2014 年 9 月 29 日 第 1 回 計量経済学とは(0) 村澤 康友 目次 1 計量経済学(p. 1) 2 2 経済モデル(p. 2) 3 3 弾力性(p. 4) 7 4 計量経済分析の手順(p. 1) 1 10 1 計量経済学(p. 1) 定義 1. 経済を計測する方法論の体系を計量経済学という. 注:具体的には • • • • 経済変数の推計・予測(経済統計,応用計量経済学) 経済理論の妥当性の検証(実証経済学,応用計量経済学) 政策シミュレーション(応用計量経済学) 以上に関る統計的手法の開発・改善(計量経済理論) 注:統計学の応用分野として独自に発展している.同様の分 野に計量生物学・計量心理学がある. 2 2 経済モデル(p. 2) 定義 2. 経済変数間の関係を表す数式を経済モデルという. 例:出産とその決定要因(出産費用・育児費用・夫の所得・ 妻の就業状態・学歴・親との同居・託児所の有無・将来の不 安等). 少子化対策を考える上で重要だが真面目に考えると かなり難しい. 3 経済モデルの推定と検定(pp. 4, 5) 経済モデルを y = f (x) と表す. •(推定)未知の f (.) をデータから推定する.f (.) が判れば x から y を予測できる. •(検定)経済理論が与える f (.) の妥当性をデータから検証 する.否定されれば経済理論の修正が必要となる. 4 例:ミクロ計量経済学 ミクロのコブ=ダグラス型生産関数は yi = α β Aki li すなわち ln yi = ln A + α ln ki + β ln li この式を企業の横断面データで分析する. 5 例:マクロ計量経済学 マクロのコブ=ダグラス型生産関数は Yt = α β AKt Lt すなわち ln Yt = ln A + α ln Kt + β ln Lt この式をマクロの時系列データで分析する. 6 3 弾力性(p. 4) y := f (x) とする.ただし f (.) は微分可能. 定義 3. y の x に対する弾力性は ∆y/y E := lim ∆x→0 ∆x/x 注:x が 1 %変化すると y が何%変化するかを表す. 7 定理 1. dln y E= dln x 証明:弾力性は (f (x + h) − f (x))/f (x) E := lim h→0 h/x f (x + h) − f (x) x = lim h→0 h f (x) x ′ = f (x) f (x) 8 合成関数の微分の公式より dln y dln y dy dx = dln x dy dx dln x 1 dy 1 = y dx 1/x dy x = dx y 9 4 計量経済分析の手順(p. 1) 1. 経済理論の提示:x が y を決定するメカニズムを提示 2. 3. 4. 5. 6. する. データの収集:x, y に相当するデータを集める. モデルの定式化:x が y を決める関数形を想定する. モデルの推定:モデルの母数をデータから推定する. 仮説の検定:モデルの母数に関する仮説をデータから検証 する. モデルの利用:政策運営などの意思決定にモデルを利用 する. 10 今日のキーワード 計量経済学,経済モデル,弾力性 11
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