2014年

1
平成 26 年度 福岡教育大学2次試験前期日程 (数学問題)
教育学部 平成 26 年 2 月 25 日
• 中等教育 (数学専攻) は, 1 ∼ 4 数 I・II・III・A・B・C (120 分)
• 初等教育 (数学専修) は, 1 , 5 ∼ 7 数 I・II・III・A・B・C (120 分)
1 次の問いに答えよ.
(1) 0
x
π ,0
y
π のとき,連立方程式
√
3 sin x − sin y = 3, 3 cos x + cos y = −1
を解け.
1 1 1
+ + = 1 である.a,b,c のう
a b c
ち少なくとも 1 つは 1 に等しいことを示せ.
(2) a,b,c を実数とする.a + b + c =
(3) 0,1,2,3,4,5 の数字が 1 つずつ記入された 6 枚のカードが入ってい
る箱から 1 枚ずつ 3 枚のカードを取り出し,左から並べて自然数 n を作る
とき,次の (ア),(イ) に答えよ.ただし,例えば 012 は 12 を表すものと
する.
(ア) n が 3 桁の自然数になるのは何通りか.
(イ) 3 桁の自然数 n を作った後,箱のなかに残っている 3 枚のカードを左
から並べて 3 桁の自然数 m を作るとき,n + m = 555 となる n は何
通りか.
2 平面上に OAB と点 P があり,実数 k,m,n に対して
−→
−→
−→
k PO + mPA + nPB = 0
が成り立つとする.次の問いに答えよ.
(1) k = 4,m = 1,n = 2 のとき, POA, POB, PAB の面積比を最も
簡単な整数の比で表せ.
(2) k を 0 以上の定数とする.点 P が m 0,n 0,m + n = 3 を満たしな
がら動くとき,点 P の軌跡は線分になることを示せ.
(3) 点 P が k 1,m 0,n 0,m + n = 3 を満たしながら動くとき,点 P
の存在する領域 D を図示せよ.また,領域 D の面積は OAB の面積の
何倍になるかを求めよ.
2
3 a を定数とする.an = −2n + a で定められる数列 {an } を次のような群に分け,
第 k 群には k 個の項が入るようにする.
a1
a2 , a 3
a4 , a5 , a6
a7 , a8 , a9 , a10
第1群
第2群
第3群
第4群
···
第 k 群に含まれるすべての項の和を Sk とするとき,次の問いに答えよ.
(1) Sk を求めよ.
(2) a = 212 のとき,Sk が最大となる群に含まれる項の平均値を求めよ.
(3) a = 92 のとき,|Sk | = |Sk+1 | を満たす k を求めよ.
4 a を正の定数とする.関数 f (x) は
π
2
f (x) = 2 cos x − a
f (t) sin x dt
0
を満たしているとする.次の問いに答えよ.
(1) f (x) を求めよ.
π
π
を満たす定数 a の値を求めよ.
2
0
(3) a が (問 2) で求めた値のとき,次の (ア),(イ) に答えよ.
(2)
f (x) sin x dx = −
(ア) 0
x
π における関数 f (x) の最大値と最小値を求めよ.
π
|f (x)| dx の値を求めよ.
(イ)
0
5 正六角形 ABCDEF において,辺 DE の中点を P とし,線分 AP と BF の交点
を Q とする.次の問いに答えよ.
−→ −→ −→
(1) AP を AB と AF を用いて表せ.
(2) AQ : QP を最も簡単な整数の比で表せ.
−→
(3) |AB| = 1 のとき, BPQ の面積を求めよ.
3
6 an = −2n + 212 で定められる数列 {an } を次のような群に分け,第 k 群には k
個の項が入るようにする.
a1
a2 , a 3
a4 , a5 , a6
a7 , a8 , a9 , a10
第1群
第2群
第3群
第4群
···
第 k 群に含まれるすべての項の和を Sk とするとき,次の問いに答えよ.
(1) Sk を求めよ.
(2) Sk が最大となる群に含まれる項の平均値を求めよ.
(3) |Sk | = |Sk+1 | を満たす k を求めよ.
log x
を C とする.次の問いに答えよ.ただし,対
a
数は自然対数とし,e は自然対数の底とする.
7 a を正の定数とし,曲線 y =
(1) 点 0, 1 −
1
a
から曲線 C に引いた接線の方程式を a を用いて表せ.
(2) (1) で求めた接線と曲線 C と x 軸によって囲まれた部分のうち第 1 象限の
部分の面積を a を用いて表せ.
x2
(3) 曲線 C が曲線 y =
と共有点をもち,その点における 2 つの曲線の接線
2e
x2
と x 軸によって囲まれた部分
が一致しているとき,曲線 C と曲線 y =
2e
の面積を求めよ.
4
正解
1
(1) 与えられた 2 式から
sin y = 3 sin x −
√
3
··· 1 ,
cos y = −3 cos x − 1
··· 2
1 , 2 を sin2 y + cos2 y = 1 に代入すると
√
(3 sin x − 3)2 + (−3 cos x − 1)2 = 1
整理すると
0
x
√
3 sin x − cos x = 2
π であるから
x=
ゆえに
2
3
sin x −
π
6
=1
π
これを 1 , 2 に代入すると
√
sin y =
0
y
π であるから
3
,
2
y=
cos y =
1
2
π
3
(2) 与えられた条件から
1 − (a + b + c) = 0,
ab + bc + ca − abc = 0
ここで,f (x) = (x − a)(x − b)(x − c) とおくと,3 次方程式 f (x) = 0 の解
は,a,b,c である.このとき,上の 2 式より
f (1) = (1 − a)(1 − b)(1 − c)
= 1 − (a + b + c) + ab + bc + ca − abc
=0
したがって,1 は,f (x) = 0 の解である.
よって,a,b,c のうち少なくとも 1 つは 1 に等しい.
5
(3) (ア) 0,1,2,3,4,5 の 6 枚のカードから 3 枚のカードを取り出し左から
並べてできる自然数の個数は
6 P3
= 120 (個)
このうち,2 桁の自然数の個数は
5 P2
よって,求める個数は
= 20 (個)
120 − 20 = 100 (個)
(イ) A = {0, 5},B = {1, 4},C = {2, 3},a ∈ A,b ∈ B ,c ∈ C とす
ると,3 桁の自然数 n は a,b,c を並べる次の 4 通りである.
bac, bca, cab, cba
a,b,c の選び方は,それぞれ 2 通りであるから,求める場合の数は
4 × 23 = 32 (通り)
6
2
(1) 線分 AB を n : m に内分する点を Q とすると O
−→
−→
−→
mPA + nPB = (m + n)PQ
これを条件式
−→
−→
−→
k PO + mPA + nPB = 0
· · · (∗)
k
n
A
に代入すると
−→
−→
k PO + (m + n)PQ = 0
POB =
=
POA =
=
POA :
· · · (∗∗)
PAB :
POB :
POB :
OAB とおくと
POA = k : m : n
PAB = n : m : k = 2 : 1 : 4
(2) m + n = 3 を (∗∗) に代入すると
O
−→
−→ −→
−k OP + 3(OQ − OP) = 0
ゆえに
−→
OP =
B
k
S,
k + (m + n)
m+n
OBQ
k + (m + n)
m+n
m
m
×
S=
S,
k + (m + n) m + n
k + (m + n)
m+n
OAQ
k + (m + n)
m+n
n
n
×
S=
S
k + (m + n) m + n
k + (m + n)
(∗) が成り立つとき
よって
m
Q
P は線分 OQ を m + n : k に内分する点であるから,S =
PAB =
m+n
P
3 −→
OQ
k+3
A
OA,OB を 3 : k に内分する点を,それぞれ
A ,B とする.m
0,n
0 であるから, A
点 P の軌跡は線分 A B である.
P
3
B
k
n
Q
m
B
(3) k = 1 のとき,A ,B は,それぞれ OA,OB を 3 : 1 に内分する点である
から,k 1,m 0,n 0 のとき,D の表す領域は OA B である.
したがって,D の面積は
OAB の面積の
3
4
2
=
9
16
倍
7
3
1
1
(1) 第 k 群の初項および末項は,{an } のそれぞれ第 k(k−1)+1 項,第 k(k+1)
2
2
項であるから
1
k(k − 1) + 1 + a = −k 2 + k − 2 + a
2
1
= −2 × k(k + 1) + a = −k 2 − k + a
2
a 1 k(k−1)+1 = −2
2
a 1 k(k+1)
2
よって
1
Sk = k{(−k 2 + k − 2 + a) + (−k 2 − k + a)}
2
= −k3 + (a − 1)k
(2) (1) の結果から,a = 212 のとき,Sk = −k 3 + 211k であるから
Sk+1 − Sk = {−(k + 1)3 + 211(k + 1)} − (−k 3 + 211k)
= 3{70 − k(k + 1)}
ゆえに
S1 < S2 < · · · < S8 > S9 > S10 > · · ·
Sk の群に含まれる項の平均は,(1) の結果から
Sk
−k 3 + 211k
=
= −k 2 + 211
k
k
よって,求める値は
−82 + 211 = 147
(3) (1) の結果から,a = 92 のとき,Sk = −k 3 + 91k であるから
Sk+1 − Sk = {−(k + 1)3 + 91(k + 1)} − (−k 3 + 91k)
= −3(k − 5)(k + 6)
Sk+1 + Sk = {−(k + 1)3 + 91(k + 1)} + (−k 3 + 91k)
= −2k 3 − 3k 2 + 179k + 90
= −(k − 9)(k + 10)(2k + 1)
よって,|Sk | = |Sk+1 | を満たす自然数 k は
補足 Sk = k(91 − k 2 ) より,k
ることに注意すると
k = 5, 9
9 のとき Sk > 0,k
S9 = 90,
10 のとき Sk+1 < 0 であ
S10 = −90
したがって,Sk+1 + Sk は k − 9 を因数にもつことが分かる.
8
4
(1) 与えられた関数は
π
2
f (x) = 2 cos x − a sin x
f (t) dx
0
π
2
k=
f (t) dt とおくと,f (x) = 2 cos x − ak sin x より
0
π
2
k=
(2 cos x − ak sin x) dx
0
=
π
2
2 sin x + ak cos x
= 2 − ak
0
a > 0 に注意して,k = 2 − ak を k について解くと k =
f (x) = 2 cos x −
よって
2a
a+1
2
a+1
sin x
(2) (1) の結果から
π
π
f (x) sin x dx =
0
2 sin x cos x −
0
π
=
sin 2x −
0
条件により
−
πa
π
=−
a+1
2
2a
sin2 x dx
a+1
a
(1 − cos 2x)
a+1
dx = −
πa
a+1
a=1
これを解いて
(3) (ア) (1),(2) の結果から
f (x) = − sin x + 2 cos x
1
2
cos α = √ ,sin α = √ を満たす α (0 < α < π2 ) を用いると
5
5
√
f (x) = − 5 sin(x − α)
√
よって,最大値 f (0) = 2,最小値 f (α + π2 ) = − 5
(イ) (ア) の結果を用いて
π
√
|f (x)| dx = − 5
0
=
=
√
√
α
sin(x − α)dx +
0
5
α
−
cos(x − α)
5 (1 − cos α) −
√
=2 5
√0
√
√
π
5
sin(x − α)dx
α
5
π
cos(x − α)
α
5 (− cos α − 1)
9
5
(1)
−→
−→
−→
AD = 2AB + 2AF
−→ −→
−→
AE = AB + 2AF
−→ 1 −→ −→
よって AP = (AD + AE)
2
−→
−→
3AB + 4AF
=
2
B
A
F
Q
E
C
D
−→
−→
−→ 7 3AB + 4AF
(2) (1) の結果から
AP = ×
2
7
−→
−→
−→ 3AB + 4AF
−→ 7 −→
ゆえに AQ =
· · · 1 したがって AP = AQ
7
2
7
よって
AQ : QP = 1 : − 1 = 2 : 5
2
√
1
3
◦
(3)
ABF = ·1·1 sin 120 =
2
4
1 より,BQ : QF = 4 : 3 であるから
√
√
3
3
4
4
ABQ =
ABF = ×
=
4+3
7
4
7
(2) の結果から
√
5√
3
5
5
BPQ =
ABQ = ×
=
3
2
2
7
14
P
10
6
1
1
(1) 第 k 群の初項および末項は,{an } のそれぞれ第 k(k−1)+1 項,第 k(k+1)
2
2
項であるから
1
k(k − 1) + 1 + 212 = −k 2 + k + 210
2
1
= −2 × k(k + 1) + a = −k 2 − k + 212
2
a 1 k(k−1)+1 = −2
2
a 1 k(k+1)
2
よって
1
Sk = k{(−k 2 + k + 210) + (−k 2 − k + 212)}
2
= −k3 + 211k
(2) (1) の結果から
Sk+1 − Sk = {−(k + 1)3 + 211(k + 1)} − (−k 3 + 211k)
= 3{70 − k(k + 1)}
ゆえに
··· 1
S1 < S2 < · · · < S8 > S9 > S10 > · · ·
Sk の群に含まれる項の平均は,(1) の結果から
−k 3 + 211k
Sk
=
= −k 2 + 211
k
k
よって,求める値は
−82 + 211 = 147
(3) (1) の結果から
Sk+1 + Sk = {−(k + 1)3 + 211(k + 1)} + (−k 3 + 211k)
= −2k 3 − 3k 2 + 419k + 210
= −(k − 14)(k + 15)(2k + 1)
1 , 2 より,|Sk | = |Sk+1 | を満たす自然数 k は
補足 Sk = k(211 − k 2 ) より,k
あることに注意すると
14 のとき Sk > 0,k
S14 = 14·15,
··· 2
k = 14
15 のとき Sk+1 < 0 で
S15 = −15·14
したがって,Sk+1 + Sk は k − 14 を因数にもつことが分かる.
11
7
log x
1
を微分すると y =
a
ax
log t
1
接点の座標を t,
とすると,接線の傾きは
であるから,
a
at
その方程式は
(1) y =
y−
log t
1
x
log t − 1
= (x − t) すなわち y =
+
a
at
at
a
これが,点 0, 1 −
1
a
··· 1
を通るから
log t − 1
1
=1−
a
a
1 より,接線の方程式は
y=
x
aea
t = ea
ゆえに
+1−
1
a
log x
,2 直線 x = 1,x = ea および x 軸で囲まれた部分の面積を
a
S とすると
(2) 曲線 y =
ea
S=
1
log x
1
=
x(log x − 1)
a
a
i) 0 < a < 1 のとき
右の図の斜線部分の面積は
1 a
{e − ea (1 − a)}·1 − S
2
1 a 1 a
= ae − (ae − ea + 1)
2
a
1
a
1
=ea
−1+
−
2
a
a
ii) a 1 のとき
右の図の斜線部分の面積は
1
1 a
e 1+ 1−
·1 − S
2
a
1
1
=ea 1 −
− (aea − ea + 1)
2a
a
a
e
1
=
−
2a
a
ea
1
1
= (aea − ea + 1)
a
y
ea (1−a)
1
O
1
1− a1
x
ea
y
1
1− a1
O
1
ea
x
12
(3) 曲線 C と y =
x2
の接点の x 座標を u とすると
2e
log u
u2
=
··· 2
a
2e
x
x2
を微分すると,y = .接点における接線の傾きが等しいので
2e
e
1
u
=
··· 3
au
e
√
2 , 3 を解いて u = e,a = 1
y=
求める面積は,下の図の斜線部分の面積である.
y
y=
x2
2e
C
1
2
O
1
√
e
x
この面積を S とすると
√
e
S=
0
x2
dx −
2e
√
e
x3
=
−
6e 0
2√
=
e−1
3
√
e
log x dx
1
√
x(log x − 1)
1
e