP⊥BC
(証明)
△ABC と △PBAで
仮定より ∠BAC=90°,∠( あ )=90°
よって、 ∠BAC=∠( あ ) ・・・①
また、 ∠( い )=∠PBA ・・・②
①,②より (
う
) ので、
△ABC ∽ △PBA
「その三」はこうやってみてはどうだろう
(あ)はBPA、(い)はABC、(う)は「2組の角がそれぞれ等しい」となります。
△ABC
△PBA
(1 2 3)
(1 2 3)
頂点に番号をつけて、A→P、B→B、C→Aが対応するようにします。
第六話「秘伝」
<証明のキーワード>
① 「△ABCと△DEFで・・・」
↓
AとDが対応
BとEが対応
CとFが対応
②「過程から・・・」
↓
③「また・・・」
↓
はじめに問題文の中に示して
ある角度や長さの関係を書く
線や角度が重なっていて、
明らかな関係を書く!
ここで第六話は終わりますが・・
① 上から見ると円
② 正面から見ると四角形
このような図形は円柱です。
では、①
②
③
3
上から見ると円
正面から見ると四角形
横から見ると三角形
となる立体は何でしょうか。