a b A B B A a0, b0

平成 25 年度 M1「代謝生化学A」 再試験(2)・田原担当(1 枚目/全 2 枚)
10.
2014.2.18 実施
解答
膜輸送
整理番号
氏名
1.細胞内区画が、中間代謝物の混合を防ぐだけでなく、自由エネルギーの面でも有利であ
る こ と は 簡 単 な 計 算 で 確 か め る こ と が で き た( 1 4 章 再 試 問 題 1 )。次 に こ の 差 が 何 に 由 来 す
る の か 考 え て み よ う ( 14 章 受 験 者 が 有 利 に な る こ と は な い ) 。
(1)体積2の細胞が体積 1 の 2 つの区画に分かれており、一方に
a0, b0
は物質 A のみを、他方には物質 B のみを輸送するトランスポーター
が 備 わ っ て い る と す る 。 A、 B の 濃 度 が そ れ ぞ れ 細 胞 外 で a0, b0、
細 胞 内 で a, b と す る 。 A、 B と も 電 荷 を 持 た な い と き 、 1 モ ル の A と
B を細胞外から細胞内へ輸送するときの自由エネルギー変化を、まず
A と B に つ い て 求 め( そ れ ぞ れ ∆ G
(1)
A
、∆ G
(1)
B
と す る )、両 者 の 和 と し て ∆ G
(1)
A
B
A
B
a
b
を 求 め よ 。な お 、
結 果 は R, T, a0, b0, a, b を 使 っ て 表 せ 。
∆G ( 1 ) A = RT ln(a/a 0 ), ∆G ( 1 ) B = RT ln(b/b 0 ) で あ る か ら 、
∆G ( 1 ) = ∆G ( 1 ) A + ∆G ( 1 ) B = RT ln(a/a 0 )+ RT ln(b/b 0 )
= RT ln(ab/a 0 b 0 )
(2)区画のない細胞が同じ量の物質 A と B を細胞内に持っていると
す る と 、 そ れ ぞ れ の 濃 度 は 半 分 の a / 2 , b / 2 と な る 。 こ の と き 、 ( 1 ) a0,
と同様に 1 モルの物質 A と B を細胞内に取り込むために必要な自由
エ ネ ル ギ ー を 、 ま ず そ れ ぞ れ の 輸 送 の 自 由 エ ネ ル ギ ー ∆G
求 め 、 そ の 和 と し て ∆G
(2)
(2)
A
、 ∆G
(2)
B
を
を 求 め よ 。 結 果 は R, T, a0, b0, a, b を 使 っ て
表せ。
b0
A
B
A
B
a/2, b/2
∆G ( 2 ) A = RT ln(a/2a 0 ), ∆G ( 2 ) B = RT ln(b/2b 0 ) で あ る か ら 、
∆G ( 2 ) = ∆G ( 2 ) A + ∆G ( 2 ) B = RT ln(a/2a 0 )+ RT ln(b/2b 0 )
= RT ln(ab/4a 0 b 0 )
= RT ln(ab/a 0 b 0 )­ RT ln4
( 3 ) ∆G
(1)
と ∆G
(2)
の 差 ∆G
(2)
­∆G
(1)
を 計 算 せ よ 。 R=8.315J/mol・K、 T=37℃ ( 0℃ = 273.1K)
を用いて有効数字 3 桁で計算すること。
上記(1)(2)の結果から、
∆G ( 2 ) ­ ∆G ( 1 ) = ­ RT ln4
= ­8.315 (37+273.1) ln4= ­3574.… (J/mol)
従 っ て 両 者 の 差 は ­ 3.57kJ/mol で 、 区 画 の な い 細 胞 の 方 が 輸 送 に か か る 自 由
エ ネ ル ギ ー が 少 な く て す む 。 つ ま り 、 再 試 14 の 問 題 1 で 求 め た 余 剰 の 自 由 エ
ネ ル ギ ー は 体 積 1/2 の 空 間 に 倍 の 濃 度 で 詰 め 込 む た め の コ ス ト で あ っ た 。
平成 25 年度 M1「代謝生化学A」 再試験(2)・田原担当(2 枚目/全 2 枚)
10.
2014.2.18 実施
解答
膜輸送
整理番号
氏名
2 .細 胞 は 、様 々 な 栄 養 分 子 を 取 り 込 む た め に A T P 加 水 分 解 に よ る 自 由 エ ネ ル ギ ー 変 化 だ け
+
で な く 、 Na 濃 度 差 も 利 用 す る 。
+
+
( 1 ) 温 度 37℃ に お い て 、 [Na ]out=145 mM、 [Na ]in=10 mM、 細 胞 の 膜 電 位
Ψ = ­80 mV
+
と す る と き 、 1 モ ル の Na が 細 胞 内 に 流 入 す る と き の 自 由 エ ネ ル ギ ー 変 化 を 求 め よ 。
0℃ = 273.1 K、 R= 8.315 J/mol・K、 フ ァ ラ デ ー 定 数 F= 96490 J/V・mol
∆G = RT ln([Na] i n /[Na] o u t )+ Z N a F Ψ で あ る か ら 、
∆G = 8.315 (37+273.1) ln(10 10 ­ 3 / 145 10 ­ 3 )
+ (+1) 96490 (­80 10 ­ 3 )
= ­6895.24… ­7719.2
= ­14614.… (J/mol)
し た が っ て 、こ の 細 胞 に Na + が 1 モ ル 流 入 す る と き の 自 由 エ ネ ル ギ ー 変 化 は 、­
14.6kJ/mol と な る 。 こ れ は ATP 加 水 分 解 で 解 放 さ れ る 自 由 エ ネ ル ギ ー の お お
よ そ 1/4∼ 1/3 で あ り 、 Na + /K + ­ATPase が 1 モ ル の ATP 加 水 分 解 と 3 モ ル の
Na + 輸 送 を 共 役 さ せ て い る 事 実 と 矛 盾 し な い 。
3 .以 下 は 代 表 的 な ト ラ ン ス ポ ー タ ー に 関 す る 記 述 で あ る 。正 し け れ ば ○ 、誤 り な ら ば X を
(
)に 記 入 せ よ 。 下 線 部 の 正 誤 は 考 え な く て よ い 。
(X) マ ル ト ポ リ ン の 内 溝 の 親 水 性 残 基 は グ ル コ ー ス の 水 酸 基 と 相 互 作 用 す る
(○ ) マ ル ト ポ リ ン は β 1→ 4 結 合 し た グ ル コ オ リ ゴ 糖 を 透 過 さ せ な い
(X) KcsA K チ ャ ネ ル は K と 同 族 の Li イ オ ン を 透 過 さ せ る
+
+
+
(X) KcsA K チ ャ ネ ル は K と 同 じ 周 期 の Ca を 透 過 さ せ る
+
+
2+
(X) Orai Ca チ ャ ネ ル は 細 胞 膜 上 に あ る Ca チ ャ ネ ル で あ る
2+
2+
(○ ) AQP1 中 央 部 の 狭 窄 部 位 で 水 と 他 の 有 機 分 子 を 選 別 し て い る
+
(○ ) AQP1 の 水 チ ャ ネ ル は 上 下 で 対 称 な 構 造 を も ち 、 H 導 線 の 切 断 に 寄 与 し て い る
(X) GLUT4 は グ ル カ ゴ ン 刺 激 に よ り 細 胞 内 小 胞 か ら 細 胞 膜 に 移 動 す る
(○ ) GLUT4 の グ ル コ ー ス に 対 す る 親 和 性 は 細 胞 外 向 き 状 態 の 方 が 強 い
(X) Na ,K ­ATPase は 、 安 静 時 で も 全 ATP の 1/ 2 程 度 を 消 費 し て い る
+
+
(X) Ca ­ATPase と Na ,K ­ATPase は い ず れ も V 型 ATPase で あ る
2+
+
+
2+
2+
2+
(○ ) Ca ­ATPas は 細 胞 内 [Ca ]を 低 く し て Ca シ グ ナ ル の S/N 比 を 上 げ る
(○ ) LacY は GLUT と 同 じ ス ー パ ー フ ァ ミ リ ー に 属 す る
(X) LacY は GLUT4 と 同 様 、 受 動 輸 送 体 で あ る
(○ ) Sav1866 は 多 剤 耐 性 ト ラ ン ス ポ ー タ ー で あ る
(X) Sav1866 は H 濃 度 勾 配 を 利 用 す る ト ラ ン ス ポ ー タ ー で あ る 。
+
(○ ) SGLT 阻 害 剤 フ ロ リ ジ ン は 腎 臓 か ら の 糖 の 再 吸 収 を 妨 げ る
(X) SGLT は Na 濃 度 勾 配 を 利 用 し て ア ミ ノ 酸 を 取 り 込 む
+
+
+
(○ ) K イ オ ノ ホ ア の バ リ ノ マ イ シ ン は KcsA と 同 じ メ カ ニ ズ ム で K を 選 択 す る
2+
(○ ) グ ラ ミ シ ジ ン A が Ca を 通 さ な い の は 、 水 和 す る と 内 径 よ り 大 き く な る か ら で あ る